バドミントンのダブルスでは、2人の配置(フォーメーション)が勝敗を大きく左右します。どこに立てば効果的か、どんな形を作れば攻守が安定するかを知ることは大切です。この記事ではダブルスにおけるフォーメーションの基本から、攻守それぞれの典型的な形、前衛・後衛の役割まで丁寧に解説します。初心者の方が理解しやすいよう最新のアドバイスも交えてお伝えしますので、ダブルスの実力向上に役立ててください。
目次
バドミントン ダブルス フォーメーションの基本を理解しよう
ダブルスにおけるフォーメーションとは、2人の選手がコート上でどの位置に立つかという配置のことです。1人で広いコートをカバーするためには2人で役割分担を行い、連携をとる必要があります。その配置をどのように組むかが戦術の土台になります。シングルスとは異なり味方がいるメリットを活かすためにも、前衛・後衛の動き方や対応範囲を共有することが重要です。
基本的にダブルスでは、攻撃時は前衛(ネット付近)と後衛(バックライン付近)に分かれ、守備時には横並びで相手のショットをカバーするフォーメーションが用いられます。これらの配置を使い分けることがバドミントンダブルス独特の特徴です。攻守の切り替えをスムーズにできるよう、普段からフォーメーションの意識を高めておきましょう。
フォーメーションとは?
フォーメーション(陣形)とは、2人のプレーヤーが試合中にどのような立ち位置を取るかという配置の形を指します。ダブルスではお互いが補完し合うため、相手のショットに対応しやすい位置を維持することが求められます。例えば、相手がネット前にシャトルを上げてきた場合、前衛は積極的にプッシュを仕掛けてポイントを狙い、後衛は相手が強打してきたときにカウンターショットを準備します。このようにフォーメーションが明確であれば、対応するべきコースや次の動作が自ずと決まってきます。
初心者のうちは「前衛」「後衛」という言葉になじみがないかもしれませんが、それぞれ守る範囲が異なると考えればイメージしやすいでしょう。ダブルス最大のポイントは、2人でコートを分け合うことです。一人がネットを、もう一人が後方を担当する陣形を維持できれば、自分とパートナーの両方で攻守が成り立ちやすくなります。
ダブルスにおけるフォーメーションの重要性
ダブルスでは、2人各々の役割に応じたフォーメーションが特に重要になります。コートを二分して効率よく守り、効果的に攻めるためには、お互いのポジションと役割を共有しておく必要があるからです。例えば攻め込まれた際に背一杯に下がるのではなく、サイド・バイ・サイドの横並びで相手のスマッシュに備えれば、セーフティゾーンを広く取ることができます。
また、フォーメーションは相手の戦術にも対応するカギです。相手がパワフルに攻めてきたら守備重視の配置に切り替え、優位に立てるチャンスが来たら攻撃的な配置に戻す――そんな切り替えをスムーズに行うことでミスを減らしチャンスをつかみやすくなります。特に試合中は状況がめまぐるしく変わるため、あらかじめ基本的な陣形パターンを身につけておくことが勝利への近道です。
初心者が身につけるべきポイント
初心者がまず意識すべきは、前衛・後衛の基本的な動き方とコミュニケーションです。前衛はネット前の浮いたシャトルには積極的にプッシュやドロップで点数を狙い、相手にプレッシャーをかけます。後衛は深い位置からスマッシュやクリアでラリーを組み立て、前衛が動きやすいよう相手を押し下げます。前衛・後衛の基本動作を理解すれば、おのずと取るべきフォーメーションが見えてきます。
練習では、パートナーと声を掛け合う習慣をつけてください。たとえば「コート奥!」「ナイス!」といった簡単な声かけをするだけでも、連携に大きな違いが出ます。また、シャトルが上がったらとりあえずサイド・バイ・サイドになる、という基本的なルールを体に覚えさせることで、動き出しがスムーズになります。こうした基礎を習得することで、次第に応用的なフォーメーションも理解しやすくなっていきます。
ダブルスで使われる主なフォーメーション

ダブルスでは主に3つのフォーメーションが使われます。それぞれ攻守で役割が異なるため、状況に応じて使い分けることが大切です。以下に代表的な3つの陣形を解説します。
