バドミントンの練習や試合中、ラケットが突然折れてしまうとショックです。なぜ折れるのか、どんな場合によく起きるのか原因を知っておくことが大切です。この先の見出しでは、ラケットが折れる主な原因や破損リスクを減らすコツ、折れた場合の対処法について順に解説していきます。
バドミントンラケットが折れる原因と対策
バドミントンラケットのフレームは軽量化されたカーボン製で、強い衝撃に弱い性質があります。ストリングス(ガット)の張り具合や保管状況なども影響し、使い方次第で思いがけず折れることがあります。それぞれの原因とその対策を押さえておきましょう。
衝撃に弱いカーボンフレーム
バドミントンラケットは軽さを優先してカーボンやグラファイト素材で作られていますが、その分フレームが硬く衝撃には弱くなっています。
試合や練習中にラケット同士がぶつかったり、床に落としたりするとフレームにヒビが入ることがあります。最初は目に見えなくても、内部で微小なヒビが発生していて、時間が経ってショットの衝撃が加わるとパキッと折れてしまうことがあります。
例えば、ダブルスでペアのラケットと当たったり、スマッシュで勢いよく地面に叩きつけたりすると、その衝撃でフレームが痛みます。意図せず自分の足や身体に当ててしまうクセも要注意です。一度でも強い衝撃を受けたラケットは要チェックで、折れていなくても交換を検討するほうが安全です。
ガットの張り過ぎに注意
ストリングスのテンション(張り具合)がラケットの許容値を超えていると、フレームに常に大きな力がかかり続けてしまいます。
許容テンションを超える張り方はフレームの歪みにつながり、強打した瞬間に折れる可能性が高くなります。メーカーやモデルごとに推奨テンションが決まっているため、特に自分でガットを張る場合は高く張りすぎないよう注意が必要です。
また、ガットが切れたまま放置しているとフレームの一部にテンションが集中し、弱い部分から折れる原因となります。ガットが切れたら速やかに切り落として新品に張り替え、必要以上にフレームに負荷がかからないようにしましょう。
正しい保管と取り扱い
ラケットは高温多湿を嫌い、直射日光や熱による変形に弱いです。炎天下の車内や高温の室内に放置するとフレームの樹脂が劣化し、折れやすくなります。また、鞄の中に重い荷物を入れたり、上に物を乗せたりするとフレームが歪むことがあります。衝撃だけでなく、圧迫にも注意が必要です。
- 直射日光の当たる場所や車内の高温になる場所を避ける
- ラケットバッグに入れて保管し、重い荷物を上に乗せたり踏んだりしない
- 外出先で床にラケットを置いて踏まないよう注意する
他にも、普段から「ラケットを乱暴に扱わない」ことが大事です。ラケットケースに入れたまま満員電車で突っ張って体を押しつけたり、衝撃吸収材なしで放り投げたりすると知らないうちに傷がつきます。大切なフレームを衝撃から守るよう取り扱いましょう。
長年使用によるフレームの疲労
高頻度で同じラケットを使い続けると、カーボン繊維の微細な疲労によりフレーム強度が徐々に低下します。一般的に週数回の初心者使用ならラケットは5~10年程度持つこともありますが、毎日練習する学生選手だと1~3年ほどでラケットの弾きが落ちたり折れたりすることが珍しくありません。
長く使用すると、目に見えなくても内部で繊維が劣化する金属疲労のような状態になります。定期的に自分のラケットを点検し、長期間使い続けて違和感があれば交換を検討しましょう。
初期不良や製造上の欠陥の可能性
まれに、製造段階の不良で新品購入から間もなく折れてしまうことがあります。フレームに基礎的なヒビが入った状態で検査をすり抜けるケースや、新型モデルで製造精度が安定していないことが原因となる可能性があります。
新品で急に折れてしまった場合は、すぐに購入店やメーカーの保証を確認しましょう。問題ない扱いを受けない場合は、有償でも修理・交換の相談をしてみるとよいでしょう。
ラケットが折れたときの対処法

もしラケットが実際に折れてしまったら、落ち着いて対処しましょう。折れ方によっては復旧が難しいこともありますが、今後の出費を抑えるためにもできることがあります。
修理するか新品を買うかの判断
フレームが大きく割れてしまった場合、修理しても完全には元と同じ性能を得られないことがあります。修理業者でのフレーム交換や補強にも費用(目安 帯5000円前後)が掛かり、状態によっては新品を買ったほうが安全なこともあります。
以下の表のように、「修理」と「新品購入」を比較して判断しましょう。
項目 | 修理 | 新品購入 |
---|---|---|
費用 | 修理代約5,000円+送料 | 約1万円以上 |
所要時間 | 問い合わせから数週間 | 購入後すぐ使用可能 |
プレー影響 | 完全には元どおりにならない可能性 | 新品と同等の状態 |
公式戦での使用 | ルール上は可能(合格品なら) | 問題なし |
ラケットが高価で思い入れがある場合や、公式戦前で同じ使い慣れた感触が必要なら修理を検討します。一方、手軽に早くプレーに戻りたい・経済的に買い換えが捗るなら新品購入が確実です。
ショップ保証やメーカー保証の確認
新品購入後すぐに折れてしまった場合は、購入店やメーカーの保証が利用できないか相談しましょう。メーカー保証期間内であれば無償交換となる可能性もあります。ただし、ラケット同士の衝突や落下など明らかなユーザー過失があると、保証対象外になることがあります。
