バドミントンには「アバブザウエスト」という独特のサーブルールがあります。これはサーブ時にシャトルがサーバーの腰より上、つまり肋骨の下端より高い位置で打たれるとフォルトになるというルールです。テニスのように上から振り下ろすサーブは禁止されており、必ず低い位置からサーブを打つ必要があります。2019年のルール改正以降、この「腰より下」という基準は廃止され、コート面から1.15m以下という明確な高さ制限に変更されました。本記事では「アバブザウエスト」の意味や背景、関連用語との違い、そして現行ルールでの注意点についてわかりやすく解説します。
目次
バドミントン アバブザウエストとは?
「アバブザウエスト」は文字通り「腰(ウエスト)より上」を意味するサービングルール用語で、サーブの際にシャトルを腰より高い位置で打つとフォルト(反則)となることを指します。具体的には、サーバーがシャトルを打つ瞬間に、シャトル全体がサーバーの腰の高さ(肋骨の一番下の部分)よりも上にある場合に該当します。つまり、サーブ時は必ず低い位置(腰より下)でシャトルをヒットしなければなりません。
アバブザウエストの意味と基準
旧ルールでは、サーバーが打つ瞬間にシャトル全体が自分の腰の高さより下にある必要がありました。この「腰の高さ」とは、おへそではなく肋骨の最下部の高さを指します。もしこのラインより上で打ってしまうと「アバブザウエスト」とされ、サーブはフォルトになります。
例えると、かまえてから下向きにストロークする必要があり、水平方向や少し上向きになっていても、シャトルが腰より下を通ればセーフです。なお、「腰の位置」は選手によって異なるため、審判判断が曖昧になりやすいという課題がありました。
用語の由来と英語表現
「アバブザウエスト」は和製英語で、英語では “above the waist” に相当します。また、同じ意味で「オーバーウエスト」という表現も使われます。日本のバドミントン用語集などでは両者は同義語とされています。さらに、サーブに関しては「アバブザハンド(above the hand)」という用語もありました。こちらは当時、サーブ時にラケットヘッドがサーバーの握る手(腕)より上にある場合にフォルトとなるルールを指しており、シャフト(ラケットの柄)が下向きでないといけないというものでした。ただし、後述のようにこの「アバブザハンド」ルールも2019年の改定で撤廃されています。
国際ルールでの位置づけ
国際バドミントン連盟(BWF)の公式ルールでは、「アバブザウエスト」という特別な呼称はありません。かつては「サーブは腰より下で打つこと」という表現が用いられていましたが、2019年以降はコート面からの高さ(1.15m)で規定されています。要するに、国際的には「サーブ時の打点が低くなければいけない」という要件があるだけで、あえて「腰より上」や「アバブザウエスト」と呼ぶ習慣はほぼ無くなっています。日本国内では過去の呼称として残っていますが、現在は1.15m基準としてマニュアル化されています。
アバブザウエストルールの改正

2019年4月より、バドミントンのサーブルールが大きく改訂されました。それまで「ウエスト」を基準にしていた曖昧な規定から、誰にとっても同じ1.15メートルという高さで打点を制限する新ルールに変更されています。これにより身長差による有利不利が解消され、判定の基準が明確化されました。
旧ルールの内容
改正前は、サーブの瞬間にシャトル全体がサーバーの「ウエストより下」になければなりませんでした。この「ウエスト」とは肋骨の最下部の高さで定義され、サイドライン前でラケットを振り上げてはならないとされていました。加えて、サーブ時にはラケットのシャフトを下向きに構え、ヘッドが握り手の高さ以下で打つ必要がありました。これらを守らないとフォルト(反則)となり、サービス権が相手に移ります。
※旧ルールでは、シャトルが肋骨の下端より上にある位置で打つと「アバブザウエスト」(フォルト)となり、ラケットはシャフトが下向きであることが要求されていました。
この旧ルールでは、身長の高い選手ほどウエスト位置が高くなるため、短い打点で強力なサーブを打つことが可能で有利とされていました。その点を解消するために新ルールが検討されました。
新ルール(1.15m基準)の内容
改正後は、サーブの瞬間に「シャトル全体がコート面から1.15m以下であること」が求められるようになりました。サーバーの身長に関わらず、打点の高さは絶対的な値で制限されます。1.15mはシャトルの羽部分を含めた高さの制限で、シャトルがラケットに当たる瞬間の打点が1.15m以下であれば、その後シャトルの軌道が1.15mを超えても失点にはなりません。なお、この新ルールではシャフトの向き(下向きであること)の条件は撤廃され、ラケットの角度を気にせずサーブを行えるようになりました。
【重要】2019年4月以降、サーブ時の打点は必ずコート面から1.15m以下にしなければなりません。1.15mを越えてシャトルに当たるとフォルトとなります。
この改定により、従来の「個人の腰の位置に依存する基準」が共通化されました。身長が高い選手でも「1.15m」という同じ上限内で打たなくてはならず、サービスのルールがより公平で判定しやすいものとなっています
旧ルールと新ルールの比較
| 項目 | 旧ルール(~2019) | 新ルール(2019~) |
|---|---|---|
| サーブ高さの基準 | サーバーの腰より下(肋骨の下端) | コート面から1.15m以下 |
| ラケットの向き | シャフト下向きで打つ必要あり | 向きの指定なし(下向き条件を削除) |
| 身長による有利不利 | 身長の高い選手ほど高いサーブが可能(有利) | 共通基準で身長差の不公平を解消 |
ルール改正の背景と狙い
ルール改正の主な目的は、身長差による不公平感の解消と判定の簡素化です。従来の「腰の位置」という基準は曖昧で、審判員によって判断が分かれることがありました。改定後は測定機器などで明確に高さを測れるため、判定が容易になりました。また、前述の通り、高身長選手の優位性が問題視されており、1.15mという共通基準にすることでどの選手にも同じ条件でサーブさせる狙いがあります。結果として、競技の公平性が向上し、新しいサーブフォーム(例えばより前方で構えるショートサーブなど)も生まれています。
アバブザウエストとアバブザハンドの違い

