こんにちは、山村です。猛暑も少しずつ落ち着いてきましたね。夏バテなどしていませんでしょうか。
前回から味覚に関してのお話をさせて頂いています。前回は人を含む動物がどのようにして味を感じているのか、そのメカニズムを専門的なレベル含めてお話してきました。
今回は様々な食品成分の中でも、アミノ酸の味についてお話をしようと思います。
<アミノ酸の味いろいろ>
前回小難しい話の中で紹介したように、舌にはアミノ酸を独自に感じる味覚受容体(T1R1とT1R3の複合体)が存在しています。その点ではアミノ酸は食品の味を決める上では非常に重要な要素であると言えます。
各アミノ酸の味の違いは、側鎖の違いによって生じています。側鎖に関しては、この連載の序盤でも紹介させて頂きましたが、様々なアミノ酸の違いを決定付けている部分です。
側鎖の違いによって、甘味やうま味を感じる受容体にくっ付きやすかったり、苦味を感じる受容体にくっ付きやすかったりします。
以下にタンパク質を構成する20種類のアミノ酸の味を並べてみました。よく見てみると、なかなか面白いデータです。
ここでの閾値(いきち)というのは、『この味を感じるために必要な最低濃度のこと』です。従って、閾値が低いほど、その味を強烈に感じるということになります。
一望してみると、アミノ酸の大部分が苦味を有していることが分かります。甘味やうま味を有するのは割と少数派。
<BCAAは苦いアミノ酸>
骨格筋タンパク質の大きなウェイトを占めており、サプリメントとしての需要も非常に高いBCAA(分岐差アミノ酸。ロイシン、バリン、イソロイシン)ですが、これら三種はどれも苦味を呈する構造を持っていることが表から分かります。
私も大学での実験などをする過程でアミノ酸を舐めてみたことがありますが、吐くほどとは言わないまでも、結構苦いです(笑)。 BCAAでこれですから、より閾値の低いヒスチジンはもっと苦いのだろうと思います。
<BCAA含有サプリは沢山あるが…>
ではアミノ酸含有サプリメント各種には、どの程度のBCAAが含まれているのでしょうか。ここでは代表的な例を2つ挙げてみます。
- アミノバイタルGOLD(味の素株式会社HPより引用、粉末タイプ1袋あたり)
ロイシン 1.60 g
イソロイシン 0.43 g
バリン 0.44 g
その他アミノ酸 1.54 g
- アミノバリュー(大塚製薬株式会社HPより引用、粉末タイプ1袋あたり)
ロイシン 1.0 g
イソロイシン 0.5 g
バリン 0.5 g
アルギニン 0.5 g
両方とも1袋あたり約4.5 ~4.7 gに収まっていますが、アミノバイタルGOLDのアミノ酸含有量の凄さが分かりますね。なんと75%がアミノ酸です。
先程紹介した閾値の話では単位が濃度でしたので、比較しづらくなってしまいましたが、明らかに両者閾値を上回る量のBCAAが含まれていると言えるでしょう。
なお実験的なデータによれば、運動時に効果が期待されるBCAAの摂取量は2.0 gと言われていますから、両者ともにこの条件は満たしています。
前述の通り、BCAAは苦味を呈します。1.6 gのロイシンを毎日舐めろと言われると、自分はちょっと無理かも知れません。しかし実際にこれら商品を飲んでみると、かなり飲みやすい味になっていると思います。この味を作り出すために、他のアミノ酸バランスを変えたり、甘味料を入れてみたり…日々様々な努力がなされていることが伺えますね。
今週はインターハイ(山口茜ちゃん、史上初3連覇おめでとう!)や世界選手権など、大きなイベントが目白押しですね!!私は応援三昧のお盆となりそうです!ではまた次回!