バドミントンとテニスはラケットとネットを用いる点で共通していますが、用具だけでなくコート規模、競技性、運動負荷などにも大きな違いがあります。
この記事では、両スポーツの主な違いをわかりやすく比較・解説します。初心者の方がどちらを始めるか迷ったときの参考になるよう、用具やルール、プレースタイルの違いを詳しく紹介します。
シャトルとボールの性質や得点方式など、知っておくと面白い相違点も盛り込んで解説します。
この記事を参考に、あなたが取り組みたいスポーツがより明確になれば幸いです。
両競技の違いを自分の目で確かめてみてください。
バドミントンとテニスの違い
バドミントンとテニスは、どちらもラケットを使いネットを挟んで対戦するスポーツです。これらの共通点から一見似ていますが、実際にはルールや使用用具、プレーのスピードや必要とされる体力など、多くの違いがあります。
この記事では、両競技の特徴を比較しながら違いを解説します。特に初心者がどちらを選ぶべきか迷っている場合に役立つ情報も盛り込んでいきます。
バドミントンとはどんなスポーツ?
バドミントンは羽根がついたシャトルコックをラケットで打ち合う競技です。シャトルは約5gと非常に軽量で、空気抵抗を受けて打球時に急激に減速する特性があります。そのため、プレー中はシャトルの高速な軌跡と選手の素早いフットワークが特徴です。
シングルス・ダブルスともに行い、1ラリーごとに1点が加算されます。21点先取で1ゲーム(※2点差が必要)を勝ち取る方式で、3ゲームマッチで対戦します。特徴的なスマッシュの速度はギネス記録で565km/hに達しており、非常に瞬発力とスピードが求められるスポーツです。
テニスとはどんなスポーツ?
テニスは硬式テニスボールを使用する競技で、屋外・屋内どちらのコートでもプレーできます。テニスボールはゴム製でフェルトに覆われており、バウンド性が高いのが特徴です。1ラリーごとに15→30→40→ゲームと得点が進み、1ゲームは4ポイント先取で決まります。1セットは6ゲーム先取(主に3セットマッチ)で構成され、グランドスラム大会では男子5セットマッチとなります。
こちらもシングルス・ダブルス形式があり、試合では力強いフルスイングやボールの回転を駆使します。プロ選手の最速サーブ記録は約263km/h(2012年)ですが、通常のラリーでは重いボールをいかにコントロールするかが重要です。バドミントンと異なり、地面バウンドを伴った長いラリーと深い角度のショットが戦術上の特徴となっています。
共通点と全体の違い
バドミントンとテニスはどちらもラケットでボール(シャトル)を打ち合い、ネット越しで対戦する点で共通しています。シングルス・ダブルスがあり、ラリーごとに1点を競う基本点制も同じです。
しかし、以下のような違いがあります。
- 打つ球の性質:バドミントンは軽量のシャトルコック、テニスは重い硬式ボール
- ラケットのサイズ・重さ:バドミントンは細く軽量、テニスは大きく重量感がある
- コートの大きさ:テニスコートはバドミントンよりもかなり広い
- ラリーの特徴:バドミントンは非常に短く高速、テニスは長く戦略的
- 得点方式:バドミントンは21点制、テニスはゲーム制(15-30-40-ゲーム)
ルール・得点方法の違い

バドミントンとテニスの一番大きな違いは、得点の仕組みやゲームの進め方にあります。それぞれの基本ルールを見てみましょう。
スコアとゲームの構成
バドミントンでは1ラリーごとに1点を獲得するラリーポイント方式で試合を行います。1ゲームは21点先取(※2点差が必要)で、3ゲーム中2ゲーム先取で勝利が決まります。テニスでは1ラリーごとに小刻みなポイント(15→30→40→ゲーム)を加点し、1ゲームは4ポイント先取で決まります。1セットは6ゲーム先取で、主に3セットマッチ、グランドスラムでは男子5セットマッチが採用されます。
バドミントンは20-20でデュースとなり、2点差がつくまで続行(最大30点)します。テニスも40-40でデュースになり、アドバンテージを取って2点差をつける必要があります。また、6-6以降は多くの場合タイブレークが行われます。
サーブとプレー進行の違い
バドミントンのサーブは必ず腰より低い位置から打ち、対角線上のサービスエリアにシャトルを入れます。シングルス・ダブルスでサーブ順や位置のルールが異なる点が特徴です。テニスではサーバーがベースラインに立ってオーバーヘッドサーブを行い、2度のダブルフォールトで相手に1ポイントが入ります。
