バドミントンが「体に悪い」と言われる理由や真相について、気になっている人は多いでしょう。運動量が多く動きが激しいバドミントンですが、健康に良い面もたくさんあります。体への負担やケガのリスクを知った上で正しく対策すれば、長く安全に楽しむことができます。本記事では、バドミントンのデメリットとメリットを専門家の意見や最新情報と共に紹介し、体を守りながら上手にプレーする方法を解説します。
目次
バドミントンは体に悪い?健康への影響を正しく知ろう
「バドミントンは体に悪い」という噂を耳にすることがありますが、その多くは誤解です。確かに激しい動きを繰り返すため、筋肉や関節に大きな負担がかかるスポーツです。しかし、多くの研究や専門家は、適切に行えばむしろ健康に役立つと指摘しています。実際、バドミントンは心肺機能を高め、基礎代謝を向上させる全身運動であり、エネルギー消費も大きい運動です。
バドミントンが「体に悪い」と言われる主な理由を整理してみましょう。一般的に、ジャンプで膝に負担がかかる、回転運動で腰や肩を痛めやすい、利き手・利き足が偏ることで体の左右バランスが崩れる、といった点が指摘されます。しかし、これらは適切な対策やフォームで大幅にリスクを減らせる要素です。重要なのは、そういった負担やケガのリスクを理解し、予防策を取ることです。専門家も「運動不足の解消にバドミントンは効果的だ」と指摘しており、筋力や持久力、運動反射が鍛えられる利点も高く評価されています。
バドミントンに対する誤解と真実
バドミントンで体が壊れるほど酷使するイメージを持つ人もいますが、実際のところはフォームや筋力によって負担は大きく変わります。研究やコーチの意見によれば、バドミントンは正しいフォームと十分なウォームアップを行えば健康効果が高いスポーツです。150cm以上ある速いシャトルが飛ぶほどの運動強度ですが、これも慣れたプレーヤーや適切な技術がある人に限った話です。
むしろ最近の調査では、バドミントンのようなラケットスポーツが長寿効果をもたらす可能性が指摘されています。ある研究によれば、バドミントンなど球技系スポーツを習慣的に続ける人は、ジョギングや水泳よりも長生きする傾向が見られています。これは、仲間と一緒に楽しむ社交性や、心拍数を上げる持続運動が組み合わさるためと考えられています。
バドミントンをする際の身体的負担とケガの原因

バドミントンの激しい動作は、特定の部位に繰り返し大きな負担をかけます。以下のような身体的負担には注意が必要です。
- 左右の筋力バランス偏り:ラケットを持つ利き手と踏み込む利き足が固定されることで、体の左右で筋力差が生じやすくなります。
- 膝への衝撃:ジャンプして着地する動作や素早いストップ&ターンで膝に衝撃が加わります。
- 腰と背中への回旋:スマッシュやクリアを打つ際に体をねじる回転動作が多く、腰まわりに負担がかかります。
- 肩・肘の負荷:高い位置から腕を振り下ろすスマッシュ動作で、肩や肘の腱・筋肉に繰り返し大きな負荷がかかります。
- 足首・ふくらはぎの緊張:急な方向転換や前後のステップで足首をひねったり、かかとで着地することでアキレス腱に負担がかかります。
このような負担が長期的・頻繁に続くと、「筋肉痛」や「筋膜炎」「靭帯損傷」などのケガにつながります。例えば、片側だけでラケットを振る動作を長年続けると肩甲骨周りの柔軟性が低下し、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のような症状を引き起こすことがあります。理学療法士によると、バドミントンのオーバーヘッドストローク(スマッシュ)では肩のインピンジメント(肩峰下インピンジメント症候群)が起きやすく、肩甲骨と上腕骨の間で腱板断裂やSLAP損傷のリスクが高まると言われています。
筋肉バランスの偏りと腰痛
バドミントン特有のラケット動作では、右利きの人が右肩~右腰に偏った筋力を使いがちです。これが慢性的に続くと体の左右差が広がり、腰痛を引き起こしやすくなります。特に腰を反らしたりひねったりする動作は、腰椎や筋膜に負担をかける原因です。身体のバランスを整えるため、利き手以外でも素振りをしたり体幹を強化するトレーニングを取り入れることが推奨されます。
膝への負担と着地のリスク
ジャンプスマッシュや飛びつきクリアでは空中でシャトルを捉え、着地時に膝に体重がかかります。特に斜め方向に着地すると、膝関節が捻れやすく半月板や靭帯への負担が大きくなります。実際にバドミントンプレーヤーで前十字靭帯損傷を経験した人は多くあります。対策としては、膝周りの筋肉(大腿四頭筋やハムストリング)を鍛えて着地時の衝撃を吸収しやすくすることが有効です。また、ジャンプ量を減らすプレー選択や、膝関節を安定させる体幹トレーニングも有益です。
肩や肘の痛みを引き起こす動作
スマッシュやクリアで腕を振り下ろす動作は肩を大きく使い、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)やインピンジメント症候群といった障害を招きやすいです。理学療法士の解説によれば、高い位置からのスマッシュでは棘上筋や棘下筋など肩のインナーマッスルが大きく伸ばされるため、肩甲骨と上腕骨の間に挟み込まれて腱板を損傷しやすいということです。これらの問題を避けるには、肩周りのストレッチや肩甲骨の可動域を維持する運動、十分な休息を取ることが重要です。
足首の怪我と捻挫リスク
ダッシュや急停止、方向転換が多いバドミントンでは、足首をひねる捻挫が非常に多い怪我です。一般的に、バドミントンではスポーツ外傷で最も多いのが足関節捻挫とも言われています。履くシューズの選択や動きの際の着地姿勢に注意を払い、捻挫予防用のテーピングを使用するなどの対策が効果的です。もし捻挫が起こった場合は、すぐに安静、冷却、圧迫、挙上(いわゆるRICE処置)を行い、適切な治療・リハビリで早めに回復を図りましょう。遅れると再発や慢性的な痛みにつながる恐れがあります。
バドミントンの健康効果・メリット

