バドミントンの大会で審判を務める際、スコアシートの正しい書き方は必須のスキルです。慣れないうちは「どこに何を書くのか?」と戸惑うことも多いでしょう。本記事では、スコアシートに記入する手順を基本から解説します。初心者でもわかりやすいように、試合前の準備からシングルス・ダブルス別の得点記入方法、試合後の記入まで詳しく説明します。
目次
バドミントン スコアシート 書き方の基本ルール
スコアシートの書き方を理解するには、まずバドミントンの得点方式を押さえましょう。現在のルール(ラリーポイント制)では、1ラリーにつき勝った側に1点が加算され、先に21点(2点差)を取った選手・ペアが1ゲームを獲得します(20-20でタイの場合は2点差になるまで続行、ただし最大30点まで)。また、1ゲーム終了後にはコートを入れ替え、計3ゲームマッチ(2先取)が基本です。
スコアシートでは各ゲームの得点経過を記録します。対戦する両者(シングルスの場合は両選手、ダブルスの場合は両ペア)が表の縦に並びます。ラリーごとに得点を加算し、必要に応じてコートチェンジ(11点到達時)やゲーム終了を明示します。ミスを防ぐためにも、以下の比較表でシングルスとダブルスの違いを確認しておくとよいでしょう。
シングルスとダブルスの違い
項目 | シングルス | ダブルス |
---|---|---|
プレー人数 | 1人対1人 | 2人対2人 |
得点方式 | 21点先取(2点差) | 同じ(21点先取、2点差) |
サイドチェンジ | 各ゲーム11点でコートチェンジ | 同じ(11点到達で交代) |
サーブ権移動 | 得点を取った側がサーブ権を保持 | サーブ側が得点時はパートナーにサーブ権が移る |
レシーブ側勝利 | 得点を得た側にサーブ権が移動 | 得点を得た側がサーブ権を獲得(相手チームのパートナーがサーブ) |
セカンドサーブ権 | (なし) | (廃止され現在はラリーポイント制で同じ) |
上記は記入時の参考です。シングルス・ダブルスともラリーポイント制で記録方法は共通する部分が多いですが、特にダブルスは2人が交互にサーブを行うため、サーブ権移動のルールを押さえておきましょう。
事前準備: スコアシート記入の開始前

試合開始前にスコアシートに記入しておく事項を確認しましょう。審判が落ち着いて試合運営できるよう、次の項目は事前に記入しておくと安心です。
- 審判署名と試合開始時間の記入
- チーム名および選手名の記入
- サーブ/レシーブを行う組の決定(コイントスやじゃんけん)
- 名前の横に役割や特徴をメモ
審判署名と試合開始時間
まず、スコアシート上部または指定欄に主審・副審の署名欄があります。担当審判は自分の名前を署名し、試合開始予定時刻も記入します(例:14:00)。正式な記録として必要なため、開始時刻はできるだけ正確に記入しましょう。これにより、試合終了時刻との比較や記録の整合性を保つことができます。
チーム名と選手名の記入
対戦する両チームの名称および出場選手名をスコアシートに記入します。一般に、左側に一方のチーム(または選手)、右側にもう一方のチーム(選手)を記載する形式です。選手名はフルネームで書きましょう。ダブルスの場合はペアの順序を決め(通常サーブ担当者を先に)、選手名の横に「1番」「2番」など番号を付けると混乱を防げます。
サーブ権の決定と記入
試合開始前のじゃんけん(またはコイントス)でサーブ/レシーブとコートのどちらを選ぶかを決めます。勝ったチームが「サーブする/レシーブする」を選択し、スコアシートで先にサーブする組を明確にしておきましょう。例えば、サーブを選んだ場合はサーバーの名前横に「S」(サーブ)、レシーブを選んだ場合は「R」(レシーブ)と書きます。これにより、どちらのチームが最初にサービスゲームを開始するのか明示されます。
選手情報の確認
試合前に選手の顔と名前をしっかり確認しておきます。外国人選手や文字の読みにくいサインの場合は、簡単な特徴(ユニフォームの色や番号など)をスコアシートに書き込んで目印を付けておくとよいでしょう。これにより、試合中に「この人がサーバーで合っているか?」と迷わず対応できます。
シングルスのスコアシート記入方法

