動き出しのスピードを高めるためには?⑤〜横方向へ動くための重心の高さ〜

いつもバド×チェックをお読み頂きましてありがとうございます。近藤です。

 

前回の「シンアングル」の反響がとても大きかったです。

 

「とても参考になった」というご意見をたくさん頂いて嬉しいかぎりですが、その反面「試してみたが、よくわからない」というご意見も頂きました。

 

言葉で説明するのは、非常に難しく感じておりますが、すねの角度だけ真似しようとしたり、頭で「あーやって、こーやって」と考えながらやろうとしても上手くいかないと思います。

 

なぜなら、『主観と客観』は違うということを考慮に入れておかなくてはなりません。

 

つまり、映像を見ると、確かに移動方向へシンアングルを作らないと、移動できないのですが、おそらくリン・ダン選手やチョンウェイ選手は「すねをいち早くシャトルの方向へ向けよう」とは考えていません。

 

過酷な練習や、飽く無き向上心のもと、無駄なものがそぎ落とされた結果だと思うのです。

 

ただ、我々はYouTubeやスロー再生を使って、トップ選手が膨大な練習で培った技術を『客観的な現象』として捉えることができます。

 

そこから、練習に対する意識を変化させたり、自分なりの練習を考えたりして、より効率的にスキルを獲得する手段を考えることが大事だと思います。

 

それこそスポーツの醍醐味かなと思っております。

 

前置きが長くなってしまいました。

 

前回の記事で、「構え」や左足と右足の役割をお伝えすると予告しましたが、思ったより深いテーマになりそうなので、もう少し研究してからお伝えさせてください。

 

今回は、横方向へ動くために重心の高さはどうしたらいいか?を考察してみたいと思います。

 

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横方向に移動する場合、地面に対して発揮する力のベクトルをできるだけ寝かせて、水平成分を大きくすることが重要です(自体重を支えるために必要な最低限の力を垂直方向に発揮したうえで)。

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基本的なことをお伝えするのを忘れましたが、バドミントンの動きはほとんど同側性の動きであるサイドステップやクロスステップを使っています。

 

3m以内の移動であれば、普通に走るよりサイドステップのほうが速いと言われています。

 

また、同側性の動きは、歩行のような対側性(手と足が逆の動きをする)の動作よりも重心移動がしやすいと言われています。

 

つまり、バドミントンは細かいステップを駆使し、ほとんど横方向への同側性動作で移動していると言えます。(もちろん、縦走りをするときもあります。)

 

結論を先に出しましたが、横方向への動き出しのスピードを高めるためには、

 

地面に対して発揮する力のベクトルをできるだけ寝かせて、水平成分を大きくしてあげることが重要」です。

 

これはどういうことかと言うと、床に対して発揮する力の矢印をできるだけ、床と平行に近づけるということです。

 

それを理解するために、以下の二つの重心位置の写真を比べて、考えてみます。

 

スクリーンショット 2015-07-24 18.01.41

スクリーンショット 2015-07-24 18.01.45

《重心が高い体勢》

→床反力のベクトルが上方向へ=床に対するシンアングル(すね角度)が大きい

身体重心点が高いと横方向へ移動しようとしても、シンアングルを床と平行に近づけることが困難です。

スクリーンショット 2015-07-24 18.01.50

スクリーンショット 2015-07-24 18.01.53

《重心が低い》

 

→床反力のベクトルが横方向へ=床に対するシンアングル(すね角度)小さい

身体重心を下げると、シンアングルを床と平行に近づけることが可能です。

 

 

つまり、重心が高くシンアングルが垂直方向へ向いていると、床に対する力発揮は上方向となってしまい、横方向への移動には向いていません。

対して、重心が低いとシンアングルをより水平面に近づけることができるので、より横方向へ力を発揮することができます。

 

そこで、動き出しのスピードを高めるポイントの二つ目です。

 

