年の差12歳、至極の日本代表サウスポー対決!!
こんにちは。くさまおです。
今回は今年の日本一の座を決定する全日本総合男子シングルス決勝の動画です。 6連覇中の田児選手が棄権したのは残念ですが、その穴を埋めて余りあるハイレベルな戦いであったように思います。
試合序盤からお互いがこのタイトルに賭ける強い気持ちを表すかのような鋭い眼光で集中し、長いラリーを展開します。この代々木第二体育館は風が舞うのに加えてその日によって吹き方が変わるので、最初からここまでシャトルをコントロールすることは本当に難しいんです。
序盤、佐々木選手が積極的に仕掛け5連続ポイントで6-2とリードします。ここから桃田選手が反撃し、6-7まで追い上げた場面でこのゲームのポイントとなるシーンがやってきます。桃田選手が少し甘いチャンス球に対してのスマッシュをネットに引っ掛けてしまうのです。前日の準決勝では追い上げる場面やここぞという場面のスマッシュを全くミスせず試合の流れを引き寄せていたのですが、これが決勝のコートに潜む魔物なのか、私には少し力みがあったように思えました。そして11-6佐々木選手リードでインターバル。
インターバル後も佐々木選手が先に仕掛けます。桃田選手も食い下がりますが、佐々木選手は流れを渡さないように、また自身の冷静さを保つために要所でインターバルを取り、グリップを確認したり、鼻をかんだりとプレー以外の場面での間の取り方が実に巧妙です。ゲーム後半桃田選手のミスも続き、佐々木選手がこのゲームを21-11で奪います。
2ゲーム目に入っても佐々木選手が飛ばし3-0とリードしますが、後が無い桃田選手も攻撃に転じ、ここから一進一退の展開となります。3-3の場面で桃田選手が放ったラウンドからのクロススマッシュは空中バランスが抜群で実に見事です。また、5-3の場面で佐々木選手が放ったラウンドからのクロススマッシュも実に豪快です。サウスポーの選手と対戦した場合に相手のバック側にスマッシュを打ち込むのがセオリーですので、サウスポー同士の対戦の場合、ラウンドからはクロスサイドへのスマッシュの精度が勝負のカギを握る一打となります。 一進一退の展開の中、6-5でこの試合で初めて桃田選手がリードします。しかし、この場面でも桃田選手は少し迷いがあるのかヘアピンをネットに掛けてしまいます。ここから佐々木選手が積極的に攻撃に出て11-7でインターバルを迎えます。
インターバル後は佐々木選手のスマッシュを読んで桃田選手がレシーブ場面からチャンスを掴み10-11と追い上げます。ここから更に自分からスピードを上げ攻撃を仕掛け、佐々木選手が18-13とリードを広げます。しかし、ここで終わらないところが桃田選手の凄いところです。レシーブが冴え、佐々木選手のミスを誘います。佐々木選手は勝ちを意識したのでしょうか、ここまでに無かったミスが出ます。気付けば18-18。そしてこの場面でこの試合最長のラリーが訪れます。桃田選手のアタックを集中力マックスの佐々木選手がことごとくレシーブし、最後は桃田選手がミス。佐々木選手の目・姿勢・反応は必見です。また19-19の場面でも佐々木選手はネット前へギャンブルに出て成功し、マッチポイント。最後は微妙なジャッジでしたが、桃田選手のショットがアウトと判定され21-19で佐々木選手が7年振りに王者に輝きました。
この両者を勝手に比較判定するとフィジカル5対5、テクニック6対4で桃田選手。その差を逆転してしまう佐々木選手の経験値におけるゲームメイクが今回の勝因だったと分析します。試合を通して桃田選手がリードした場面は僅かに2回。しかも1点のリードしか奪えていません。終始冷静に試合をコントロールした佐々木選手はさすがですね。
桃田選手が1994年生まれの20歳、佐々木選手が1982年生まれの32歳、そして私が1970年生まれの44歳。私まで名前を並べるのはおこがましいですが、みんな同じ戌年です。そういう私は何を隠そう今回の大会で話題になった高校生が決勝に進出すれば舛田圭太氏以来19年振り…の19年前に当時ナショナルチームでありながら高校2年生の舛田コーチに2回戦で敗れるという話題作りの功労者であるのです。(苦笑)