バドミントン大会でダブルスの試合に出場する場合、得点を正確に記録するスコアシートの記入は欠かせません。しかし初めて審判を務める方には、どこに何を書けばよいのか不安になることも多いでしょう。
本記事では、バドミントン ダブルス スコアシートの書き方を基礎から丁寧に解説します。試合前の準備からポイントの付け方、試合後の処理、よくある注意点までを網羅。スコアをスムーズに記録するコツと参考になるテンプレート情報もお伝えします。
目次
バドミントン ダブルス スコアシートの基本ルールと記入方法
スコアシートは審判が試合中に使う公式の得点記録用紙です。大会では対戦の進行と結果を正確に残す必要があり、スコアシートは各ラリーごとの得点や最終結果を記録する役割があります。スコアシートは表形式で作られており、各チームのプレーヤー名と点数が記入できるようレイアウトされています。地域や大会によっては「スコアボード」「得点表」「審判用紙」などと呼ばれることもありますが、ここでは「スコアシート」と呼びます。
試合の得点方式はラリー制で、ダブルスでもシングルスと同じルールです。現在は1ゲーム21点制(21点先取・2点差、20-20から延長)で行われ、両者が20-20で並んだ場合は2点差がつくまで継続し、最大30点まで競います。例えば25-23で決着した場合、点数は0-0から順に25-23まで記録します。なお、2025年からBWF国際大会で3ゲーム15点制の試験導入が計画されていますが、基本的な記録方法は変わりません(1ゲームの目標点が15に変わるだけで、得点はやはり毎ラリー加算されます)。
スコアシートの役割と構造
スコアシートは試合の公式記録として、審判が各ラリーで得点を記入する帳票です。通常、左右に対戦する2チームのプレーヤー名が記載され、その下にラリー番号ごとの得点欄が並びます。審判はラリーごとに勝者側へ1点を記入し、最後に両チームの得点と勝敗を明確に示します。スコアシートには試合情報(大会名、コート番号など)を書く欄もあり、規程の署名欄も備わっています。
ゲーム形式と得点ルール
ダブルスの試合形式は3ゲーム2セット先取制(ベストオブ3)で、1ゲームは21点先取(2点差ルール)です。20-20からはデュースとなり2点差がつくまで続けますが、29-29になった場合は次の1点で30-29が決着となります。スコアシートには30点まで書ける欄が用意されているはずなので、長引いてもミスなく記録してください。
なお、前述の新しい3×15点制の場合でも、得点記録の考え方は同じです。各ラリーに勝った側が1点を加えるラリー制である限り、ゲーム終了目標点(15点 or 21点)が異なるだけで記入ルールに大きな違いはありません。現状は21点制を前提に、必要に応じて延長していけばよいでしょう。
ダブルスのサーブ交代ルール
ダブルスでは2人1組のペアが交互に交代しながらサーブを行います。ゲーム開始前にコイントスなどで最初のサービス権を決定し、勝ったペアはサーブかレシーブか、有利なコートサイドを選びます。仮にAチームがサーブを選んだ場合、Aチームの指定したプレーヤー(仮にA1)が最初にサーブし、得点が入ります。
サーバー側がラリーに勝つと、同じ側の次の選手(パートナー)がサーブ権を持ちません。ダブルスではサービスは付け替え制ではなく、同じ側は連続でサーブできず、1回のラリーでサーブ権が移る形になります。例を挙げると、AチームのA1が最初にサーブし勝利すればA2(パートナー)が次に打ちますが、もしA1が負ければサーブ権はBチームに移り、Bチームの適切な選手(例:B2)がサーブするという順序です。審判は誰がサーバー状態か常に把握し、スコアシートに反映させる必要があります。
スコアシート記入前の準備とチェック項目
試合をスムーズに進行させるため、試合開始前に以下のような準備をしておきます。ミスなく記録する準備ができていれば、試合中も落ち着いて書き込むことができます。
選手名とチーム名の記入