サイドバイサイドフォーメーション(守備時)
サイド・バイ・サイド(Side by Side)は、2人が横並びになる配置です。相手の強打を受け止める守備重視の形で、相手がスマッシュやドライブで攻めてきたときに多用されます。2人で前後左右ほぼ半面ずつを守ることで、幅広くカバーできるのが特徴です。守備に安定感があるため、フォレストライン付近からでも対応しやすくなります。
このフォーメーションのメリットは、落ち着いて相手の攻撃を受けられる点です。横方向のカバー範囲が広いため、相手のショットを追いかけやすく、前衛後衛がどちらからでもプッシュ照準が可能です。一方でデメリットとしては攻撃に移行しにくい点があります。浮いたシャトルを前衛が取っても、すぐに前衛後衛が入れ替わらないと攻撃のチャンスが作りにくくなります。
トップ&バックフォーメーション(攻撃時)
トップ&バック(Top & Back)は攻撃時に使うフォーメーションです。前衛がネット付近で待ち、後衛がコート奥から打つ配置になります。前衛は相手の弱い打ち返しをプッシュやスマッシュで決めに行き、後衛はスマッシュやクリアで相手を揺さぶります。攻撃的な陣形なので、連続して攻め込めるのが大きなメリットです。
この配置では、2人で攻めパターンを作りやすくなります。後衛が良いパス(ロブやスマッシュ)を送れば、前衛が決めにいくといった役割分担が明確です。弱点としては、相手にカウンターを狙われやすく、体力的にも負担が大きい点です。特にミックスダブルスでは、一般的に男性が後衛、女性が前衛になることが多いと言われています。男性は強いショット打てるため後方で攻撃を主導し、女性が柔軟性やラケットさばきを活かしてネット前で仕留める戦術が効果的です。
ダイアゴナルフォーメーション(中間形)
ダイアゴナル(Diagonal)フォーメーションは、トップ&バックとサイド・バイ・サイドの中間に位置する形です。イメージとしては、2人が斜めに配置されている状態で、ひし形や三角形に近い陣形になります。この形はドライブでの速いラリーや長いラリーで自然に生まれやすく、次の展開に応じて攻守を切り替えやすいのが特徴です。
具体的には、相手が速いドライブで攻めてきた場合や、前衛側に詰めてきた場合などにダイアゴナルが有効です。先に説明した二つのフォーメーションに比べて守備と攻撃の両方の要素を持ち合わせており、バランスを取りやすいと言えます。練習を重ねることで、状況に応じて頂点を入れ替えられるようになり、戦術の幅が広がります。
| フォーメーション | 特徴・メリット | デメリット |
|---|---|---|
| サイドバイサイド | 守備に優れた横並びの配置。相手のショットを広範囲でカバーしやすい。 | 攻撃力は低く、連続して攻め続けるのが難しい。 |
| トップ&バック | 攻撃に特化した配置。前衛と後衛に分かれて連続攻撃を仕掛けられる。 | カウンターに弱く、体力的な負担が大きい。 |
| ダイアゴナル | 攻守の中間的配置で柔軟性が高い。ラリーの状況に応じて前衛と後衛が入れ替わりやすい。 | 正確なポジショニングが求められ、慣れが必要。 |
前衛と後衛の役割分担

ダブルスでは、前衛と後衛で役割が明確に分かれます。前衛はネット近く、後衛はバックライン付近が主な守備エリアになります。この2つのポジションを理解することで、おのずとどのフォーメーションを取るべきかが見えてきます。ここからは、前衛と後衛それぞれの具体的な役割について詳しく解説します。
前衛プレーヤーの役割
前衛のプレーヤーはネット前でのプレーが任されます。ネット付近で浮いたシャトルを見逃さず、積極的にカットやプッシュで得点を狙います。前衛が素早くプッシュで決めれば、相手はプレッシャーを感じミスも誘発しやすくなります。また、前衛はできるだけコート中央寄りをキープし、相手がショットコースを狭めるように動きましょう。前衛の動きが安定すれば、それだけ相手のリターンの選択肢が減り、パートナーの後衛に有利なショットが回りやすくなります。
