バドミントンではシングルスとは異なり、2人1組で戦うダブルス競技が存在します。ダブルスで重要なのがペアの息のあった連携です。トップ選手のペアはお互いの長所を生かし合い、2024年のパリ五輪では中国ペアが女子ダブルス金メダルを獲得するなど、その実力を証明しています。ダブルスペア(ダブルスのペア)では、選手同士の相性・戦術・フォーメーション・練習法など、様々なポイントが勝敗に影響します。本記事ではバドミントン ダブルスペアの基礎知識から、強いペアを作る方法、練習のポイントまで詳しく解説します。
目次
バドミントン ダブルスペアとは?
バドミントンのダブルスペアとは、ダブルス競技でペアを組む2人の関係を指します。ダブルスの魅力は、2人が互いに協力して戦う点にあります。一人で戦うシングルスに対し、ダブルスではパートナーとの連携が勝利の鍵となります。例えばパリ五輪の女子ダブルスでは、中国の陳清晨・賈一凡組が金メダルを獲得し、生まれたときから一緒に練習している台湾の李洋・王齊麟組が男子ダブルスで金メダルを守るなど、ペアの息のあったプレーが結果につながる例が多く見られました。
ダブルスペアでは「1+1が2以上の力になる」と言われるように、互いの長所を補ったり弱点をカバーし合うことで、個人では出せない力を発揮できます。前衛(ネット前を守る選手)と後衛(後方から攻撃や守備を担当する選手)など、役割分担が生まれる点もシングルスとの違いです。パートナー同士が信頼関係を築き、コミュニケーションを取ることで、安定した連携プレーが可能になります。
シングルスとの違い
ダブルスとシングルスでは戦い方が大きく異なります。シングルスでは自分の技術と判断のみで攻守を完結させますが、ダブルスではパートナーとの連携が欠かせません。例えば、元バドミントン女子世界チャンピオンの奥原希望選手は「シングルスは自分だけで戦えるので楽、一方ダブルスではパートナーをコントロールできずストレスになる」と語っています。このように、ダブルスでは相手ペアだけでなくパートナーとの連携も意識した動きが求められるため、相性の良い組み合わせとコミュニケーションが重要になります。
その結果、ダブルスでは2人の息が合っていれば1人よりもはるかに強力なチームになります。一方で相性が合わないとお互いのプレーをカバーできずミスも増えるため、ペア選びやペアでの練習が勝敗に直結します。
ペアの重要性
ダブルスペアでは、ペア同士の信頼関係と補完性が大切です。強豪ペアの多くは、お互いの長所と短所を良く理解し合い補い合っています。例えば日本女子ダブルスの有名ペア「オグシオ」や「タカマツ」は、身長やプレイスタイルが異なる2人がお互いをカバーすることで大きな相乗効果を生みました。おぐら選手はスマッシュやパワープレーが得意で、しおた選手は技巧的なショットを得意としました。2人が異なる強みを持つことで、相手に対して攻撃と守備の両面で優位に立っていました。
またダブルスでは、2人でフォーメーションを形成しながらプレーを組み立てます。お互いが「ここに打ってほしい」「このコースをカバーしてほしい」といった意思を察し合えるかどうかがカギです。言い換えれば、練習や試合を通じて2人の役割を明確にし、自然と息が合うようになることが強いダブルスペアを作るポイントです。
ダブルスペアの役割とフォーメーション

ダブルスでは通常、前衛と後衛で役割を分担したり、時にポジションを入れ替えながら戦います。それぞれの役割やフォーメーションの特徴を理解しておくことが、効率的なプレーにつながります。
前衛と後衛の役割
前衛は主にネット前にポジションし、ショートサービスや相手のレシーブで上がってきた短い球を決める役割を担います。相手がドロップショットやドライブを打ってきた際に素早く反応し、ネット際で打ち込むのが前衛の仕事です。一方、後衛はコート後方からスマッシュやクリア、ドライブで攻撃し、全体のペースを作ります。強烈なスマッシュで相手機を崩し、甘く返ってきた球を前衛が詰めて決めるというコンビネーションが典型的です。
こうした分担によって、2人がカバーできるコート全体の範囲が広がり、ラリーを有利に進められます。たとえば、中国ペアのように長身でスマッシュが得意な選手が後衛に回り、ネット前に機動力の高い選手を配置する組み合わせは、強力な攻撃網を築く定石です。
フォーメーションの基本