また、バドミントンでは1ゲーム中にサービス権が交互に入れ替わり、ミスで相手に1点入ります。テニスでは1ゲームごとにサーバーを交代し、1ゲームに複数ポイントが入る点が異なります。
デュースと試合形式
バドミントンでは1ゲームが20-20になるとデュースとなり、2点差がつくまで続けます。ただし29-29の場合は次の30点でゲーム終了です。テニスではデュースからアドバンテージ制に入り、多くの場合は6-6でタイブレークに進みます。
まとめると、バドミントンは21点制の短いゲーム、テニスはゲーム制とセット制を組み合わせた長い試合形式といえます。この得点方式の違いも両者を大きく分けるポイントです。
用具・コート・環境の違い

両競技で使用する用具やコートサイズには次のような違いがあります。
比較項目 | バドミントン | テニス |
---|---|---|
使用球 | 羽根付きシャトルコック(約5g) | 硬式テニスボール(約56~59g、フェルト張り) |
ラケット | 全長68cm以内、約80g(軽量で細身) | 全長73.7cm以内、約270~310g(重量感がある) |
コートサイズ (シングルス) |
縦13.40m×横5.18m | 縦23.78m×横8.23m |
ネット高さ | 中央約1.55m | 中央約0.91m |
得点方式 | 21点先取(3ゲームマッチ) | 15-30-40-ゲーム(6ゲーム先取、3~5セット) |
使用する球の違い
バドミントンで使うシャトルコックはコルクと羽根でできており、約5gと非常に軽いです。その軽さから打ち上げた後は急速に減速し、遠くに飛びにくい特徴があります。一方テニスボールはゴム製でフェルトに覆われ、56~59gと重くバウンド性があります。バウンド後の反発力も強く、空気圧による弾みが特徴です。
このように、シャトルとボールでは重量や飛び方が大きく異なります。バドミントンは高さのあるアーチを描くクリアやドロップショットが多用されるのに対し、テニスでは地面バウンドを活用したショットが基本になります。
ラケットの比較
バドミントンラケットは全長68cm以下、重量約80g前後と軽量で、フレームが細くしなやかです。速く飛んでくるシャトルに対応するため、小さな振りで反応できる設計になっています。一方テニスラケットは最大73.7cm、重さ約270~310gとずっしり重く、フレーム面も大きいです。力強いボールを打つための剛性が高い素材が使われています。
コートサイズとネットの違い
バドミントンはシングルスで長さ13.40m×幅5.18m、ダブルスで幅6.10mのコートを使用します。ネットの高さは中央で約1.55mです。テニスはシングルスで長さ23.78m×幅8.23m、ダブルス幅は10.97mで、ネット中央の高さは約0.91mです。
また、バドミントンは屋内でプレーするのが基本です。風の影響を受けやすいためで、新建材の室内コートで行われることがほとんどです。一方テニスは舗装、クレー、芝など多様なサーフェスがあり、屋外でプレーすることが一般的です。両者の用具特性に合わせて、プレー環境も大きく異なっています。
プレースタイル・フィジカルの違い
ここからは、実際のプレーにおいて求められる身体能力とスタイルの違いを解説します。動きの速さや必要な筋力、技術の違いを見ていきましょう。
ラリー速度とスピード感
バドミントンはシャトルが非常に軽いため、ラリーが非常に速い展開になります。2023年にはバドミントンのスマッシュが565km/hに達するギネス記録も生まれており、一瞬でポイントが決まることが多いスポーツです。その分、短い時間に集中力と判断力が要求されます。
テニスボールは重みがあり加速は緩やかですが、スイングスピードを生かしてボールに回転をかけることでラリーをコントロールします。最速サーブは約263km/hですが、通常のラリーではボールがバウンドしながらゆったり進むため、長いラリーを続ける体力が必要になります。
フットワークと体力・筋力
バドミントンはコートが狭い分、方向転換とジャンプの瞬発力が求められます。低い姿勢や膝の屈伸からの素早い動きが多く、脚部の筋力と高い敏捷性を要します。一流選手はシャトルを追う素早いステップでコートを縦横無尽に動き回ります。
