皆さん、こんにちは、片山卓哉です。
今回バドネットさんに、この動画に対するコメントをくださいと依頼されましたので掲載させていただきます。
たくさん着眼点はありますが、自分はトレーニングにつなげられるような解析をいつも心がけているので、身体の能力とともに説明します
まず動きの着眼点はフットワークの動き出しの質です。
まずピーターですが、大きく足を広げ、極力ふんばることを回避しながら、小刻みなステップを多用します。
対してタフィーは同じくスタンスを広げながら床に張り付き、静止しながら相手をみます。足部も粘っこく床から極力離れないようにし、バスケのピボットのような動きも多く、踏みかえも少ないです。
これは体幹(特に骨盤)の使い方に差があると考えています。
ここで簡単に体幹をある定義で分けます。
体幹は前後軸、左右軸、垂直軸での動きにわけることができますが、そのうちの前後軸での動きに着目します。
写真
前から長い棒が床と平行にお腹に突き刺さると思ってください。その軸に対して体は横に動きます。
骨盤と肋骨で考えてみると、横の部分が離れたり近づいたりするわけです。
※椅子に座り頭を動かさずどちらかのお尻を持ち上げてください、質はどうあれ、逆側の骨盤は下がり、肋骨は上がります。
この動きで考えた時、体重をかけていくときは骨盤が股関節上で下がっていく能力があります
ピーターの場合は動き出しに骨盤を強く下げ、体重を乗せていくというより、足離れを良くするために骨盤はあまり下げない印象です
対してタフィーは骨盤を強く下げ、上体が動いても骨盤が股関節上で粘り強く下げ続け、足を(上体を)浮かせないようにします。
これは、上体の動きに下半身がつられていないかで判断しています。羽根に反応して上体が動こうとするときに、骨盤がついてきてしまうと、抜けるようにすぐ足がついてきてしまう現象を追うわけです。
簡単にまとめます。
<ピーター>
動き:細かいステップを多用し、重心移動時の力のロスを減らしている
身体:骨盤はあまり下げない(下げ続けない)左右軸の動きを多用する
※左右軸とは、動きとしては前後の体幹の動き
<タフィ>
動き:床から足を極力離さず、初動を体の内部で抑え、無駄なステップが少ない。
身体:骨盤を強く下げ重心を下げ続ける
選手の動きを見た後、その選手の身体の状態をいつもチェックしているので、だいぶ蓄積が増えてきました。
その蓄積をもとに考えた結果が今回の解析です。
さて、多くの選手のケースです。
とにかく女性はこの前後軸の動きがあまり良くないです。これは高いレベルの選手も同様です。たぶん世界を見渡しても特筆してすぐれている選手は少ないのではないでしょうか。
女性はとにかく左右軸の動きを良く使い、ぴょんぴょん跳ねる選手が多いです。
なぜかを考えてみるのですが、一つは身体的な特徴で、骨盤が横に広く、反りやすい傾向があります。これはお産のメカニズムが関与しているようです。反りは前後の動きなのでそちらを多用してしまうのかもしれません
次に学習の結果です。強い選手がそう動いているからそれを真似するという理由です。
エピソードがあるのですが、強く跳ねる選手がそのチームでエース(競技レベルも高い)の場合、後輩たちも他の選手以上にその傾向が強いというケースもありました。
男性においては、能力が高い選手はいるのですが、左右差が強く、右側の身体の前後軸の能力がほとんどの選手が低いです。
日本で優れている選手は、田児選手ではないでしょうか、彼が歩きながらプレーしたりするのも、初動の反応を股関節周囲をメインとした内部で処理できるからだと思いますが、それにこの前後軸の要素がからんでいるようです。
ちなみにこの能力が素晴らしいのではないかと予想される選手は、まずリーチョンウエイ、そして、バルセロナオリンピックのダブルスチャンプのレキシーマイナキー!彼は全くのノーリアクションから急激に早い動きを見せ、強烈な強いショット打っていました。
ちなみにタフィの強いハイバックは、この骨盤を下げる力で強く下半身(股関節)に力を集約できるからだと考えています。大切と思われるお尻の筋肉量などがいくら多くても、この能力がないとすぐにぐらつき、力を下半身に集約できないのは、毎回選手たちを検査しているとわかります。
またこの能力が低い人は足音がうるさいのも特徴です。身体の特徴でいうと横から見たとき首がかなり真っ直ぐ伸びている選手が優れているようです。
ピーターの方がタフィよりも、背中から首にかけて少し丸いのがわかるかと思います。
ちなみのこの体操もやわらかいです。
韓国のリヨンデ選手
今自分が選手に薦めている(トレーニング指導含め)のが、まずピーターのような動きの能力です、そして一つレベルを上げてタフィーのような能力をつけるよう薦めることが多いです。
※ちなみにピーターの得意な能力はタフィはピーターに比べると弱いと考えています。
というのはトレーニングが前者の左右軸の動きの方がエラーが少なく、前後軸の動きは本当に難しいというのが第一の理由です。
残念ながら自分のスキル不足もあり、改善方法のクオリティが低い以上、簡単には勧められないというのが正直なところです。
前後軸の動きは、関節の動きとしてどう動くかは把握できても、実施するときにあまりにもエラーが多すぎます。
肩や首、足、様々な部位の動きが邪魔をし、噛み合わせなども密接に関係しています。
咬む練習をしてからトレーニングを行うとこの能力が上がるのも確認しているからです
逆に、適当にやると動けなくさせることもあります。常々トレーニングは怖いという理由の一つでもある動きです。
現在すこしずつですが、選手たちのおかげで解明しだしてきていることも増えてきました。しかし日々トレーニングの精度をあげていくことが必要です。
現在、ベーズボールマガジン社からトレーニングの書籍も出版予定です。
今後その内容も少しずつ紹介していければと考えています。