スコアシートに両チームの選手名とチーム名(団体名など)を記入します。通常、左側に片方のペア、右側にもう一方のペアを記載します。選手名はフルネームまたは苗字だけなど、わかりやすい表記で書きます。読み間違いを防ぐため、丁寧に書きましょう。例えば「チームA:田中、佐藤」「チームB:鈴木、山田」のように並べると、試合中のスコア記入で混乱が少なくなります。
開始サーバーとコートサイドの決定
審判は試合開始前にコイントスやジャンケンを行い、勝ったペアにサーバー/レシーブの権利または対面コート側を選ばせます。選択が決まったら、スコアシートに初期サーバーを示します。多くのシートにはサーブ/レシーブを示す欄があります。たとえばAチームがサーブを選んだ場合はAチームをサーバー側として記録し、レシーブを選んだ場合は「R」(レシーブ)などと書きます。また、サイド選択があれば、コートの左右どちらになるかも記入できるシートもあります。例えば「Aチームがレシーブを選んだ」なら、Aチーム側に「R」と書いて受けることを示し、Bチームがサーブすることになります。
初期得点とプレイヤー配置の設定
試合開始前に両者の得点を「0」に設定します。一般的には先にセッティングされたサーバー(最初のサーブを打つ選手)の欄に0点を書き、その横に対戦相手の欄にも0点を書きて点数を初期化します。スコアシートにはあらかじめプレーヤーの番号(1~4)を記入する形式もあり、その場合は順序を確認しておきます。例えばAチームの選手を1番・2番、Bチームを3番・4番と決めたときは、対応してスコアシートに番号を書き込んでおきましょう。
選手番号・特徴のメモ
念のため、選手の背番号や特徴を名前の横にメモしておくと混乱が減ります。たとえば同姓の選手がいる・似たようなユニフォームの場合などは、「#10」や「左利き」など短く書いておくと、ラリーごとのコールや記入の際に役立ちます。ダブルスでは両チーム合わせて4人を区別する必要があるため、小さな工夫で書き間違いを防ぎましょう。
ダブルスの試合中におけるスコア記録の手順
試合中は、各ラリーの勝者に1点を加え、サーブ権の移動に合わせてスコアシートに記入します。以下のルールにしたがって記入しましょう。
サーバー側が得点を取った場合
サービス権を持っている側がラリーに勝った場合は、そのままサーバー側に1点を加えます。具体的には、現在の列(ラリー番号)にサーバー側の欄へ得点を書きます。たとえばAチームのサーバーが最初のラリーに勝った場合、列1のAチーム側に「1」と書き込みます。次のラリーも同じチームがサーブするので、同様に列2に点を記入していきます(通常、1ラリーにつき1列ずつ進めて記録します)。サーバー側が連続得点すると、2点目以降も別の列へ次々に加えていきます。
レシーバー側が得点を取った場合
逆にレシーブ側(非サーバー側)がラリーに勝った場合は、そのチームに1点が入りサーブ権が移ります。この場合、次の列に移って点を記入します。たとえばラリー1でAチームがサーブしていたときにBチームが得点したら、列2にBチーム側へ「1」を書きます(ラリー1の列ではAチームの得点は書かず、ラリー2の列に移す)。こうすることでサーブ権がBチームに移るので、以降のラリーはBチームがサーブすることになります。
20-20以降のデュース(延長措置)
両チームが20-20で並んだ場合はデュースとなり、2点差がつくまでゲームを続行します。このときもラリーごとの記入方法は同様で、得点が入り次第1点ずつ記入欄を埋めていきます。最大30点までは試合を続けるため、スコアシートには30点までの記入欄があることを確認しておきましょう。例えば最終スコアが30-29だった場合、20-20以降もすべてのラリー(21-20、21-21、…29-29、30-29)を記入して、その最後の得点でゲーム終了とします。
【注意】1つの列に複数の得点を書いてしまうと、どのラリーで得点が入ったのか分からなくなります。サーブ権が移動した場合は必ず次の列に移して記入し、一つのセルには1つの得点だけを書くようにしましょう。
試合終了後のスコアシートの処理方法