ダブルスには主に「トップ&バック」と「サイド・バイ・サイド」の2種類のフォーメーションがあります。トップ&バックは前衛と後衛に分かれた配置で、攻撃的な展開に持ち込みやすいのが特徴です。前衛がネット前のショットに反応し、後衛が安定したロングショットで相手を圧倒します。一方、サイド・バイ・サイドは2人が横並び(サイド)になる配置で、相手の攻撃に対して守備的に対応する際に有利です。相手のスマッシュやドライブを両者で左右に分かれて拾い、コートの穴をなくすようなイメージです。
試合中は状況に応じてこの2つを切り替えるのが常套手段です。相手のミスショットが続いたり短く返ってきたときはトップ&バックで一気に攻め、プレッシャーがかかってきたときはサイドで確実に守るという使い分けができると有利になります。
ローテーションの重要性
ダブルスペアにおけるローテーションとは、前衛と後衛が上下・左右に入れ替わる動きを指します。例えば前衛がスマッシュしようと前に詰めていたところで球筋が変わったときは、一度後衛が前衛に位置を譲り、その代わりに前衛が後方に戻る、といった動きです。ローテーションがスムーズにできると、ポジションの隙間を素早く埋めて攻撃チャンスを生かせます。
逆にローテーションが遅れたり二人の動きにズレが起きると、相手のコースに穴ができて失点につながります。たとえば後衛がロブで前衛をカバーした瞬間に、前衛はすぐに後ろへ下がってポジションを交換します。この連携が取れていれば、次のラリーでも常に攻撃可能な体制を維持できます。
ダブルスペアのプレースタイル

ダブルスペアにはプレースタイルの違いもあります。ペアによって攻め方や重視するポイントが異なり、主に以下の3つのスタイルが代表的です。
代表的なプレースタイル
| ペアのスタイル | 特徴 |
|---|---|
| 攻撃主体のペア | スマッシュやドライブなど攻撃的なショットを前衛・後衛で繰り出し、相手にプレッシャーをかける。前衛もネット前で積極的に相手を決めに行く戦術。リスクはあるが決まれば効果大。 |
| 守備主体のペア | レシーブやクリアでつなぎ、相手のミスを誘う戦い方。相手の攻撃を粘り強く返球し、体力や集中力の消耗を狙う。守備からのカウンターで隙を突くのが得意。 |
| 高速ラリー重視のペア | ドライブで速い展開を作り、一球一球で相手に反応させる。優れたフットワークと集中力で長いラリーを制し、相手にプレッシャーをかける。持久力とリズム感が重要。 |
これらのスタイルはあくまで一例で、実際は状況に応じて切り替えることもあります。ペア内では得意なショットや役割を踏まえ、自分たちに合った戦術を決めておくとよいでしょう。
相性の良いダブルスペアの選び方
強いペアを作るには、相性の良い組み合わせを見つけることが不可欠です。以下のポイントを意識してパートナーを選びましょう。
- 異なる得意・不得意を補完する組み合わせ
- プレーのペースやテンポが合うパートナー
- 練習やコミュニケーションで信頼関係を築ける相手
異なるプレイスタイルの組み合わせ
一方が攻撃型、もう一方が守備型、など異なる特性の選手同士を組ませると、お互いの足りない部分をカバーできます。例えば背の高い後衛が強烈なスマッシュを放ち、ネット前に機敏な選手を配置すれば、攻守のバランスが良くなります。実際に世界的に強いペアは、力量や体格、技術が異なる選手を組み合わせることが多いです。
リズムやテンポの一致
プレーのリズムが合うことも大切です。ショットのタイミングや試合展開の速さが似ていると、2人の動きが自然に連動しやすくなります。逆に、1人が速攻を好みもう1人がゆったり型だとタイミングが狂いやすく、ミスが増えます。事前にダブルス練習を重ねて、お互いのテンポを合わせることを心がけましょう。
長所と弱点の補完
ペア同士でお互いの長所を引き出し合えるかも重要です。例えば、一方の選手が得意なショットをもう一方が拾い上げる、という形です。「タカマツ」ペア(高橋礼華・松友美佐紀)のように、1人が巧みに相手を崩し、もう1人が強力に決めるという役割分担ができれば非常に強力です。自分が不得意とする部分をパートナーがカバーしてくれると、安心して積極的に攻めに打って出ることができます。
コミュニケーションと信頼
