バドミントン公式試合では、主審が試合経過を記録する「スコアシート」の正確な記入が求められます。
特にシングルスでは、得点の記録に加えてラリーごとのサーバー/レシーバーの交替やゲーム間のコートチェンジなど確認すべき項目が多く存在するため、初めての審判は戸惑うことも多いでしょう。
この記事では、シングルスの試合で使うスコアシートの書き方を基本から丁寧に解説します。
試合前に記入しておくべき項目から、ラリーごとの得点の付け方、試合終了後の勝者確認まで、手順を追ってわかりやすく説明します。これを読めば、初心者の方でも安心してスコアシートを記入できるようになります。
目次
バドミントン シングルス スコアシートの書き方ガイド
バドミントンのスコアシートは、試合の公式記録として審判が記入する重要な書類です。
シングルスの試合では、1ゲーム21点(最終ゲームは30点マッチ)でのラリーポイント制が採用されており、ラリーに勝った側に1点ずつ加点されます。正確に記入することで試合の流れが明確になり、勝者や得点を瞬時に把握できるようになります。
スコアシートの基本構成
スコアシートは主に、「ヘッダー部分」「得点欄」「署名欄」に分かれます。ヘッダー部分には大会名、日付、対戦選手の名前や所属チームなど、試合を特定する基本情報を書き込みます。
続く得点欄はセルで区切られ、1点ごとにセルに数字を記入していきます。最後に、主審や勝者・敗者が署名する欄があり、記録の正当性を確認します。
ラリーポイント制と得点の付け方
現在の国際ルールでは、シングルスは21点先取のラリーポイント制が採用されています。
つまり、サーブの有無に関わらずラリーに勝った側に1点が入り、先に21点(最終ゲームは30点)に達した方がゲームを先取します。したがってスコアシートの得点欄では、各ラリーごとに得点する選手のセルに「1点」を記録していくことになります。
サーブ権移動時の記入ルール
シングルスのスコアシートでは、「サーバーが得点したときは同じ行に得点を記入し、レシーバーが得点したときは次の列で行をずらして記入する」というルールがあります。
つまり、サービス権を維持した選手が得点した場合は現在の行の空いているセルに1点加え、サービス権が移動してからのラリーで点を取った場合は行を下にずらして新たな行のセルに加点します。こうして1枠1得点で記録し、サーブ権移動のタイミングで行を切り替えていきます。
試合前のスコアシート記入準備

スコアシート記入は準備が大切です。
試合で必要な情報を整理しながら記入欄を埋めておくことで、プレー中に記録漏れや混乱を防げます。次節から解説するように、大会名や日付、選手名など基本情報は試合開始前に記入し、審判がスムーズに書き込めるようにしておきましょう。
大会・試合情報の記入
大会情報欄では試合を特定するための項目を書きます。以下のような情報を漏れなく記入しておきましょう。
- 大会名やラウンド(例:全国大会、リーグ戦予選など)
- 試合日付と開始時間
- 競技種別(例:男子シングルス、女子シングルス)
- コート番号や試合番号など
選手・チーム名の記入
次に、シングルスの対戦選手情報を記入します。スコアシートには2名分の欄があり、主に以下の項目を記入します。
- 選手名(フルネームまたは登録名)
- 所属チーム・学校名(あれば)
- 国籍や地域名(大会によって必要)
- ユニフォームの色・特徴(区別が必要な場合に記載)
サーバー・レシーバーの決定と記入
試合開始前にジャンケン(またはコイントス)で第1ゲームのサーバー・レシーバーを決定します。勝者に「サービス選択権」を与えて、サーブするかレシーブするかを選んでもらいます。決まったら、以下の手順でスコアシートに記入しましょう。
- ジャンケンまたはコイントスで最初のサーバーを決める
- サーバーの選手名の横に「S」、レシーバーの選手名の横に「R」を記入する
- サーブ順が混乱しやすい場合は、選手名の横に①②の順番を書いておくと便利
開始時間と審判署名の記入
スコアシート上には試合開始時刻と審判の署名欄もあります。試合開始時間を正確に記入し、主審・副審それぞれの氏名を記載しておきます。
大会によっては両方の署名が必須になる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
試合中のスコア記入方法

