近藤です。
前回は、身体の状態をメディカルチェックやフィジカルテストから把握して、可能な限り「パフォーマンスを数値化」することが大切という話でした。
今回から「バド×チェック」の中身に入っていきたいと思います。
——————————————————–
【肩のメディカルチェック①】「指椎間距離」
——————————————————–
このテストはメディカルテストです。
肩の可動域の状態・変化・左右差を把握するため行います。
このテストの値によって、「インピンジメント症候群」や「腱板損傷」のリスクがどれくらいあるのか等を「数値化して、可視化して、見える化」していきます。
肩をよく使うスポーツではよく使われているテストで、この値が悪いと肩まわりの怪我のリスクが高いということになります。
このテストの値が良くない場合は早急に、練習内容や強度などを確認し、この値が回復するような手段を講じていきます。
某体育・スポーツ系の学校では、入学と同時にこのようなテストを行い、値のよくない生徒には、フィードバックを行い対処をするそうです。
—————————————-
「指椎間距離」の測定のやり方
—————————————-
指椎間距離は「上」と「下」を測定します。
測定の道具は、定規やメジャー、筆記用具、測定用紙です。
①指椎間距離「下」の測定
一方の手の親指を立てた状態で、背中の背骨上に重ねて置きます。
この時の《親指の指先と頚椎7番の中心の距離》を測定します。(cm)
距離感の数値が少ないほうが、「可動域が大きい」ということになります。
*頚椎7番とは、顔を下に向けて頷いた時に、一番ボコって出ている首の骨です。
②指椎間距離「上」の測定
同じように親指を立てて、今度は頭のほうから手を回して背骨上に重ねて置きます。
この時の親指と頚椎7番の距離を測定します。
今度は距離間の数値が大きいほうが「可動域が大きい」という判断になります。
頚椎7番やり下にいかない場合はー(マイナス)cmという値になります。
横からの写真
———————————————–
「指椎間距離」の測定の間違ったやり方
———————————————–
多人数を測定しても有効なデータになるように、測定の仕方を統一する必要があります。以下のような状態に気をつけください。
①姿勢が崩れる
過剰に猫背にしたり、腰を反ったりしないようにして測定してください。
これだけで値が変わってしまいます。
②ずりずりと動かさない。
なるべくパッと置いたところで測定してください。ずりずりと背中を這わせるように動かさないでください。
—————————————-
測定用紙に記入する
—————————————-
・指椎間距離「上」
右( )cm 左( )cm
・指椎間距離「下」
右( )cm 左( )cm
・指椎間距離「下」−指椎間距離「上」*肩全体の可動域となります。
右( )cm 左( )cm
—————————————-
どこに注目するか?
—————————————-
特に指椎間距離の「下」に注目しています。
オーバヘッドスポーツでは、特に「下」の値が悪くなっていると障害率が高いと注視します。では?どのあたりから障害率が高くなるのか?
現在、論文や聞き取りを含め調査中ではありますが、
概ね20cm以上の数値となると障害率が高いようです。
私の知り合いの強豪校トレーナーさんは15cmとしていらっしゃいます。
私もそれぐらいかなと思っています。
—————————————-
テストをどう活用するか?
—————————————-
次回は、具体的にこのテストに関わる筋肉の説明や、ストレッチをご紹介します。
また、これが「バドミントンのどんなことに関わってくるのか」に繋げていきたいと思っています。
最後に、テストをどう活用するかです。
メディカルチェックは怪我の予防であり、フィジカルテストはトレーニングの確認であったりするのはもちろんそうですし、再現性・効率性ということもあります。
しかし、それだけではない効果があります。
それは、自分の身体を「見える化」することにより、ストレッチだったりトレーニングのモチベーションを上げる効果があります。
クールダウンの大切さは知っていても、現実的に時間を取れないことが多いことがあるのはよくわかります。ただ、10分であろうと、5分であろうと「意識の違い」は大きな「効果の違い」を生み出します。
また、指導者の方にとっても、「肩の可動域が小さい選手」に「なんでもっと肩を大きく回せないんだ!」と怒ってもしょうがないわけです。
「クラウス・ウェーバーテスト(今後紹介します)」の値が低い選手に、「なんでもっと奥まで飛ばせないんだ!」と怒ってもしょうがないわけです。
テストの結果から色々なことが見えてきます。
それは、「自分を知ること」であり「選手を知ること」であると思います。
望ましい選手と指導者の関係を作っていくためにも、「パフォーマンスを数値化」するということを、できるところから実践して頂けたらと思います。
ではまた。