バドミントンはシャトルの飛ぶ速さが非常に速いことが特徴の競技です。一般のプレーヤーでも約200~300km/hのスマッシュを打てると言われており、世界トップ選手では400km/hを超えることもあります。
さらに最新の公式記録ではスマッシュの初速が最大565km/hに達した例があり、その驚異的な速さは大きな注目を集めています。
本記事ではバドミントンにおける速さの特徴や高速スマッシュの記録、そして速さを高めるトレーニング方法について詳しく解説します。
目次
バドミントンにおける速さとは?
バドミントンでは、シャトルコック(羽根つき球)は非常に軽くできており、選手が強烈にスマッシュすると瞬時に数百km/hまで加速します。例えば、一般プレーヤーでもスマッシュ速度はおよそ200~300km/hになります。高校生や競技者レベルでは300km/hを超えることも珍しくなく、トップ選手では400km/h台の初速が当たり前のように出せます。
公式の測定環境では、なんと最大で565km/hに達する驚異的な記録も出ており、バドミントンの速さの一端を示しています。
ただし、シャトルコックは羽毛のように軽いため、空気抵抗の影響を非常に受けます。そのため、スマッシュ直後の初速が非常に高くとも、飛行中には急激に減速します。実際に時速500km/hを超えるスマッシュでも相手コートの手前では80~100km/h程度にまで落ちているとされています。このような大きな減速のおかげで、実際のラリーでは見た目ほど速くならず、守備側にも対応する時間が生まれるのです。
スマッシュ速度の平均的な数値
スマッシュ速度は選手のレベルや体格によって大きく異なります。一般プレーヤーの場合、男女問わずおおむね時速200~300km程度が目安です。運動初心者や体格の小さい人だと200km/hに届かないこともありますが、県内トップクラスの高校生でも300km/h台前半に達する例があります。
トップ選手と初心者の速度差
選手の経験やトレーニング量の違いも速さに影響します。打点が低くスイングが小さい初心者やジュニア選手では、男性でも200km/h台前半に留まることが多いです。一方、高い打点でフォーム良くフルスイングできるトップ選手は、体全体を使ってパワーを効率的にシャトルに伝えられるため、400km/hを超える高速スマッシュを打つことができます。このように練習量や技術の差でスマッシュの速さには大きな開きがあります。
シャトルの速度変化
シャトルコックは羽毛のように軽く形状が飛行の安定性に優れている一方で、飛んでいる間に大きな空気抵抗を受けます。そのためスマッシュ直後の初速は非常に速くても、空中では急激に減速します。たとえばあるスマッシュでは600km/h超の初速から相手側に届くときには100km/h以下になっていることが観測されています。このような減速のおかげで、実際のラリーでは目で見たほど速くなく、守備側も反応する時間がある程度確保できるのです。
バドミントンのスマッシュ速さの記録と他競技比較

スマッシュ速度は公式記録としても注目されることがあります。世界最速スマッシュはギネス世界記録として認定されており、驚異的な高速スマッシュが誕生しています。以下では現在知られている公式記録や過去の例を紹介するとともに、他競技との速度比較を行います。
世界最速スマッシュの記録
世界最速のスマッシュ記録は2023年に大幅に更新されています。男子ではインドのサッウィサイラジ・ランキレッディ選手が公式計測で565km/hを記録しました(それまでの記録は493km/hでした)。女子ではマレーシアのタン・パーリー選手が438km/hのスマッシュを記録しており、女性でも400km/h近い速度が出せることが示されています。
過去の高速スマッシュ記録
公式計測ではないものの、試合中に測定された高速スマッシュの記録例もあります。2017年の試合でデンマークのマッズ・コールディング選手が426km/h、同じく試合中にマレーシアのラチャノック・インタノン選手が372km/hのスマッシュを記録した例があります。これらはいずれも公式計測ではなく参考値ですが、トップ選手が実戦で400km/h近い威力あるスマッシュを放てることを示す例と言えます。
他スポーツとの速度比較
バドミントンのスマッシュ初速は他の球技と比べても圧倒的に速いです。プロ選手のテニスサーブや野球の速球は約200~260km/h程度ですが、バドミントンのスマッシュ速度は500km/h超に達します。以下の表は代表的なスポーツの最高速度を示しており、バドミントンの速さがいかに突出しているかが分かります。
| 競技(状況) | 最高速度(km/h) |
|---|---|
| バドミントン(スマッシュ初速) | 565 |
| テニス(男子プロサーブ) | 263 |
| 野球(プロ投球) | 169 |
| アイスホッケー(スラップショット) | 177 |
| 卓球(スマッシュ) | 116 |
バドミントンの速さを左右する要素