試合が始まったら、各ラリーごとに得点状況をスコアシートに反映していきます。
主審は点が入るたびに速やかに記入し、コールと合わせて得点を確認していきます。ここでは、ラリーごとのポイント記入方法やゲーム間の処理手順、イレギュラーなケースへの対応などについて解説します。
ポイント取得時の記入手順
1点が入ったときは、以下の手順でスコアシートに記入します。ラリーの勝者がサーバーだった場合とレシーバーだった場合とで記入のルールが異なります。
- サーバーが得点した場合: 現在の行の空いているセルに得点を記入します(サービス権は維持)。
- レシーバーが得点した場合: 次の列に移動し、行を1行下にずらして得点を記入します(サーバー権が交替)。
ゲーム間・インターバルの記入
ゲーム間やインターバル時は通常、新たな得点記入は発生しません。しかし記入した得点に間違いがないかを両チームや副審と確認する重要なタイミングです。
必要に応じて休憩中に選手名やサーバー情報の走り書きで補足することもありますが、基本的には途中のインターバルでは記録内容の照合を行いましょう。
イレギュラー(レット・フォルト)の扱い
レットやフォルトがあった場合、通常スコアシートに新たに記入する得点はありません。
レット(シャトルのネットタッチなど)で打ち直しになる場合はラリーが無効となるため、得点欄の記録はそのままです。フォルト(サービスエラーなど)で相手に得点が入る場合は、上記の得点記入手順に従って記録します。
シングルス特有の記録ルールと注意点
シングルスには、1対1の対戦であることからくる記録上の特徴があります。以下の点に注意して書き方を覚えましょう。
サイドチェンジ後の記録
シングルスでは、第1ゲーム終了時や最終ゲームの途中でサイドチェンジ(コート交換)を行います。サイドチェンジ後もスコアシートの記入方法自体は変わりません。
得点はそのまま継続し、サーバー・レシーバーの記録も引き継がれます。特に追加で記入することはありませんが、インターバル中に両チームで得点をお互いに確認しておくと安心です。
ダブルスとの記入の違い
シングルスとダブルスでは、選手数の違いから書式の複雑さが異なります。シングルスは1対1の構成なのでサーバー順や記入欄がシンプルです。一方ダブルスは2人で交互にサーブを行うため、サーブ順の記録や選手の並べ替えが必要になり複雑です。現在はダブルスでも2ndサービスが廃止されたため以前より簡単になりましたが、基本的にはシングルスより記入項目が多い点に注意してください。
試合終了時の勝者確認
ゲームが終了したら、最終得点と勝者を確定させます。
スコアシートには試合の勝者を明記し、勝者と主審の署名欄にサインをもらいます。両選手に記入内容を最終確認してもらい、得点ミスがないかチェックしましょう。スコアの記入ミスは試合結果に直結する重要事項なので、最後までしっかりと注意してください。
便利なスコアシートツールとテンプレート

最近ではスコアシートをより手軽に扱うためのツールも利用されています。
大会公式サイトやバドミントン専門サイトでは、シングルス用のスコアシートテンプレートを無料公開していることがあり、これらを印刷して使うと実際の記入練習に便利です。また、スマートフォン向けのスコア管理アプリを使えば、試合中に簡単にスコア記入できるようになっています。
無料配布されているテンプレート
シングルス用のスコアシートテンプレートは、インターネットで無料ダウンロードできる場合があります。
大会公式サイトやバドミントン情報サイトでは、PDFやExcel形式のスコアシートを配布していることがあり、これらを印刷して利用すると実技の練習に役立ちます。特に部活やサークルの練習用に手軽に入手できるテンプレートは便利です。
スマホアプリでの記録方法
最近はスマホアプリでスコアを記録できる便利なツールも登場しています。
例えば、『BadmintonScore』や『スマートスコア』などのアプリでは、シングルスの試合中に画面をタップするだけで自動的にスコアシート形式で記録・更新してくれます。試合後のスコア確認や管理も簡単になるので、練習試合などで試してみるのもおすすめです。
自分でカスタムスコアシートを作成する
必要に応じて、自分でスコアシートを作成することもできます。
表計算ソフトなどで独自のフォーマットを作り、利用することで特定の大会ルールに合わせたり、見やすいデザインにすることも可能です。ただし、公式大会では規定フォーマットの提出が求められる場合もあるため、練習用や自主制作のものは使用目的に合わせて使い分けましょう。
まとめ
シングルスのスコアシート記入のポイントをまとめると以下の通りです。
- 公式試合ではスコアシートが公式記録となるため、正確性が重要です
- 試合前に大会名・選手名・サーバー/レシーバーなどの情報を記入し、準備しておきましょう
- ラリーごとに得点を記録する際は「サーバー勝利なら同じ行に得点」「レシーバー勝利なら行をずらして得点」のルールを守ります
- ゲーム間や試合終了後には得点の誤りがないか確認し、勝者の署名をもらって最終チェックを行いましょう
これらのポイントを押さえておけば、シングルスの試合でもスムーズにスコアシートが書けるようになります。正しい書き方を身につけて、公式審判としての信頼性を高めていきましょう。
コメント