いつもバド×チェックをお読み頂いてありがとうございます。近藤です。
前回は、オーバーヘッド動作の原点は投動作にある!という持論のもと、オーバヘッドストロークをどうやって構築していくかを考察してみました。
今回は実際に私がチームで行っているスローインプログラムを、投動作のポイントと合わせて、ご紹介したいと思います。
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投動作の8つのポイント
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学術論文などを調べて見ると、バドミントンに関する論文もあることはあるのですが、圧倒的に野球や投動作での研究のほうが多いです。
色々な論文を読んだ上で、効率的に力を伝達するためのポイントがいくつか浮かび上がってきました。
・脚の貢献
・腰の回転
・体重移動
・姿勢の安定
・腕のムチ動作
・手首のスナップ
・投げ手と反対の手の貢献
・それぞれの動きのまとまり
これらの動作が成熟していくと
「質量の大きな体節の持つ運動量の一部が小さな体節へ転移するという効果的投法、あるいは筋の反射活動や筋弾性エネルギーを利用した投法」
となるようです。
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それぞれのポイントをスローイングプログラムにしてみました
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色々なスローインプログラムがあるのですが、特に私が重視しているものを4つご紹介します。
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「フロントプランクスローイング」
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体幹部を安定させた状態で、肩甲骨を大きく動かせるようにするプログラムです。
シャトルを重ねて右手の前に起き、その場で持ち上げるのではなく、脇の下方向へシャトルを通過させることがポイントです。肩関節の内旋→外旋→内旋の動きを誘導します。
腰が反ったり、反対の腰があまりにも落ちてしまう動きは出さないように注意します。
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「サイドランジスローイング」
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体重移動、脚の貢献、腰の回転、左手を使うこと、投終わり時に後ろの脚から頭までが、一直線の前傾姿勢を取ることがポイントです。
シャトルを後ろ足つま先の前に置くことに寄って、後ろ足への溜めを導きます。
後ろ足の母子球を中心に力を発揮させるように促します。
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両手オーバースローイング
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ボールを必ず背中につけてから投げるように促します。背中につけるように意識することにより、肩甲骨や肩関節の柔軟性や、肩関節の内旋→外旋→内旋の動きを導きます。
投げる前に、ボールを振り子のように揺らすのは、体重移動を感じてもらうためと、胸郭という胸の部分の動きを導くためです。
動画では、まっすぐに投げていますが、実際は叩きつけるように下に投げさせます。「肩甲骨のゼロポジション」という一番肩が安定するポジションがあるのですが、下へ向かって投げると自然に、ゼロポジションリリースを促すことができます。両手で投げるとさらにその効果は高いです。
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片足スローイング
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スローインプログラムの仕上げのような種目です。
全体を通して、姿勢を安定させ、全身を使ったスローイングをしてもバランスが崩れないように意識します。
シャトルを打つ時に身体が傾くようなクセのある選手は、これをやると片足で立っていることができません。
担ぎ打ちのクセがある選手も同様です。
細かいポイントをいくつかあげておきます。
・姿勢はまっすぐに目線を安定させること
・おへそは前に向けたまましっかり上体を回旋させること
・腕の力ではなく、全身の協調性を意識すること。腕はリラックス
・投終わりは必ず、手をまっすぐに伸ばし、手の甲が上を向くこと
・投終わりに、投げ手と上げ足が一直線になること
・ボールに立て回転を加えるように意識すること(手首のスナップ)
・投げ手と反対の手も使えるように
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それぞれがどんな動きを導きたいのか目的をはっきりさせておく
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実は、扱うボールが大きいのか小さいのか、軽いのか重たいのかで、導きたい動きが変わります。
そのあたりは、また次回以降お伝えしたいと思います。
大切なのは、種目だけ真似するのではなく、どこにポイントがあるのか、どんな動きを導きたいのか、という本質の部分が大事で、種目はそれが達成されればなんでもいいわけです。
スローインプログラムで、最も重要視するのは、「フォーム」です。
最初は、遠くに飛ばす必要はまったくありません。
スローイングプログラムで、理想的なフォームを導きつつ、投動作の発達に合わせて段階的にシャトルを打つという動きを合わせていくと、どなたでも綺麗なオーバーヘッドストロークを導くことができるのではないでしょうか?
次回は、投動作の発達に合わせたオーバーヘッドストローク構築の段階的練習方法をご提案させて頂きたいと思います。
今回も最後までお読みいただきましてありがとうございます。