バドミントンは、スマッシュ時のシャトル速度が世界一速い球技として注目されています(最高時速565km)。驚異的なスピードにも関わらず、シャトルは相手コートに到達する頃には急激に減速するため、緩急をつけた試合が可能です。この記事では、バドミントンの時速記録やシャトル減速のメカニズム、他スポーツとの速度比較、さらにはスマッシュ速度を上げるコツまで最新情報を交えて解説します。実測記録や専門家の分析をもとに、バドミントンの速度の謎を詳しく紐解きます。初心者から上級者まで必見の内容です。ぜひ最後までお読みください。
目次
バドミントンの時速記録: スマッシュ最速565km/h
バドミントンのスマッシュ速度は圧倒的で、2023年に男女ともに驚異的な記録が達成されました。
ギネス記録: 男子565km/h・女子438km/h
2023年4月、インドとマレーシアの選手がそれぞれスマッシュの初速で時速565km、438kmを記録しました(いずれも打球直後の速度)。これはかつての記録を大幅に上回り、ギネス世界記録に認定されたものです。計測はヨネックス社内の体育館で行われ、超高速度カメラでシャトルの移動を解析して打球直後の速度を算出しました。このような高速スマッシュの実現にはヨネックス製の最新ラケットと高性能シャトルが使用されています。
試合中の最高速度とトップ選手
ただし、上記は打球直後の初速であり、試合中は空気抵抗によって急激に減速します。公式試合での最速記録は2017年にデンマークの選手が達成した時速426kmで、ギネスにも登録されています。日本の世界トップ選手である桃田賢斗選手も約400km/hと言われるスマッシュ速度を持ち、世界の第一線で競っています。一方、一般的な高校生プレーヤーのスマッシュ速度は250~350km/h程度が目安で、この速度でも新幹線並みに高速だと言えます。
シャトルコックの急減速: 空気抵抗のメカニズム

バドミントンのシャトルコックはスピードを出した直後に急激に減速する特徴があります。その主な理由はシャトルの複雑な構造と空気の流れにあります。
羽根の形状と隙間が生む空気の渦
シャトルコックの16枚の羽根は、互いにわずかな隙間を持って配置されています。この隙間から高速で打ち出された空気がシャトル内部に入り込み、羽根の外側に沿う空気流とシャトル内の二つの気流を作ります。これらの気流がシャトルの後方で合流して強力な渦を形成し、その結果シャトルは非常に強い抵抗を受けて急激に減速します。
シャトルの回転がもたらす安定性
また、羽根の配置と形状によりシャトルは飛行中に回転します。対戦相手側から見るとシャトルは時計回りに回転し、回転によって揚力が安定化して飛行軌道が安定します。1秒間に数十回も回転するシャトルは、回転によって空気抵抗を平均化しながら飛ぶため、コースがブレにくい構造です。
減速が試合に与える影響
シャトルが急減速することにより、バドミントンは緩急のある戦略的な試合展開が可能になります。もしシャトルが減速せずに高速のままだと、単純にパワーに優れるプレーヤーが有利となるゲームになります。しかし実際には減速効果のおかげでコースや変化に優れた選手も活躍でき、小柄な選手でも戦いやすい競技になっています。専門家によれば「減速しなければマッチョな選手が有利になったかもしれないが、今のバドミントンは技術や緩急を活かすスポーツだ」とのことです。
他のスポーツとの速度比較