シングルスでは1対1で行うため、記入する行は両選手それぞれ1行ずつです。ラリーごとに得点をつけていき、サーブ権が移動するたびに記入位置を切り替えます。主なポイントは以下の通りです。
サーバーが得点した場合
サーバー側がラリーに勝って得点を取った場合、サーブしていた選手の行に得点を加算します。スコアシートでは通常、横方向(列)の次のマスに「1点」を記入します。例:サーバーが先取点を取れば、サーバー行の1列目に「1」を付けます。そのままサーバーは次の点のサーブを続けます。
レシーバーが得点した場合
レシーバー側がラリーに勝って得点した場合、サーブ権が相手に移ります。スコアシートでは、受け側(新しくサーブする側)の行に得点を記入します。具体的には、現在の列がまだ空いている場合はその同じ列に記入し、空いていない場合は次の列へ移動して記入します。サーブ権が移った後は新しいサーバーが次の点のサーブを行います。
11点でのサイドチェンジ
シングルスでも、各ゲームで11点に達した時点でコートを交換します。スコアシートでは11点に到達した部分に目印(例:線やスペース)をつけておくと分かりやすいです。サイドチェンジ後も同様に得点記入を続け、相手コートでも戦況を正確に追いましょう。
ゲーム終了時の記入
各ゲームが終了したら、そのゲームが誰の勝ちかを明確に記録します。最後に得点を書き終えた列以降の空欄には斜線を引き、記入をこれ以上行わないようにします。その上で、勝者の最終得点を丸で囲むなどしてゲーム終了を示してください。例えば、スコアが21-15で終了なら、21の数字に丸をつけます。
ダブルスのスコアシート記入方法
ダブルスは1ペア2人で戦うため、各チームの2人分の行を使います。記入の基本はシングルスと同じですが、サーブ順が複雑になる点に注意が必要です。以下の手順で記入します。
サーブ順とペア間の連携
ダブルスでは1イニング中に2人が各々サーブを持ちます。最初にサーブする人(ファーストサーバー)は試合前に決定してあります。サーバーが得点した場合、同じペアのもう一人(セカンドサーバー)にサーブ権が移ります。サーバーが連続得点を取る度に交代します。一方、レシーブ側のペアが得点すると、サーブ権は相手チームに戻り、その時点の適切なサーバーに移ります。サーブ順を間違えないように、各ペア内でサーバーとレシーバーの順番を確実に把握しておきましょう。
サーバーが得点した場合
サーバー側のペアがラリーに勝って得点した場合は、先ほど説明したサーブ順に従い、点数を記入します。得点は必ず現サーバーの行に横方向の次のマスへ記入します。パートナーにサーブ権が移った場合は、そのパートナーの行に書き進めます。ポイント数の増加とサーブ権移動を同時に記録できるよう、サーブ順が交代するたびにペンの位置をずらして記録していきましょう。
レシーバーが得点した場合
レシーバー側のペアが得点した場合、サーブ権は相手チームに移ります。記入位置はサーブ権のある側(今度サーバーを務めるペア)の行へ移動し、次の列に得点を記入します。例えば、AチームがサーブしていてBチームが得点の場合、次の列にBチーム側の適切なサーバーの行へ「1」を付けます。これにより、サーブの流れとスコアが連動して記録されます。
サイドチェンジとゲーム終了時の記録
ダブルスでも各ゲーム11点到達時にコートチェンジを行います。シングルス同様、11点で区切りを入れてから記入を続けます。ゲーム終了時には、最終得点の記入後に空欄部分に斜線を引いて終了を示し、勝利したペアの得点を丸で囲んで記録します。3ゲーム目まで行う場合は、必要に応じて勝利ペアに✓印や星マークを付けるなど、視覚的に勝者を示してください。
スコアシート記入時のコツと注意点

スコアシートを正確に書き上げるには、細かい注意点を押さえることが大切です。
- 試合中は点数の移動が素早いため、落ち着いて記入しましょう。慌てると記入ミスにつながります。
- 昼休憩やインターバル中などに、書き忘れた項目がないか確認しておくと安心です。
- 選手の頭文字や国旗などで区別を書いておくと、チームが混同しにくくなります。
正確な記入のポイント
得点を記入する際は数字が分かりやすいように大きめに書きます。また、サーブ権の移動を必ず忘れずに記録することが重要です。例えば、サーブ側勝利でサーブ権が移るときは、必ず次列に得点を書く位置が変わると覚えておきましょう。ゲームごとに必ず斜線や丸で終了処理をし、得点の重複や書き漏れがないかチェックします。ダブルスでは特にサーバー交代を間違えないよう、上記の表を参考に手順を整理しておくとよいでしょう。
よくあるミスと確認方法
スコアシートでありがちなミスとして、「サイドチェンジ時の書き忘れ」「サーブ権が移ったのに同じ行に書き続ける」「数字を横にずらし忘れる」などがあります。ミスを防止するには、各ゲーム終了後に必ず記入内容を見直しましょう。特にダブルスでは、誰が次のサーバーになるかを常に意識しながら記入することがポイントです。試合中に迷った場合は、一度試合を停止してでも選手に確認し、正しいサーブ順で記入し直してください。
【重要】 スコアシートは公式記録です。記入後は必ず双方の合意のもとで内容を確認し、最終得点に相違がないか検算しましょう。試合終了後には勝者のペアに署名をもらい、試合終了時刻も忘れずに記入してください。これらは試合結果を正式に証明するために必要な手続きです。
スコアシートと審判コールの連携
スコアの記録は審判のコールと密接に連動します。ポイント成立時には主審が「ワン(One)」などコールしてスコアを宣言しますが、同時にスコアシートにも正しく記入するようにしましょう。例えば20-20の場面でコールした場合は、スコアシートにも20-20と記入されているか確認します。コールと記録が食い違うと混乱の原因になるため、必ず両チームにも確認してもらうように心掛けてください。
まとめ
バドミントンの試合でスコアシートを書き慣れるには、ルールと記入手順の理解が欠かせません。まずはシングルス、ダブルスでのサーブ権と得点の進行ルールをしっかり押さえ、試合前に必要事項を記入する習慣をつけましょう。試合中は落ち着いて得点を追加し、ゲーム終了時には区切りを入れて記録を完了させます。始めはミスもあるかもしれませんが、回数を重ねるごとに確実に慣れていきます。この記事を参考に、正確で分かりやすいスコアシート記入をマスターしてください。
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