ネット前ではラケットワークも鍵です。高いプッシュ、素早いドロップ、相手のスマッシュに対するカットリターンなど、精度と反応速度が求められます。前衛の人はラケットの先を意識し、相手のシャトルが浮いた瞬間に反応できるように準備しましょう。相手がドロップショットを使ってきたときは、前衛同士の駆け引きになりますので、瞬時に前に詰めて決めに行くことが大切です。
後衛プレーヤーの役割
後衛のプレーヤーはコートの後方からラリーを組み立てる役割を担います。基本的に相手前衛が打ち返しやすいシャトルをあえて前に上げ、ネット前で相手にミスを出させるように仕向けることがポイントです。主な武器はスマッシュ、ドライブ、クリア(高いロブクリア)です。スマッシュで強烈に打ち込めば得点チャンスになりますし、深いクリアで相手を後方に押し戻せば前衛がチャンスを作りやすくなります。
さらに、後衛は体力と戦略も求められます。長いラリーが続いたら適切にポジションを変えて負担を分散し、キャッチボールのようにパートナーとテンポを作ることも大事です。相手からショートサーブが来た場合は、前衛にチャンスを譲って自らは後方で体勢を整えます。逆にロングサーブの場合は後衛の得意なスマッシュやプッシュで攻めに出ましょう。後衛が確実に深いショットを返せれば、前衛は前に出やすくなり、自陣で攻めに転ずるきっかけを生み出せます。
ミックスダブルスでの配置
ミックスダブルスでは男女の身長やパワーの差を考慮した配置が一般的に推奨されます。多くの場合、男性が後衛に回り、女性が前衛に立つフォーメーションになります。これには、男性選手の強打で試合をコントロールしつつ、女性選手の機敏なネットプレーで相手をかく乱するという狙いがあります。実際、世界トップレベルのミックスダブルスでは男性がジャンピングスマッシュを狙い、女性がネット際でリターンを決める場面がよく見られます。
しかしこの配置はあくまで一般的なパターンです。実際の試合ではペアの得意不得意、相手の戦術、試合展開によって柔軟に変える必要があります。例えば女性選手がスマッシュ力に優れる場合は逆配置にしたり、男性選手がネット技術を含めて守備が安定していれば前衛を担当したりするケースもあります。大切なのは、自分たちの長所を活かせる位置取りを見極めることです。
フォーメーションを強化するポイント
フォーメーションの効果を最大化するには、動きや連携をより滑らかにする練習や意識改革が必要です。ここでは、フォーメーションを強化するために特に意識したいポイントを紹介します。これらを意識することで、試合で安定した動きができるようになります。
スムーズなローテーション
ラリー中に前衛と後衛が入れ替わる「ローテーション」は、ダブルスで最も難しい技術の一つです。攻守を切り替えるにあたってポジションを変える動作は、焦ってタイミングを間違えると配置が崩れやすくなります。ローテーションのコツは、常に相手の次の予想に先回りすることです。例えば、自分がネットで待機していてドロップが来たと感じたら、前に詰めこんで強気に攻めに出ます。その場合、パートナーは瞬時に後退して守備に回る、といった連携を練習しておくと良いでしょう。
また自分が後衛だった場合も、シャトルの軌道によっては前に詰め、相手にプレッシャーをかけることが重要です。ローテーションの練習としては、片方がネット前を担当し、もう片方が後方からスマッシュを放つドリルなどがおすすめです。声掛けや身振りで「これからポジションチェンジする」という合図を作ると、パートナーとタイミングを合わせやすくなります。
コミュニケーション
ダブルスではペアとの連携が結果に直結するため、積極的なコミュニケーションが不可欠です。試合中はコート内で声を掛け合いましょう。「ナイス!」「私行く!」「コート左へ!」など、簡単な掛け声で意思疎通を図ります。特に前衛同士の打ち合い(ネット際で相手と競る場面)やローテーションのタイミングでは、声かけでどちらが先に動くかを伝えるだけで動きがスムーズになります。