テニスでは、広いコートをカバーする持久力と、パワフルなスイングを支える腕や上半身の筋力が必要です。長いラリーを続けるスタミナに加え、肩や背中、腰を使った大きな体重移動で強いボールを打つ技術が求められます。
主要なショットと技術の違い
バドミントン特有のショットには、打点が高いネット前の「ドロップ」やクリア、高速スマッシュがあります。シャトルが軽いため、手首のスナップを効かせてナイロンのようにフェイントをかけたり、瞬時に落とすショットが可能です。
テニスの主要ショットには、フォアハンド・バックハンドストローク、サーブ、ボレーなどがあり、ボールにトップスピンやスライス回転をかけることが一般的です。ラケットを大きく振り、腕全体を使うスイングでボールを打つ点がバドミントンとの大きな違いです。
体への負担・怪我のリスク
バドミントンは短いラリーを連続でこなすため、足首や膝、腰に負担がかかりやすいです。急なダッシュやジャンプからの着地で捻挫や筋挫傷のリスクが高く、またスマッシュの連続で肩や肘を痛めることもあります。瞬発的に動く運動が多いので、怪我を防ぐにはウォーミングアップが特に重要です。
テニスは長時間プレーで腰や膝への持続的な負担がかかります。また、反復的なスイング動作から肘や肩に慢性的な疲労が溜まりやすいです。どちらも激しい運動を伴うスポーツですので、正しいフォームとストレッチで体を整える必要があります。
歴史・人気・競技人口の違い

最後に両競技の発祥や普及度について見ていきましょう。長い歴史と世界的な人気にも違いがあります。
起源と発展
バドミントンは19世紀中頃のイギリスで確立し、1893年にルールが統一されました。1988年にオリンピックの採用競技となり、1992年バルセロナ大会から正式種目になりました。日本でも戦後に普及し、現在は国際大会で多くのメダルを獲得するほど強い競技になっています。
テニスの起源は古く、フランスやイギリスで室内外ゲームとして行われました。19世紀中頃に英国で近代テニスが確立し、すぐに世界中に広まりました。四大大会(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米)の伝統があり、近代五輪では初期から採用されていた競技です。日本では明治時代に伝わり、現在ではプロ競技も盛んです。
オリンピックと国際大会
バドミントンは五輪だけでなく世界選手権やアジア大会など多くの国際大会があり、アジア勢やヨーロッパ勢が競い合います。近年は日本選手がメダルを獲得するなど注目度が増しています。テニスはオリンピックの他、グランドスラムやデビスカップ/フェドカップといった歴史的大会が注目されます。各国のプロ選手が世界ランキングを争い、注目度の高い競技です。
どちらも世界的に競技人口が多く、トップ選手の試合は世界中で中継されます。テニスは賞金大会が多く、プロリーグも整備されていますが、バドミントンも近年大会が充実してきています。
競技人口と人気度
世界規模で見ると、バドミントンの競技人口は約2億2千万人(2025年時点)とも言われ、中国やインド、東南アジアで非常に人気があります。テニスの競技人口は約1億1千万人ほどで、欧米や南米でも広く親しまれています。日本国内では、手軽に始められるバドミントンが学校や部活動で根強い人気を誇る一方、テニスは専門施設が必要ながらプロ選手の活躍で注目されています。
バドミントンは地域大会や学校教育でも普及しており、初心者向けの敷居が低いスポーツです。テニスはコート環境が必要ですが、伝統の大会やプロゲームの影響で人気を集めています。いずれも多くの人々に楽しまれるメジャースポーツです。
まとめ
以上のように、バドミントンとテニスは同じラケット競技でありながら、用具・ルール・プレースタイルに大きな違いがあります。バドミントンは軽いシャトルコックを用い、非常に速い展開で瞬発力を活かすスポーツです。一方テニスは重いボールのバウンドを利用し、パワーと持久力を要求されるスポーツです。
どちらも競技人口が多く、オリンピックや国際大会で上位を競う人気種目です。バドミントンは道具が少なく始めやすい一方、テニスは戦術の奥深さと試合数の多さが魅力です。この記事で比較した違いを参考に、自分に合ったスポーツを選んでみてください。
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