バドミントンのラケットに張るガットの強さ(テンション)は、シャトルの飛び方や打球感に大きく影響します。適切な張り強さを選ぶと威力とコントロール性が向上し、快適なプレーが可能です。しかし、強すぎるガットはミスを生みケガの原因にもなります。本記事では、最新情報をもとに、ガット強さの基礎知識や選び方、プレーへの影響について徹底解説します。
初心者からプロまで役立つ情報を網羅し、ガット強さの疑問を解消します。
目次
バドミントンガットの強さとは?
バドミントンの「ガット強さ」とは、ガット(ストリング)をラケットに張ったときの張力(テンション)のことです。ガットに高い張力をかけるほどガットは硬く張られ、シャトルに与える反発力や飛距離が変わります。ガット強さは通常ポンド(LBS)で表され、ガット張り機で数値設定します。現代バドミントンでは約20ポンド前後が基準とされていますが、用途やプレーヤーの筋力で適正値は異なります。
一般的に、初心者やジュニアは16~18ポンドから始めることが多いです。女性や成人男子は18~21ポンド、上級者は22ポンド以上に設定する例が増えています。ただし、高ポンド数が必ずしも良いわけではありません。ラケットのフレーム性能や選手の体力に見合った強さを選ぶことが大切です。
ガット強さ(テンション)の意味とは
上記のように、バドミントンで言うガット強さは「ガットテンション」のことを指します。ガットテンションとはガットをどれだけ張力をかけて張っているかを表す数値で、高いテンションほどガットは硬くなります。ガットが硬く張られると、シャトルを打ったときに弾みが減少し、ボールがよりラケット上に食いつくようになります。
ガット強さは操作性に直結するため、ガット強さを上げるとラリーでの精密なコントロールが可能になる反面、ガットの柔軟性が低下して「硬い打球音」になりやすいという特徴もあります。また、同じ張力でもガットの素材や太さによって感触は変わるため、言葉通りの「硬さ」というよりは実質的な張力の大小である点に留意しましょう。
テンションの単位と測定方法
ガットテンションは一般にポンド(LBS)で表します。1ポンドは約0.454kgに相当し、例えば20ポンドなら約9.1kgに匹敵します。ガット張り機ではこのポンド表示を設定してガットを張ります。近年普及している電動式の張り機では、設定したポンド数通りに正確に張ることができますが、手動の張り機の場合は同じ数字でもわずかに張り上がりが異なる場合があります。
例えば、手動式張り機でセットした20ポンドでも、電動張り機同士で比べると実際の張り具合に差が出ることがあります。ガットを張る際は、複数の機械を比べるよりも、いつも同じ張り機を使って感覚を掴むことが大切です。また、細いガットは同じ張力でも硬く感じやすいため、張り機の数値とガットの太さによる打球感の違いにも注意してください。
バドミントンガット強さの一般的な目安
ガット強さの目安はプレーヤーの年齢や経験によって異なります。一般的には、初心者やジュニアが16〜18ポンド、経験者や成人一般が18〜21ポンド、上級者は22ポンド以上で張ることが多いです。ラケットメーカーによって推奨テンションが示されている場合もありますが、目安の範囲内で自分に合う強さを探しましょう。
ガット強さを高く設定するアドバイスを受けることがありますが、最新のラケットは柔軟性や反発性が向上しているため、適切な張力で十分性能を引き出せます。無理に高ポンドにすると、初心者ではスイートスポットを外しやすくなり、かえって上達を妨げることもあります。必ずしも「高ポンド=上達」ではない点を押さえておきましょう。
ガットテンション(強さ)がプレーに与える影響

ガットテンションはシャトルの飛距離やコントロール性に直接影響します。高テンションにするとガットは硬くなりシャトルの飛距離は抑えられますが、コントロール性能が高まります。低テンションではガットの反発力が大きくなるため飛距離が出やすくなりますが、その分ボールの食いつきや安定性は低下しやすいです。テンションの違いでスマッシュやクリアの伸び方、ドロップやネット前での球持ちが変化するため、ショットごとの感覚も大きく異なります。
以下で、高テンションと低テンションのそれぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
高テンションの特徴とメリット
高テンションとは、通常20ポンド以上の張力を指します。高テンションのガットでは、ラケットとシャトルの接触時間が長くなり、ショットにコントロール性が生まれます。以下のようなメリットがあります。
- 精密なコントロール:打球次第でわずかなコースコントロールが可能
- 速いラリー対応:ボールの軌道が安定し、高速ラリーでミスが減る
- スマッシュが落ちにくい:高い張力で打ち応えがあり、スマッシュの押さえが効く