最後に、練習を通じてしっかりコミュニケーションを取り合うことが大前提です。声かけで現在のコート状況を共有したり、試合後に戦術を話し合ったりすることで、プレー中の動きが一致しやすくなります。また、試合中にミスしても軽い冗談でお互いを励ますなど、信頼関係を築けているペアは緊張しにくく、良いプレーが続きます。
相性が悪いダブルスペアの特徴

逆に、相性が悪いペアには以下のような特徴があります。これらに当てはまる場合は改善を検討しましょう。
- プレイスタイルがあまりに似通っている
- リズムやテンポが合わず動きがバラバラ
- 意思疎通や信頼関係が不十分
同質的すぎるペア
例えば両方とも後衛主体だったり両方とも前衛を好むような組み合わせでは、お互いが同じ場所を好んでしまい、コートに隙間ができることがあります。両者ともバックハンドが得意だとコートの片側ばかり守ってしまう、というケースもあり得ます。同じプレイの癖が強いと、お互いの役割が重なりがちになるため注意が必要です。
リズムの不一致
1人が速いラリーを好みもう1人が遅めのテンポを好む場合、ラリーがかみ合わずミスが生じやすくなります。たとえば、片方が前衛に出られず後衛に引っ張られ、もう片方は前に詰めすぎるようなミスマッチです。このように動きや思考のズレがあると、チームとしての連携が大きく崩れてしまいます。
意思疎通の欠如
パートナー間で意思の確認ができていないと、試合中に大きな混乱が起きます。例えば、攻めるコースをミスして先に反応した方が「行くよ」と合図したのに、もう一方が声に気づかないままもう一方へ詰めれば、そこが大きな穴になってしまいます。また、相手の勢いに押されて互いに同じ方へ動いてしまうなど、声掛けやハンドサインが足りないと連携プレーが乱れます。練習でもコミュニケーションを怠ると、試合中に意図が伝わらずイライラや失点が増えることになります。
団体戦でダブルスペアを決めるポイント
学校や社会人の団体戦では、チームの勝敗を左右する大事なカードとしてダブルスペアを組む必要があります。団体戦ならではの視点でペア決めを考えてみましょう。
選手の実力差とバランス
チームにおいてメンバーの実力は様々です。実力差が大きい選手同士を無理に組ませると、強い方が援護しすぎて本来の力を発揮できなかったり、弱い方がプレッシャーで潰れてしまうことがあります。可能なら、実力が近い選手同士でペアを組み、2人ともほどよく活躍できるようにすると安定感が増します。またベテランの強打者と若手の位置取りが巧みな選手を組むなど、バランスに配慮した組み合わせも有効です。
チーム戦略との整合
団体戦では、戦略上あえて一般的な強豪ペアを崩すこともあります。例えばチームに複数いるエース級の選手を1組にまとめるよりも、異なるペアに分けてポイントを分散させる場合です。他にも、ダブルスよりシングルスで勝算が高い選手をダブルスに回すなど、チーム全体の戦い方を考慮して起用を決めます。監督やコーチは大局的に相手チームや大会形式を見て、どの組み合わせがより多くポイントにつながるかを判断します。
監督・コーチの視点
ダブルスペアを決めるとき、直接選手同士の相性だけを見るのではなく、指導者側の視点も重要です。チームの雰囲気や選手同士の連携度、練習でのパフォーマンスなど、様々な情報を総合して「最も勝利に近い組み合わせ」を模索します。時には、過去に同じペアでミスが多かった組み合わせを避けたり、相手チームの特性に合わせて最適な組み合わせを敢えて選ぶ等、柔軟な対応が求められます。
まとめ
バドミントンのダブルスペアは、単に2人が同じコートにいるだけではありません。お互いのプレイスタイルや役割を理解し、信頼関係と意思疎通を築くことで「1+1が3」以上の力を生み出せます。攻撃・守備・スピードといった戦術的な組み合わせや、練習で培う連携プレーが重要になります。記事で紹介したように、異なる強みを持つ選手同士を組ませ、練習段階から声掛けやポジションチェンジの練習を積むことで、より強いダブルスペアに成長していけるでしょう。
たとえ実力差があるペアでも、戦術とコミュニケーションを工夫すれば互いの長所を活かせます。2024年パリ五輪でも見られたように、長年一緒に練習してきたペアや息の合ったペアは最後まで強さを発揮します。ぜひ本記事のポイントを参考に、チーム内で最強のダブルスペアを作り、ダブルスの試合で勝利を勝ち取ってください。
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