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動き出しで、移動距離を生み出すために、重心を下げる。

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まだ、リアクションステップや抜重、SSC、トリプルフレクション、トリプルエクステンションといった動作を説明することを後回しにしていますが、

 

動き出しを速めるためには、相手が打つ瞬間に重心を下げることが大事です。

 

いくつか実際の画像を見てみましょう。

 

IMG_1983

IMG_1976

前回も使用した画像ですが、上段の写真では、リン・ダン選手はスマッシュを予測してますので、横方向へ一気に移動できるように、かなり重心が下がっています。シンアングルも床に対してかなり小さくなってますね。

 

下段のチョンウェイ選手です。比較的余裕があり、打点が上にできそうなので、安定させつつもしっかり移動できる程度の重心の下げ具合になってます。

 

つまり、どのようなショットが来るかによって重心の下げ具合を変化をさせて、無駄な筋力を使わないようにしていると思われます。使わないように考えているというより、「最適な動きを選択している」と言ったほうがいいでしょうか。

 

 

今回はあともう一つお伝えしちゃいたいと思います。

 

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横方向への力は、垂直反力×摩擦係数で表すことができる

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これは、私が研究したわけではなく、論文から得た情報です。

 

つまり、横方向への移動であっても、発揮している力は股関節伸展力であり、

垂直跳びの能力と大きな関わりがあるということです。

 

必ずしも、垂直跳びの能力が高ければ高いほど、動き出しやフットワークが速いとは言い切れませんが、高めるべき一つの要素であることは間違いないと思っています。

 

今回は動き出しスピードを速めるためのポイントの二つ目が出てきました。

 

このテーマは、なかなか奥深いですね。

 

私の記事によって、皆様にバドミントンに対する興味が増したり、新たな練習方法のアイデアが生まれたりしたら、最高に嬉しいと思う今日この頃です。

 

ぜひ、お気軽に質問やメッセージを頂けると幸いです。

 

PTさんやATさん、柔道整復師の先生からのメッセージが多いです。

 

その専門性をバドミントンに活かしていらっしゃる先生方が全国にいらして、とても心強いです。

 

もちろん、運動や身体の専門家でなくても、バドミントン大好きな方々、ぜひお気軽にメッセージ頂けると幸いです。

 

FaceBookで「近藤 洋」を探してください。

 

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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近藤 洋パーソナルトレーナー東京都練馬区『痛みと姿勢改善専門パーソナルトレーニングスタジオ コア・リファイン』オーナー

投稿者プロフィール

1978年11月1日生まれ
パーソナルトレーナー
東京都練馬区『痛みと姿勢改善専門パーソナルトレーニングスタジオ コア・リファイン』オーナー
二児の父親

《取得資格》
日本体育協会公認 フィットネストレーナー
バドミントン4級指導員
日本コアコンディショニング協会 アドバンストトレーナー・アスリートスペシャリスト
PHIピラティスマットⅠ&Ⅱトレーニングインストラクター
加圧トレーニングインストラクター
ランナーズフィジカルトレーナー
ランニングプロコーチ
NESAハートレートパフォーマンススペシャリスト
ランニングアセスメントスペシャリスト

《バドミントン経歴》
文京区立文林中学校
団体 関東大会ベスト8
個人 シングル東京都ベスト8

都立小石川高校
都大会に出場するも結果残せず…。

立教大学
関東大学リーグ4部→3部昇格
関東学生選手権B ダブルス優勝 シングルベスト8

高校卒業後から現在まで中学生・高校生を中心にバドミントンを指導
パーソナルトレーナーとして、一般の方〜アスリートまで運動指導する傍ら
バドミントン指導に情熱を注いでいます。

バド×チェックでは、
バドミントンを身体の使い方やトレーニングの観点から紐解いて、
皆様のレベルアップやご指導のお役に立てたらと思っています。
皆さんと同じようにバドミントン大好き人間です。
最近の悩みは息子がバドミントンではなくサッカーを始めたことです。
よろしくお願いいたします。

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