「アバブザウエスト」と同時に語られる用語に「アバブザハンド」があります。こちらは先述の通り、サーブ時にラケットのヘッドがサーバーの手元より上になるとフォルトとなるルールです。つまり、サーブの打点が低いだけでなく、ラケットヘッドを下向きに打つ必要があり、ヘッドが腕より高い位置でヒットすると反則でした。しかし、この「アバブザハンド」ルールも2019年の改定で削除されています。
- アバブザウエスト:サーブ時にシャトルをサーバーの腰(肋骨の下端)より上の位置で打つとフォルトになるルール。2025年現在は1.15m基準へ移行しているため、実質的にはシャトルの高さ制限を指す。
- アバブザハンド:サーブ時にラケットヘッドがサーバーの手(握っている位置)より上になるとフォルトになるルール。2019年のルール改定で廃止され、現在は適用されない。
現在の競技では、「アバブザウエスト」という呼称自体が過去の用語となり、主に1.15mルールへの言い換えで用いられることが多いです。同様に「アバブザハンド」も死語となっており、公式解説でも触れられません。つまり、実際の運用では「サーブ時のシャトル高さが基準以下かどうか」が重要で、かつての固有名詞はあくまで説明用語となっています。
サーブ時の注意点と対策
サーブでアバブザウエストの反則を避けるためには、打点の高さへの意識が重要です。審判はシャトルがラケットに当たる瞬間の位置で判定しますので、打った後の軌道は問われません。したがって、ボディやラケットの動作はどうであれ、接触点が1.15m以下であれば法的にセーフです。
審判の判定ポイント
審判が見るのはシャトルとラケットの接触点です。接触点が1.15mを超えていなければ、サーブは有効と判断されます。逆に接触点が115cmを超えていた場合は例え一瞬でもフォルトになります。また、接触前のラケット軌道や打ち終えたシャトルの飛び方は問われません。つまり、サーブフォームは前方に体を向けたりラケットをスウィングしたりしても、打点が低ければ問題ないということです。
ウエストの位置の捉え方
昔は「ウエストをどこで見るか」が課題でしたが、現在は1.15mルールに統一されたため曖昧さは減りました。ただし目安として、旧ルールでいうウエストラインは肋骨の下端≒胴体に立体的に引いた虚構の線でした。審判やコーチはこの線を目安にしていましたが、現在ではプレイヤー自身が正確に1.15mを意識することが大切です。
練習・対策(115cmの目安)
実際にサーブを練習する際は、115cmの基準を可視化しておくと効果的です。ネットに115cmの印をつけたり、ロープやテープを張って目安にしたりして、必ずそれより低い位置で打つクセをつけましょう。上級者は腰を落としたフォームや体重移動で、ラケットヘッドを自然と低く保つように練習しています。
また、プロ選手のサーブを参考にするのも有効です。例えば前を向いて打つフォアハンドのショートサーブは見た目に上方向に飛んでいるように見えますが、実際には接触点を低く保つ技術が使われています。このようなテクニックを真似し、接触点が1.15mを超えないフォームを身につけましょう。
まとめ

「アバブザウエスト」はかつてサーブ時のシャトル高さの制限を表す用語でしたが、2025年現在は「シャトルを常に1.15m以下で打つ」というルールに集約されています。改正前は選手の腰(肋骨)を基準にしていましたが、この改定で身長差による有利不利がなくなり、判定も明確になりました。同時に「アバブザハンド」ルールも削除され、ラケットの向きは自由になっています。サーブでは打点の高さを常に意識し、接触点が1.15m以内に収まるようにフォームを工夫しましょう。以上のポイントを押さえれば、アバブザウエストに関するルールを正しく理解し、安全にサーブを行うことができます。
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