一方で、バドミントンには体にとって良い効果もたくさんあります。デメリットだけでなくメリットも知ることが大切です。
- 心肺機能の向上:全力でラリーを続けることで、有酸素運動による心肺機能の強化が期待できます。
- 筋力アップ:前後左右に素早く動くため、脚力・体幹・腕力など全身の筋肉がバランスよく鍛えられます。
- 消費カロリーが高い:中強度~高強度の運動が30分以上続くため、ダイエットや代謝アップにも効果的です。
- ストレス解消と集中力向上:反射神経を使い、相手とラリーをすることで気分転換ができ、メンタル面にも良い影響があります。
- コミュニティ:仲間とチームをつくることが多く、社会的なつながりが生まれやすいスポーツです。
これらのように、バドミントンは体の持久力を高める運動であり、生活習慣病の予防や筋力維持につながります。実際、適度な運動ができると疲れにくい身体になり、日常生活も元気に過ごせます。例えば厚生労働省の調査でも、日常的に運動をしている高齢者は寝たきりリスクが低くなることが示されています。バドミントンはそれぞれの強度が調整しやすく、学生から高齢者まで楽しめる点もメリットです。
ケガを防いで安全に楽しむための方法
負担やケガを避けながらバドミントンを続けるためには、しっかりとした準備と正しい知識が必要です。以下のポイントを押さえましょう。
◆ ウォームアップとストレッチ:運動前に必ず入念な準備運動をしましょう。肩まわりや腰、足首などを中心にストレッチを行うことで怪我のリスクが大きく減ります。シャトルを打ち始める前に、全身を軽く動かしておくことが重要です。
正しいフォームとウォーミングアップの徹底
プレー前後のウォームアップやクールダウンは非常に重要です。体が十分に温まった状態でないと、急激な動きで筋肉や腱を痛めるリスクが高まります。理学療法士は、「肩や腰の柔軟性が低いと無理に動かすことで痛めやすい」と指摘しており、肩甲骨周りや股関節周辺を重点的にほぐすストレッチが効果的です。また、プレー中や待機時間に短い休憩を入れ、体にクールダウンの時間を与えることも忘れないでください。
筋力トレーニングと体幹づくり
膝や腰への負担を軽減するために、体幹(腹筋・背筋)を鍛えておくと効果的です。これにより、着地時の衝撃を吸収しやすくなりケガ予防になります。スクワットや体幹トレーニング、軽いダンベル運動など、普段の練習以外で筋力アップに努めましょう。筋力が強いと動作の安定性が増し、フォームもブレにくくなります。
用具と装備を見直す
適切な用具選びも重要です。足に合ったシューズは足首の固定をサポートし、コートでの滑りやすさを抑えてくれます。ラケットやストリング(ガット)も体への負担に影響します。自分に合ったシャフトの硬さや重さのラケットを選ぶことで腕や肘への負担が軽減できます。定期的にシューズのすり減りをチェックし、インソールを入れてアーチをサポートするのも有効です。
休息と回復
ケガを避けるには、練習や試合の後のケアと休息も大切です。細かい痛みや違和感が出たら、その日の練習は控えてアイシングや休息を取りましょう。痛みを放置すると慢性化してしまい、後で大きな怪我につながるリスクがあります。しっかりとケアして回復を優先することで、長くバドミントンを楽しめる体を保てます。
まとめ

バドミントンは確かに激しい動作が多いスポーツですが、それを理解した上で練習すれば体に悪影響を避けながら楽しめます。ケガのリスクを防ぐためには、フォームに気を付けること、十分なウォームアップと筋力トレーニングで体幹をしっかり鍛えることが重要です。一方で、バドミントンは健康維持やストレス解消に有効な運動でもあります。最新の調査では、バドミントンを含む定期的な運動が寿命延長につながるとされる結果も出ています。正しい知識と対策を持ってプレーに臨めば、バドミントンは体にとってプラスになることが多いスポーツです。
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