一方で高テンションにはデメリットもあるため注意が必要です。
- パワーが必要:シャトルに力を伝えるには筋力や技術が求められる
- スイートスポットが狭い:ミスヒットしやすくなり、初心者には扱いが難しい
- ガットの寿命が短い:張力が常に高いため、ガットが切れやすくなる
低テンションの特徴とメリット
低テンションとは、通常18ポンド以下の張力を指します。低テンションのガットは、ガットに余裕があるため反発力を大きく活かすことができます。主なメリットは以下の通りです。
- 反発力が高い:ガットが柔らかくボールを弾き返すので、少ない力で大きく飛ばせる
- スイートスポットが広い:ガットにたわみがあり、ミスヒットしても飛距離が比較的安定
- 肩肘の負担軽減:衝撃を吸収しやすく、長時間プレーでも疲労が軽減しやすい
デメリットとしては、ガットの反発が強すぎるとコントロールが難しくなります。
- コントロール性が低下:返球が飛びすぎたり、方向が安定しにくい
- 強打時の行き過ぎ:速いショットで飛距離が出すぎ、狙い通りに落ちにくい
高テンション vs 低テンションの比較
高テンションと低テンションの特徴を比較した表を示します。
項目 | 高テンション | 低テンション |
---|---|---|
飛距離 | 短め (飛びが抑えられる) |
長め (反発を活かしやすい) |
反発力 | 低い (コントロール重視) |
高い (パワー重視) |
スイートスポット | 狭い (精密な打球向き) |
広い (当てやすくミスが減る) |
打球感・音 | 硬め (音も甲高い) |
柔らかめ (音も低め) |
耐久性 | 切れやすい | 長持ちしやすい |
表を参考に、自身のプレースタイルや目的に合ったテンションを選びましょう。
自分に合ったガット強さの選び方と推奨ポンド数

ガット強さはプレーヤーのレベルや体力、プレースタイルによって適正が変わります。初心者はまず低めのテンションで慣れてから徐々に上げ、中・上級者は飛びとコントロールのバランスを重視して選びます。以下では、年齢や経験別の目安と、性別・体力差による調整ポイントについて解説します。
レベルや年齢別のテンション目安
以下は一般的なレベルや年齢別のテンション推奨例の目安です(あくまで参考です)。プレーヤー自身の打ち心地に合わせて調整しましょう。
プレーヤーの目安 | 推奨テンション |
---|---|
ジュニア・初心者 | 16〜18ポンド |
女性・初心者 | 17〜18ポンド |
中級者(男女) | 18〜20ポンド |
上級者・競技志向 | 20ポンド以上 |
※上表は目安です。初心者は下限側から試して慣れたら徐々に上げるのがおすすめです。
初心者と上級者に適した張り強さ
初心者の場合、低テンションで張ることでシャトルが飛ばしやすく、正しいフォームを覚えやすくなります。例えば16〜18ポンド程度から始め、プレーに慣れてきたら少しずつテンションを上げてみましょう。低テンションは力の無駄が少ないため、フォームやフットワークの習得に集中できます。
上級者になると、ショットの精度を重視して高めのテンションに設定することが多くなります。スマッシュの精度やショートサービスの技術を追求するなら、20ポンド以上まで上げる選手もいます。ただし、急激に高いテンションにすると手首や肘への負担も増えるため、段階的に調整し、自身の筋力と相談しながら調整してください。
性別や体力差による選び方
一般的に、男性は筋力があるため女性よりもやや高めのテンションを扱いやすい傾向にあります。女性や体格の小さい選手は、振り抜きやすいよう少し低めに設定することが多いです。例えば、同じラケットでも男性は20ポンド前後、女性は18ポンド程度から始めると扱いやすいでしょう。
また、体力に自信がない場合は無理に高テンションを張らず、少し低めでショットの安定性を重視します。逆にパワータイプのプレーヤーでガットが頻繁に切れる場合は、テンションを下げるか太いゲージを選んで耐久性を高めることも検討してください。
ガットの耐久性とガット強さの関係
ガットの耐久性(寿命)もテンションによって変わります。基本的に高テンションではガットに常に大きな張力がかかるため、同じショットでも切れやすくなります。逆に低テンションでは衝撃が分散されるため切れにくい傾向があります。しかし、ガットの寿命は素材や太さ、使用状況にも影響されます。高テンションだからといって必ずしもすぐ切れるわけではなく、摩擦や過度な衝撃など複合的に判断しましょう。
不適切なテンションや使用方法は、どんなガットでも寿命を縮めます。ここでは、テンションがガット寿命に与える影響と、長持ちさせるポイントを解説します。
高テンションがガットの寿命に与える影響