最近では、交換時にポイント優待や割引サービスを付けているショップもあります。購入先が独自のラケット保証制度(半額交換など)を用意していないかチェックしてみてください。
クレジットカードの補償を活用する
ラケット購入時にショッピング保険が付いているクレジットカードを利用していれば、破損が補償されることがあります。2025年現在、あるクレジットカードでは新規購入から120日までのラケット破損を補償する保険が付帯しています。
カード会社のショッピング保険の対象商品や期間はカードによって異なるため、ラケット購入時には補償内容を確認しておくと安心です。
試合中や練習中の破損時の対応
試合中にラケットが折れた場合は、一度プレーを中断してコート外から新しいラケットを使用します。バドミントンの公式ルール上は、故意でない破損では失格にはならず、相手にシャトルを返すなどしてポイントは継続します。
練習中でも同様に、使い慣れた予備のラケットを用意しておくと慌てずに切り替えができます。破損したラケットの使い続けは危険なので、即座にプレーを止めて新しいラケットに持ち替えましょう。
自分で応急処置(テープ補強)
完全にフレームが裂けていても、自分で簡易修理する方法があります。市販の強力テープや接着剤で折れた部分を固定する方法です。薄くて丈夫な布テープ(例:カーボン補強テープ)を片面からぐるりと巻くだけでも応急対処できます。
ただしテープ補強はあくまで練習用で、公式戦では認められません。どうしても同じラケットでプレーを続けたいときの緊急手段と考え、性能が落ちる点は覚悟しましょう。
ラケットを長持ちさせるためにできること

ラケットの破損リスクを減らすために、日頃から丁寧に扱う習慣を身につけましょう。以下のポイントを守ればフレームへの余計な負荷を避けられ、折れる可能性を下げることができます。
適正なテンションでガットを張る
ラケットの推奨テンションを守ることはとても重要です。製品ごとに適正テンションが設定されているので、ガット張りの際はその範囲内にしましょう。自分で張る際も、練習量や筋力を考慮して無理に高いテンションにしないことが大切です。
テンションが高すぎるとフレームへの負荷が増大し、通常より短い期間で折れてしまう原因になります。逆に緩すぎるとシャトルの飛びが悪くなりますが、安全性を考えるなら低めに張ってこまめに張替える方がラケットには優しい使い方です。
衝撃を避ける習慣
練習中にラケットをパートナーや壁、ネットにぶつけないよう心掛けることが最も有効な対策です。ダブルスのペア同士でラケットが当たらないようにプレーし、お互いに意識して衝突を避けましょう。地面に落とした際はその衝撃で内部にヒビが入りやすいので、落とさないよう丁寧に扱ってください。
また、ラケットに強い衝撃が加わったと感じたら、その日は練習を中断しラケットの状態をチェックします。小さなキズでも衝撃が伝わっている可能性があるので、念のためプレーを続ける前に新品や予備ラケットを使用するのが安全です。
切れたガットは放置しない
ガットが切れたらすぐに切り落としましょう。ガットが切れたままになっていると、フレームの一部に引っ張る力が集中し続けてしまいます。これはフレームが歪む原因となり、最終的には折れることがあります。
切れたガットの端は鋭利なのでケガの原因にもなります。練習が終わったら張替えをする前に必ず古いガットを切り落とし、次回の張替までフレームに余計な力がかからない状態にしておくのが良い習慣です。
高温・直射日光を避けた保管
車内や日の当たる部屋での放置は劣化のもとです。夏場は特に車内温度が急上昇するので、絶対にラケットを置きっぱなしにしないでください。また、暑さや紫外線によってフレーム表面の塗装が剥がれることがあります。これはフレーム自体の強度には影響しませんが、温度変化でもろくなるきっかけになることも考えられます。
ラケットはケースに入れてラックやクローゼットなど適度な温度の場所で保管し、急激な温度変化や直射日光を避けましょう。湿度も低すぎず風通しの良い場所が理想です。
エッジガードを活用して保護
市販のエッジガード(フレーム保護テープ)をラケットの枠に巻いておくと、衝撃や擦れからフレームを守る効果があります。バドミントンではボールを当てるわけではないのでエッジガードはOKです。
特にラバーが剥がれるとフレームの金属が露出してダメージを受けやすくなるため、テープで保護しておくと寿命が延びます。ただし、すでに塗装が剥がれている場合は剥がれた塗装部分が爪などに引っかかる恐れもあるので、塗装面の状態も確認すると安全です。
まとめ
バドミントンラケットは高反発で軽い分、衝撃に弱い構造になっています。主な折れる原因は「強い衝撃」「ガットのテンション過大」「誤った取り扱い」「長期間の疲労」などです。練習や保管時にラケットを丁寧に扱い、ガットの張り具合や環境に注意すれば破損を大きく防げます。
万一折れてしまった場合は、修理するか新品交換するかを状況に応じて判断しましょう。保証や保険の活用、練習用のテープ補修も有効です。2025年現在でも基礎知識は変わっていないため、今回の解説を参考に、ラケットの寿命を延ばして快適なプレーを続けてください。
コメント