バドミントンのスマッシュ速度は、他の球技を圧倒的に上回ります。主要な球技との最高速度を比較すると次のようになります。
スポーツ | 最高速度 (時速) |
---|---|
バドミントン (スマッシュ) | 565km |
テニス (サーブ) | 263km |
卓球 (スマッシュ) | 116km |
野球 (打球) | 約191km |
アイスホッケー (シュート) | 177km |
ゴルフ (ドライバー) | 349km |
上の通り、バドミントンのスマッシュは卓球やテニス、野球などの最高速度記録を大きくしのぎます。バドミントンが特に速い理由として、室内競技で風の影響を受けにくい点や、シャトルとラケットが空気抵抗を減らす設計になっている点が挙げられます。
ギネス記録で見る球技最速対決
ギネス世界記録でも、バドミントンは他の球技と比べて突出した最速記録を持ちます。先述の通り、現在認定されている最速のバドミントンスマッシュは時速565kmです。一方、テニスでは時速263km、卓球では116kmと記録されています。これらの数値を見れば、バドミントンが「球技最速」を自負するゆえんがわかります。
室内競技ならではの特徴
また、バドミントンは室内競技であるため外的要因による速度低下が少なく、高速を維持しやすいのが特徴です。加えてシャトルコックとラケットは極限まで空気抵抗を抑える形状に設計されています。これらの要素が相まって、バドミントンの初速は他競技をはるかに上回るものになっています。
スマッシュスピードを上げるコツ
ここまでスマッシュ速度のデータを見てきましたが、誰もが速いスマッシュを打てるわけではありません。速度を上げるためには、技術・体力・装備のすべてが重要です。この章では具体的な練習法やテクニックを紹介します。
正しいフォームと体の使い方
スマッシュではまず正しいフォームが大切です。高い打点でラケットを振り下ろし、踏み込んだ足の力と上体のひねりをスムーズにつなげることで威力が増します。打つ瞬間は手首のスナップを効かせてヘッドを加速させ、シャトルにエネルギーを伝えます。肩から腕だけでなく、体幹と脚の力を連動させることが速いスマッシュを実現するポイントです。
下半身と体幹の強化
強力なスマッシュには下半身と体幹(コア)の安定が欠かせません。脚力で地面をしっかり踏み込み、腹筋や背筋で体幹を支えることで、全身からラケットに力を伝えることができます。スクワットやプランク、体幹トレーニングで太もも・お尻・腹筋などを鍛えると、スイングの土台が強化されてスマッシュ速度も上がります。
タメを作る技術
スマッシュの威力を高めるには”タメ”(コッキング)を作ることもポイントです。ラケットを引き寄せる際に手首を曲げてタメを作り、その後一気に振り切るとラケットヘッドにより速いスピードを乗せられます。タメのあるフォームを身につけるには、背中でラケットを支える意識でゆっくり引いてから急加速させるドリルや、壁打ちで自分の振り出しを確認すると効果的です。
ラケット・シャトルの選び方
スマッシュ速度は用具の選択でも変わります。ヘッドが軽く硬めのフレームや強いガットを使ったラケットは振り抜きが早く、ヘッドスピードを上げやすい傾向があります。また、シャトルは新品に近いものや性能の高いモデルを使うと空気抵抗が少なくなり、スマッシュが速く飛びます。つまり、適切なラケットとシャトルを選ぶことで自分の力を最大限に引き出せます。
まとめ

バドミントンのスマッシュは時速565kmという驚異的な記録を持ち、球技の中で群を抜いた速さを実現しています。同時にシャトルは急激に減速するため、高速性と戦略性が両立した競技となっているのが特徴です。今回紹介した公認記録や専門家解説にもあるように、正しいフォームや体幹トレーニングを積むと速度アップは誰でも可能です。バドミントンの速度の仕組みを理解し、速いスマッシュを目指して練習に役立ててください。
・バドミントンのスマッシュは球技最速の部類で、2023年に男子では時速565kmの記録が公式に計測されました。
・シャトルは羽根の構造で打球直後の速さから急激に減速するため、緩急をつけた戦術的なプレーが可能になっています。
・ほかの球技と比較してもバドミントンの速度は突出しており、テニスや野球を大きく上回ります。
・速いスマッシュを打つには正しいフォームと身体能力の強化が重要です。タメを作る技術や適切な用具の選択も意識しましょう。
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