バドミントン公式試合では主審がスコアシートと呼ばれる専用用紙に得点などの試合情報を記録します。シングルスは1対1の試合なので記入項目は少なく、基本的にはダブルスよりシンプルです。しかし、ルールを誤解したまま書いてしまうと試合結果に影響することもあるため、正確な記入が求められます。本記事では2025年の最新ルールも踏まえ、シングルス試合でのスコアシートの基本的な書き方と注意点をわかりやすく解説します。
大会前の準備から試合中の得点記録、試合後の処理まで、実際の記入例も交えて説明します。審判初心者や初めて主審を担当する方でも安心してスコアシートを扱えるようになる内容です。
バドミントン シングルス スコアシートの書き方
シングルスでは対戦プレイヤーが1人ずつのため、スコアシートの構成は非常にシンプルです。必要な欄を埋めながら、試合結果を正確に記録していきます。スコアシートは地域や学校によって「得点表」や「審判用紙」などと呼ばれることもありますが、どれも主審が得点を記録する公式用紙を指します。
スコアシートの役割と意義
スコアシートは試合の公式記録であり、各ゲームの得点経過と最終結果を証明する重要な書類です。審判がラリーごとにコールした得点を記入し、正確な試合結果を残します。不明点や審議があった際に証拠となるので、各ポイントを漏れなく書き込むことが大切です。
審判と記入者の役割
公式戦では主審がスコアシートの記入を担当します。主審はサービス・レシーブを確認しながらラリーごとに得点コールを行い、それに応じてシートに記入します。線審はラインジャッジに専念しますが、スコアシートの記入は常に主審が行うものと考えてください。部活の練習試合などでは選手がスコア記入を兼任することもありますが、記録の正確性は変わりません。
シングルス試合の基本ルール
シングルスでは21点先取のラリーポイント制が適用されます。両プレイヤーの合計得点が20-20になると2点差がつくまで続行し、30点に到達するとそこでゲーム終了です。それぞれのゲームで先に11点に到達した時点でインターバルとなり、プレイヤーはコートを移動します(詳細は後述)。得点システムはダブルスも含め2023年ルールで統一され、各ラリーの勝者が必ず1点を記録します。サーブ権は得点者が保持し、相手が得点した場合に移動します。なお近年のルール改正でダブルスのセカンドサーブ権は廃止され、シングルスと同様の方式になりました。
スコアシートの基本と記入準備

スコアシートには試合情報や選手情報を記入する欄と、ラリーごとの得点を記録する盤面があります。大会名、種目(男女シングルスなど)、日時、コート番号など大会情報、選手名・所属・背番号といった選手情報、ファーストサーバー・ファーストレシーバー欄、主審・副審の名前欄などが含まれます。基本的にこれらの項目は試合前に埋めておきます。大会によっては大会本部が大会名などの一部を予め記入していることもありますが、自分の目で内容を確認し、空欄があれば記入しておきましょう。
- 大会名、種目、日時、コート番号などの大会情報
- 選手名(苗字・名前)と所属/背番号などの選手情報
- ファーストサーバー/ファーストレシーバーの記入欄
- 主審・副審の氏名欄
- (必要に応じてタイムアウト欄やシャトル使用数欄など)
【注意】スコアシートを見返したときに正確に試合内容を把握できるよう、ファーストサーバーとファーストレシーバーは必ず記入しましょう。誤って記入すると、その後の得点の推移が合わなくなります。試合開始前にコイントスなどでサーバー順を決め、確認した上で記載してください。
選手情報と試合情報の記入方法
選手名は公式エントリーと同じ表記で記入しましょう。学校名やクラブ名が必要な場合は苗字の左や下に略称などを書き込むと分かりやすいです。たとえば「**高校 田中太郎」のように所属名を省略せずに記入します。試合日時やコート番号なども正確に記入します。日付は「2025/07/20」など西暦で統一するとよいでしょう。
スコアシートのラリー盤面では、通常左側に1人目の選手、右側に2人目の選手を記入します。コイントスで決まったサーバーがどちらかによって、左側と右側に配置する選手が違う場合がありますので、最初に確認してから記入してください。
サーバー・レシーバーの決定方法
試合開始前にコイントスやラケットを回してどちらが先にサービスをとるかを決めます。コイントスの勝者はサーブかコートを選べますが、ほとんどの場合サーブを選びます。サーブ権を得た側は初期サーバーとなり、相手側は初期レシーバーとなります。スコアシートには、初期サーバーを行う選手名をファーストサーバー欄に書き込みます。これによって、試合中に誰が先にサーブしたかを振り返って確認できるようにします。
試合中のスコア記録手順

