王国のエースにジャパン次世代エースが挑む
こんにちは。くさまおです。
今回は昨年末にドバイで行われたスーパーシリーズファイナルズの男子シングルスグループB桃田選手とインドネシアのエーストミースギアルト選手の試合動画です。
試合序盤はお互いにコートコンディションや風の状況を確認するかのように静かな立ち上がりを見せますが、その中でもお互いの持ち味が随所に見られます。まずは桃田選手が2点目を抜群のネット感覚を発揮し、ネットインで奪います。スギアルト選手も3点目をフォア奥から高い打点からクロスコースへスマッシュを叩き込みます。また4点目はラウンドからストレートスマッシュと野性的な高い跳躍力からのアタックがスギアルト選手の最大の武器です。高くジャンプするともちろん角度のあるスマッシュが打てるというメリットがありますが、それ以上に相手にコースを読まれにくいというメリットがあります。ここからの展開もスギアルト選手が攻撃的にラリーを進めますが、桃田選手はストローク戦に持ち込み、長いラリーが続きます。相手に的を絞らせずにストローク戦を展開出来る桃田選手は抜群のボディーバランスを持っています。また、このボディーバランスを使い全く同じフォームから数種類のショットを繰り出せることが桃田選手の大きな武器ですね。桃田選手が8点目を奪ったラリー構成に注目してみると、まずフォア奥からストレートリバースカットで相手を崩し、次のリターンを読みフォア奥から相手のボディーへスマッシュを叩き込みます。このストレートリバースカットのフォームは要チェックです。
試合は一進一退の展開となり、8-8→11-10スギアルト選手リードでインターバルを迎えますが、ストローク戦を優位に進めた桃田選手に少し余裕があるように見えます。逆にリードしているスギアルト選手は汗の量も多く余裕が無いように見えます。インターバル後も桃田選手はストローク戦に持ち込んでいきます。リアコートからの多彩なショットに注目してください。しかし、優位に試合を進めているハズの桃田選手に微妙なミスが出て、14-11スギアルト選手リード。ここがチャンスと見るやスギアルト選手がネット前へのスピードを上げてより攻撃的に出ます。15-12スギアルト選手リードの場面からは桃田選手も勝負に出て、スピードを上げ攻撃に転じます。19-19から20-19とこのゲーム初めてリードした桃田選手でしたが、スギアルト選手も意地のスマッシュを決め20-20。ネット絡みでアタックをかけたい桃田選手に対してホームポジションを前に取り、ネットを打たせないスギアルト選手のポジショニングに注目です。ネットが打てない桃田選手はここからドライブ戦に勝機を見出し、23-21でこのゲームを奪います。
2ゲーム序盤、後が無いスギアルト選手はしぶとくラリーを進めますが、逆に桃田選手は少し軽率なミスが続き5-1とスギアルト選手がリードします。1ゲーム目のダメージが残るスギアルト選手に対して前半リードする展開になればこの試合をモノに出来ると思っているであろう舛田コーチの渋い表情が印象的です。この後も桃田選手の集中力は戻らず3-11でインターバルを迎え、ゲームの後半はファイナルゲームに向けて体力温存作戦だと思われれる内容で7-21でこのゲームを失います。
勝負のかかったファイナルゲーム序盤お互いが集中力の高い速いテンポの長いラリー戦が続き、一進一退の展開となります。桃田選手は3点目にラウンド奥から角度のあるクロススマッシュでポイントを上げると、次のラリーでは今度は同じフォームからボディーへスマッシュを放っています。スギアルト選手も6点目にフォア奥の半身の体勢からクロススマッシュをノーターッチで決め応戦します。冒頭でご紹介した持ち味を選手それぞれが十分に発揮したラリーが続きますので注目です。結局11-10桃田選手リードでインターバルを迎えます。
インターバル明けからは桃田選手の集中力の高さが際立ちます。12点目を奪ったラリーでは相手からのボディーへのプッシュを柔軟な構えから素早く体幹を左へ反転させ対応しています。攻め所を探すスギアルト選手もどこを攻撃して良いか分からなくなったハズです。ここからも桃田選手は同じフォームから相手に的を絞らせずリアコートから強いスマッシュを放ちポイントを奪っていき17-13とリードを広げます。更に桃田選手は攻撃の手を緩めず、フォア奥から強烈なストレートスマッシュで18,19点目を奪うと最後はネット戦でスギアルト選手が打ったプッシュを桃田選手がミラクルリターンし21-15でゲームセット。桃田選手はネット前のセンス・感覚ももちろんですが、相手のショットをイメージして読む能力も抜群ですね。やはりこの男ただ者ではない!!
トマス杯を制し、世界各国からのマークもハンパないと思いますが、チームジャパン男子にはこの一年オリンピックレースを逞しく戦ってほしいものですね。頑張れチームジャパン(^^)/
私が海外に出ている頃は中国が世界のトップではなく、インドネシアの選手たちが世界のトップを席巻していました。当時の世界ランキング1位はアーディ・B・ウィラナタという選手で小柄なんですが、まぁ実によく動く(*_*)私も一度だけ対戦したのですが、試合序盤五分のラリー展開で一瞬『これ、いけんじゃね』と思ったのですが、ラリーがあまりにも長く、5-5の時点で体の内臓が全部出てくると錯覚するほど疲労し、チーンでした(^^;情けないジャパンで申し訳ございませんでした(ToT)