ネット上のコンタクトやフットワークサインも有効です。たとえば、後衛がドライブを放つ前に軽く手を挙げて「この方向!」と示したり、コート中央にいる前衛が足でパートナーに動きを伝えたりする小さな習慣が連携力を高めます。日ごろからパートナーと意思疎通を意識した練習やゲームを繰り返すことで、自然と呼吸の合ったプレーができるようになります。
状況に応じたポジショニング
試合中は常に状況の変化に応じて最適なポジショニングを選ぶ意識が必要です。たとえば相手ペアが高いクリアでネット前に空間を作っているなら、前衛は積極的に詰めてプッシュを狙い、チャンスがあればロブで体勢を崩します。一方、相手のスマッシュが強いと感じたらサイド・バイ・サイドに移行し、深いロブに備えるといった具合です。
また、自分たちが攻撃権を握っているときはトップ&バックを長く維持し、逆にミスで逆襲されそうな局面ではすぐに守備体制を取れるよう準備しておきましょう。ゲーム全体を通して「今は攻めるべきか守るべきか」を見極める力がつけば、無駄な動きを減らして効率的にフォーメーションを切り替えられます。
フォーメーション強化のための練習法

これまで説明したフォーメーションや連携は、練習を重ねて体に染み込ませることで磨かれます。ここではフォーメーションを強化するために有効な練習方法をいくつか紹介します。日常の練習メニューに取り入れて、効率的にスキルアップを図りましょう。
ビデオ分析による自己チェック
自分たちのフォーメーションを客観的に見直すには、練習や試合をビデオ撮影するのがおすすめです。撮影した映像を再生しながら、自分の立ち位置やパートナーとの距離感が適切か、ローテーションが円滑かなどをチェックしましょう。「思ったより後ろに下がりすぎていた」「前衛同士の間隔が広すぎた」など、実際に映像を見ると気づきがあります。改善点が見えたら次の練習で意識して動きを修正し、継続的に改善を図ると効果的です。
実戦形式でのトレーニング
実戦に近い状況でフォーメーションを鍛えるには、ゲーム形式の練習が有効です。普通のラリー練習やコート1面でのゲームの中で「サイド・バイ・サイドからトップ&バックに切り替える瞬間」を意識してプレーしましょう。たとえば,下記のような練習を取り入れてみてください。
- パートナーとローテーションのみを意識したラリー練習
- 得点を決めたペアが守備開始、失点したペアが攻撃を始めるラリー
- ネット前のボレーだけ、バックグラウンドのスマッシュだけで交互に行うドリル
こうした工夫により、実戦に近いテンポでフォーメーションを繰り返し経験できます。
フォーメーションドリルの活用
専用のドリルを使ってフォーメーション固定の練習をするのも有効です。例えば、コーチやパートナーが学生のようにコートに入ってくる想定で、2対2の状況を想定して反復練習します。具体的には、配球役が1球だけシャトルを上げるのでパートナーと2人でサイドバイサイドからの守備、トップ&バックからの攻撃を繰り返すドリルなどです。ドリルの中で意識的にポジションを確認し合うことで、身につきやすくなります。
また、練習ではリードラリーやクロスラリーを駆使してフォーメーションを反復するメニューもおすすめです。パートナーと協力する反復練習を通じて、無意識にでもスムーズな入れ替わりや声掛けができるようになれば、本番の試合でも自然と正しいフォーメーションがとれるようになります。
まとめ
バドミントンのダブルスで勝つためには、フォーメーションの理解と実践が欠かせません。今回解説した「サイド・バイ・サイド」「トップ&バック」「ダイアゴナル」の各陣形を状況に応じて使い分けることで、攻守共に安定感が増します。また前衛と後衛の役割を明確にし、パートナーと連携できているかも重要なポイントです。練習ではビデオ分析や実戦形式で繰り返し動きをチェックし、コミュニケーションを密に取ってローテーションを磨いていきましょう。
ダブルスのフォーメーションは奥が深い要素ですが、基本を押さえれば必ずレベルアップにつながります。まずは今回の内容を参考にして基礎固めを行い、徐々に状況に応じた動きを習得してください。パートナーと共に練習を重ねてフォーメーションを磨けば、試合の勝率は確実に上がります。
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