スマッシュ速度には技術だけでなく、筋力や柔軟性、用具の選択といったさまざまな要素が影響します。速いスマッシュを打つには複数の要因が組み合わさってパワーを生み出す必要があります。以下に、速度に関わる主な要素と改善ポイントを解説します。
フォームと打点の重要性
スマッシュではフォームと打点の高さが速さを左右します。打点はできるだけ高い位置を取るのがポイントで、ラケットを大きく引いてから強く振り下ろします。打つ瞬間には肩や体幹の回転をしっかり使い、下半身の力も活用することが重要です。また、スイング前に反対の腕(左腕)を引いて「タメ」を作ると、ラケットヘッドの加速が増して速いスマッシュが打てます。正しいフォームを身につければ力を無駄なくシャトルに伝えられ、スマッシュ速度を効率的に高められます。
筋力と柔軟性
スマッシュには上半身から下半身、体幹まで全身の筋力が関わります。特に肩や背中、腕の筋力を強化すれば、ラケットを速く振るためのパワーが増します。また、体幹がしっかり安定していると腕の動きをスムーズに支えられ、力を無駄なくシャトルに伝えられます。一方で柔軟性も見逃せません。肩甲骨や股関節まわりの可動域が広いとより大きなスイングが可能になり、スマッシュ速度の向上につながります。ただし、筋肉量を増やしすぎると逆に柔軟性が落ちるリスクがあるので、筋力と柔軟性の両方をバランスよく鍛えることが重要です。
ラケット・シャトル・ガットの選択
スマッシュの速さはラケットやシャトルコック、ガットといった用具の特性にも左右されます。ラケットは先端に重心があるヘッドヘビータイプの方が振り下ろしに勢いがつきやすく、パワーのあるスマッシュを打ちやすくなります。また、ガットのテンション(張力)を高めると打球は硬くなりますが、反発が弱くなるため初めは柔らかめに張って慣らすのがおすすめです。
シャトルコックも飛距離に差が出ます。暖かい環境では「3番」のような速いシャトル、涼しい室内では「5番」のように遅いシャトルを使うのが一般的です。適切なシャトルを選べば、打ったときの飛行特性と体感速度を安定させられます。
速さを高めるトレーニング方法
スマッシュ速度を上げるには、技術練習に加えて筋力トレーニングや実戦的な練習も欠かせません。以下では、スマッシュ速度向上に効果的なトレーニング方法やコツを紹介します。
筋力トレーニングでパワーを強化
スマッシュのパワー強化には筋力トレーニングが有効です。上半身ではベンチプレスやローイングなどで胸や背中の筋肉を鍛えると、ラケットを速く振る力がつきます。下半身ではスクワットやランジで脚力を強化すると、高い打点から力強く振り下ろす動作がより安定します。
ただし、過度に筋量を増やすと可動域が狭くなる場合があります。バドミントンでは筋力と動きのスピードを両立させることが大事なので、低~中負荷で回数をこなすトレーニングを心がけましょう。
正しいスイングフォームの練習
フォーム練習にはシャドースイングや素振り練習が効果的です。鏡の前やビデオを撮って自分のスイングをチェックしながら、最初はゆっくりとした動きでタメ(左腕を引く動作)や体幹の回転を意識します。フォームが安定してきたら徐々に速度を上げ、そこから抵抗バンドを使ったドリルや連続素振りでの反復練習に取り組むと、ラケットスイングの速度が向上します。
フットワークとタイミングの強化
速いスマッシュには素早いフットワークが不可欠です。前後や左右へのステップ練習を繰り返して、どんな局面でも適切な打点に素早く入れるようにしましょう。これにより高い打点から連続スマッシュを打つチャンスが増えます。また、ジャンプして打つ練習も重要です。高い打点でスマッシュを打てれば、落下角度が急になり、より速さを活かした強力なショットが可能になります。
実践練習で実力を磨く
実践的な練習でスマッシュの精度と速度を磨きましょう。スマッシュドリルではコーチや仲間から連続してシャトルを送ってもらい、高速スマッシュを打ち合います。実戦に近い状況で体を動かし続けることで、ラリー後半でも正しいフォームを維持しやすくなります。また、コースを意識した練習も取り入れて、力強い打球とコントロールを同時に磨いていきます。これらのトレーニングを継続すれば、試合でも常に速いスマッシュが打てるようになります。
まとめ

バドミントンのスマッシュは、一般プレーヤーでも200km/h台、世界トップ選手なら400km/h以上の速さになります。最新の公式計測では初速565km/hという驚異的な記録があり、他の球技を圧倒する速さが大きな注目を集めています。高速スマッシュを打つには、高い打点で正しいフォームを維持し、肩や体幹の筋力を強化することが基本です。また、ラケットやシャトルの特性を理解して機材を選ぶことも重要です。
スマッシュ速度をさらに高めるには、筋力トレーニングでパワーをつけ、シャドースイングでフォームを磨きましょう。フットワーク練習で安定した打点を作り、実戦的な練習で連続スマッシュに慣れることも効果的です。これらの練習を継続していけば、試合でもより速いスマッシュを打てるようになります。
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