ラリーごとの得点記録方法
試合が開始したら、主審は各ラリーごとに得点コールを行い、それに従ってスコアシートに記入します。例えば左側の選手(Aさん)が最初のサーブをし、Aさんがラリーを取った場合は「1-0」となりますので、左側の列に「1」を書き込みます。次に相手のBさんがラリーを取れば「1-1」となり、右側の列に「1」を書き込みます。いずれも各ラリーで得点を勝ち取った選手の列に点数を書き入れます。
ポイントを記入する際は1ラリー1点として正確に進めます。ゲーム最後には各列の点数が最終得点になります。たとえば1ゲームが21-17で終了したら、一方の列に21と17を書いてゲーム1の得点を確定させます。
サーブ権の移動と記入方法
シングルスではサーブ権の移動もシンプルです。サーブ側がラリーに勝てば同じ選手が次もサーブし、レシーブ側がラリーに勝てばサービス権が移ります。スコアシート上は、得点が入った時点でどちらの列に「1」を記入し、次のラリーに備えます。たとえばAさんがサーブ時に得点し続ける限り左列に得点を書き続けますが、Bさんが得点した場合は右列に点数を書いて以降のラリーはBさんがサーブします。
インターバル時の対応
各ゲームで選手が11点に到達するたびに1回のインターバル(第2ゲームの11点先取の場合なども含む)が入ります。インターバルになった時点では審判は「インターバル、○-○」とコールするだけで、特にスコアシートへの記入は不要です。選手はコートを移動した後、次のラリーから同じスコアで続けます。
試合終了後に次のゲームを行う場合は、双方で新たにコイントスを行うかサービスを行う選手を決める方法で第2ゲーム(または第3ゲーム)の初期配置を決定します。スコアシート上は新しいゲーム用の欄に0-0から書き始めます。
試合後の記入と確認事項
最終スコアの確定と記入
試合終了後は、各ゲームの最終得点が正しく記入されているか最終チェックします。たとえば1ゲームが21-15、2ゲームが19-21、3ゲームが21-18で決着したなら、それぞれの欄に「21-15」「19-21」「21-18」と記載します。点数が21点以上になる状況(延長戦)でも同じように記入します。記入が終わったら、勝者・敗者両者と審判員でスコアを確認し、誤記がないようにしましょう。
勝者への署名依頼と審判印
最終スコアを記入・確認したら、必ず勝者から署名をもらいます。スコアシートには「勝者署名」欄がありますので、勝者の自署を受けてください。続いて主審も自分の氏名を記入またはハンコを押します。署名・印がないスコアシートは公式記録として無効になる場合もあるため、必ず忘れずに記入します。
【重要】勝者署名と審判署名を必ず記入しましょう。署名がないスコアシートでは試合結果が公式に認められない場合があります。試合終了後は忘れずに両者から署名をもらってから、大会本部に提出してください。
シャトル使用数の記録
大会によってはスコアシートに使用シャトルの本数を記録する欄があります。公式戦や公式クラブでは換羽数を管理する場合があるため、欄がある場合は実際に使用したシャトルの数を記入してください。多くのアマチュア大会では記入しないこともありますが、欄があれば主審は数を確認して記載しておきます。
シングルスならではのポイント

ダブルスとの主な違い
シングルスとダブルスでは、対戦人数やサーブ方式などに違いがあります。主要な違いは下表の通りです。
項目 | シングルス | ダブルス |
---|---|---|
対戦人数 | 1人対1人 | 2人対2人 |
サーブ方式 | 得点した選手が次もサーブ | 同様(セカンドサーブ権は廃止) |
ゲーム進行 | 各ゲーム21点先取、11点でサイド交代 | 各ゲーム21点先取、11点でサイド交代(ルール統一) |
サイドチェンジとインターバル
シングルスでは各ゲーム11点に達した時点でインターバルが入り、選手はコートを移動します。インターバルでは審判が得点をコールしてから「インターバル」と宣言し、休憩後に同じ得点で再開します。スコアシートには特別なマークは必要なく、そのまま続けて記入してください。ゲーム終了後に2ゲーム先取で1-1になった場合はもう一度サイドチェンジを行って第3ゲームを開始します。
サービス・レシーブの注意点
シングルスのサービスでは、サーバーの得点が偶数の場合は右側から、奇数の場合は左側からサービスします。レシーバーは常に対角線上のサービスコートに入ります。サービスエリアからはみ出したり誤ったサービス線から打つとフォルトとなり、相手に1点が与えられます。主審は各サーブ前にサーバーが正しい位置に立っているかを確認しましょう。フォルトがあれば「フォルト」と宣言し、そのラリーの得点を相手に記入します。
よくあるミスと対策
- 選手名や背番号を誤って省略・記入する
- 得点を左右反対に記入する(サーバー/レシーバーを間違える)
- ファーストサーバー/レシーバーや日時を書き忘れる
- 時間切れ(インターバル)の扱いをミスする
- 試合終了後に勝者署名や審判印を記入し忘れる
まとめ
シングルスのスコアシートの書き方は、基本ルールさえ押さえれば決して難しくありません。試合前に必要情報を確実に記入し、ラリーごとに正しく点数を記録することで誤記を防げます。大会などで定められた必要事項やルール(サイドチェンジやサービスの順番など)にも注意し、試合後は勝者の署名を必ずもらうようにしましょう。
本記事の内容を参考に、試合の流れに沿って実践的に練習しておけば、初めて審判を担当する際も安心です。シングルスのスコアシートは正しい記入で選手の努力をしっかり記録するものなので、落ち着いて取り組んでください。
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