高テンションで張ったガットは、衝撃を受けた瞬間に大きな力がかかるため切断しやすくなります。特に0.65mmなど細めのゲージを高テンションで張ると、わずかなキズや折れが生じると一気に切れることがあります。例えば同じガットでも24LBSで張ると、20LBSで張ったときより硬く張りあがり、スマッシュ時の衝撃で断裂しやすくなります。
そのため、トッププレーヤーは高テンションを好みますが、一般プレーヤーが同じ張力で張り続けるとガット交換の頻度が格段に上がります。強い張力で性能を追求するなら、切れやすさや交換コストにも注意しましょう。
低テンションでのガットの破損リスク
低テンションのガットは柔らかく衝撃を吸収しやすいため、同じショットでもガットへの負荷が分散され切れにくいです。しかし、張力が緩いためにリコイル(反発)の量が増え、スイートスポットを外しやすくなる傾向があります。その結果、ラケットフレームに当たるミスショットが発生しやすくなり、その衝撃でガットを痛めてしまうことがあります。
つまり、衝撃的なミスショットやフレームタッチの多い状況では、低テンションでもガットにダメージが蓄積します。耐久性だけでなく、安全な打ち方で正しくプレーすることもガット寿命には重要です。
ガットを長持ちさせるポイント
ガットをできるだけ長持ちさせるためには、以下のポイントに気をつけましょう。
- 適正なテンション選び:体力に合った張力を選び、無理に高く張りすぎない
- 衝撃を避ける:地面に落としたりフレームで打ったりしないよう丁寧に扱う
- 保管方法:使用後は汚れや湿気を拭き取り、温度変化の少ない環境で保管する
- ガットの選択:頻繁に切れる場合は太めや耐久性重視の素材(太ゲージ・ポリエステルなど)を検討する
張り替え時期とガット強さの管理

ガットは使用するほど徐々にテンションが緩み、性能が変化します。そのため、定期的な張り替えが必要です。しかし「どのくらいで替えるべきか」は練習頻度やプレー強度によって異なります。このセクションでは、テンション低下の原因と張り替え時期の目安、さらに温度・湿度などがガットに及ぼす影響について解説します。
ガットテンションが低下する原因
ガットテンションはラケットに張ってからすぐに低下し始めます。張り上げ直後に数回シャトルを打つと初期落ちが発生し、その後も使用回数に伴い徐々に緩んでいきます。また、シャトルがガットに擦れたり、フレームで打ったりすることで摩耗が進み、張力が失われます。さらに、時間経過や高湿度・高温状態ではガット素材がわずかに伸び、テンションが下がりやすくなります。
こうした要因が重なると、意図せず予定よりも早く張力が落ちてしまいます。ガットが緩むとボールの飛びが変化するため、定期的に張り具合を確認して早めに張り替えることが大切です。
張り替えのタイミングと目安
一般的な張り替えの目安は、週に2〜3回程度使用するなら3〜6か月に1度、多頻度の場合は1〜2か月に1度です。たとえば、毎日練習する競技者レベルでは月1回程度が理想といわれています。逆に週1回程度のライトプレーヤーなら半年に1度でも問題ない場合があります。
ガットを張り替えるサインとしては、打球感が硬く感じる、音が変わる、飛距離が落ちる、ガットが緩んでいると感じるなどがあります。ガットを長期間使い続けると、飛びが悪くなり正確性が落ちるので、これらの変化を見逃さず早めに張替えましょう。
温度・湿度による強さへの影響
ガットは高温多湿の環境では少し膨張して張力が低下し、寒冷乾燥環境では収縮して張力が上がる場合があります。夏の暑い体育館ではガットが緩みやすくなるので、気温が高い日は張替え後でも「いつもより飛ぶ」と感じることがあるかもしれません。逆に冬場の寒い体育館ではガットが硬く感じやすく、同じポンド数でも打球感が堅くなることがあります。
そのため、季節や温度変化を意識して適切に調整することが重要です。例えば夏場だけ少し高めのテンションに張り替える、あるいは季節ごとに適正ポンドを確認するといった工夫で、いつでも安定した飛びを実現できます。
まとめ
バドミントンガットの強さ(テンション)は、プレーの快適さや性能向上に直結する重要な要素です。適切な張力を選ぶことでボールコントロールの精度やショットの威力を引き出せます。初心者は無理なく振れる低めのテンションから始め、中・上級者は技術に合わせて高い張力にチャレンジしてみましょう。
ただし、張りすぎは筋肉や関節への負担が増え、ケガやラケット破損の原因にもなります。自分の体力やプレースタイルを考慮しながら、最適なテンションを見極めてください。
また、ガットの耐久性や温度・湿度による影響にも注意し、定期的な張り替えと適切な保管・管理を行うことが大切です。本記事で紹介した情報を参考に、自分に合ったガット強さを見つけ、より快適で効果的なプレーを目指しましょう。
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