ゲーム終了後には、記入内容を確定させるための手続きを行います。
勝利チームのマークと最終得点
ゲームが終了したら、勝利したチームがどちらかを明示します。通常は最終得点の列で勝利チームのスコアを○で囲みます。例えばAチームが21-15で勝ったら、Aチーム側の「21」に〇をつけて試合を終了したことを示します。これによりどちらが勝ったかがひと目で分かるようになります。
両チーム・審判者の署名
スコアシートには両チームおよび審判者の署名欄があります。一般的には、まず勝利チーム側の選手が署名し、次に敗北側の選手が署名します。その後、審判(メインレフェリー)が署名して記録を承認します。これで両者が記録内容に同意した形になるので、署名漏れのないよう注意しましょう。
試合終了時刻の記入
最後に試合終了時刻を記入します。スコアシートには終了時間を記す箇所があるので、試合が終わった時刻を時計で確認し、24時間表記で記入します(例:15時45分なら「15:45」)。これでスコアシートへの記入は完了です。
スコアシート記入時のよくあるミスと注意点
- 1列(1ラリー)につき1点のみ記入し、一つの列に複数書かないこと。
- サーブ権が移ったら必ず次の列に移し、前の列に追記しないこと。
- 誰がサーブを打っているか、プレーヤーの順序を確認しながら記入すること。
- ゲーム終了時は最終得点を正しく書き、勝者のスコアに○印をつけること。
【補足】たとえ書き間違えても慌てずに訂正してください。相手ペアにも訂正を伝えて「すみません」と謝れば問題ありません。重要なのは試合中に得点を正しく記録して最終的にスコアシートを正確に仕上げることです。
スコアシートフォーマットとテンプレートの入手方法
スコアシート自体は大会主催者によってフォーマットが決められています。日本バドミントン協会などが公式のスコアシートを提供しており、公式戦ではこれらの用紙を使用します。様式は右側と左側に各チームの欄があるのが一般的で、署名欄やゲーム結果記入欄が配置されています。
公式フォーマットと規定様式
標準的なスコアシートはA4用紙などに印刷され、全日本協会のガイドラインに沿った項目があります。例として「チーム名」「選手名」「ゲーム1・2・3得点」「勝敗」「署名欄」「試合終了時間」などが記載されています。大会によって細かいデザインは異なりますが、ダブルス用には4名分の欄があり、必須項目は共通です。試合に出場する際は大会から配布される公式フォームを使用しましょう。
無料テンプレートの配布場所
練習や小規模大会用に無料のスコアシートテンプレートも多数公開されています。インターネットで「バドミントン スコアシート テンプレート」と検索すると、エクセルやPDF、画像形式の見本が見つかります。多くのバドミントン情報サイトやブログでシングルス・ダブルス兼用のフォームが配布されています。必要に応じてダウンロードして練習用に印刷しておくと便利です。
ダウンロード&印刷のポイント
テンプレートを印刷する際は、表が途切れないようA4サイズで設定を確認しましょう。PDFやExcelから印刷する場合、縮小・拡大で表が崩れないよう設定してください。罫線や文字が小さければ拡大して印刷し、視認性を高めます。配布用テンプレートは1つもっておけばどの試合にも使い回せますので、試合前に必要枚数を準備しておきましょう。事前に試し印刷して、表や欄が正しくレイアウトされているか確認することも大切です。
まとめ
以上、バドミントンダブルスのスコアシート記入方法について解説しました。主なポイントは、試合前の準備(選手名・サーバーの記入など)、試合中の記録(サーブ権に応じて1点ずつ記入し、サーブ交代で列移動)、および試合後の処理(得点を〇で囲み、署名や終了時刻を記入)です。最初は慣れないかもしれませんが、一度フローを習得すればスムーズに記入できます。焦らず正しく記録することを心がけ、慣れて自信を付けてください。
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