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後衛はスマッシュ後、ネット前までダッシュしなくてはならないか?
- 2018/12/3
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは。樋口です。
ダブルスの後衛で、サイド奥からスマッシュを打った後、ネット前に落とされた球も取りに行ってと、パートナーに言われたことがありませんか?
私はレディースのカテゴリーに属するかた何名からか、「後ろで打った後、前まで突っ込むのはかなりシンドい。また、突っ込みガシラに背後にロングリターンをされたら、打つ手がない。どうしたらよいか?」と相談を受けたことがあります。
今回は、後衛の守備範囲とスマッシュ後にネット前もカバーするのかどうかを考察してみます。
最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。
(ステージ1)
【結論】後衛はスマッシュ後に、ネット前はカバーしなくて足りる。前衛が対応するほうが効率的
前衛と後衛の守備範囲と立ち位置は、下図の通りです。
これを見ると、後衛の正面の中間エリア(コート縦の半分付近)は、後衛の守備範囲になっていますが、ネット前付近は前衛の守備範囲になっています。
加えて、ネット前は図における前衛の位置のほうが、後衛の位置よりもかなり近くなっていることから、後衛ではなく、前衛が対応するほうが遥かに効率的です。
(ステージ2)
【後衛がいきなり前に入る戦術的危険性】
スマッシュ後に後衛がネット前までカバーしようとするローテーションだと、後衛は前に入るのに距離がある分、時間がかかるのと、後衛が前に入るということで、衝突しないように、前衛が定位置より斜め後ろに下がります。
すると、図の前衛①のエリアが一瞬、ガラ空きになってしまいます。
これはダブルス戦略上、正直、最悪のポジショニングです。
なぜかというと、前衛①エリアは、相手のレシーバー❶から最短距離に当たるからです。最短距離なら、床にシャトルが着くのが最速になります。
すなわち、最速で点数が取られる=最も危険な場所ということになります。
最も危険な場所を空けてしまうこと=最悪のポジショニングということになります。
(ステージ3)
【距離的不利】
後衛②エリアの後衛が前衛①エリアまで駆け込むのは、後衛から前衛①エリアが遠いことと、相手レシーバー❶から最短距離ということを考えると、圧倒的に不利、取るのは至難の技、仮に取っても、その後の展開を優位に進めることはかなり難しいと考えます。(ステージ2図参照)
以上のことから、後衛のスマッシュをネット前(前衛①エリア)にショートリターンで落とされた場合、ノータッチまたはチャンス球を相手に与えてしまうリスクが高くなります。
(ステージ4)
【前衛の定位置の意味合い】
攻撃時の前衛は、上図の立ち位置に立つのですが、これがセンターラインよりやや前衛①エリア寄りになっているのがわかりますでしょうか?
これは、後衛①や②エリアへの相手❶の速い返球を取るためではなく、前衛①エリアの球を取るために左寄りによっているのです(最もリスキーな場所なので)。
(ステージ5)
【誤解の発生するメカニズム(推察)と対策】
現場で今回のように非効率的なフォーメーションをパートナーのかたが要求してくるケースは、複数あったため、その原因として下記の通りに推察致します。
<ケース①>
前衛が、後衛①や②エリアに抜けるサイドの高速球を、前衛が止めなくちゃいけないと勘違いして、自信喪失している。
この球は、相手❶からは比較的距離が短く、高速球を打てるため、前衛にとっては、真横を抜けていく分、触って有効打を打つのは非常に難しい球です。ですので、この球は、球の向かう正面の位置にいる後衛の守備範囲となっています。
しかし、これを前衛の球だと誤解していると、自信喪失に繋がります。自分は前衛が苦手だとです。そこは取らなくても足りるのです。
《ケース①の対策》
前衛の実際の意識としては、相手からの速度の遅い返球(前衛①と②エリアに落ちる球)と、自分に向かってくる低くて速い球(前衛③エリアにクロスに低く抜けようとする球)を取ればいいと覚えておくことです。
そうすれば、後衛①へ抜ける球は、自分に向かってこない速い球なので、前衛の球ではないと判断ができます。
もちろん、その球も先読みして触りに行くぶんにはアリと考えます。
<ケース②>
前衛がセンターラインを跨ぐように、左右の真ん中に立っている
センターライン付近に立つのは、上右図の定位置よりも前衛①エリアから距離が離れてしまいます。
後衛が相手コートのどこに打つか、打つ前は不明なので、とりあえず真ん中に立っていて左右センターどこにも行けるようにしようという考えかもしれません。
しかし、高速でシャトルが行き交うバドミントンですので、どこが一番リスクが高いかで守備の優先順位を決めておかないと、危険エリアをカバーできないばかりか、フェイント等で逆を突かれれば、結局どこもカバーできないということになりかねません。
《ケース②の対策》
センターラインより半歩〜1歩程度、後衛側に寄ってポジションをとる
後衛のスマッシュで相手までの最短距離(=最高速)は、ストレート。それを最速で床に着いてしまう失点リスクが高いのは、後衛から正面にいるレシーバー正面のネット前となります。
ですので、その最危険エリアに半歩〜1歩程度横に寄って、近づいておくようにします。(上右図)
前衛は左右全部を均等にカバーしようとせず、相手レシーバーからの距離に応じて優先順位をつけることが必要になります。
(クロスのように相手から距離がやや離れれば、打球が床に着く時間も伸びるので、危険リスクも下がります。)
<ケース3>
ダブルスでよく見かける後衛が前に詰めてくるローテーションを誤解している
ダブルスでは、スマッシュを打って相手の球が甘い場合、ドライブやスマッシュを連打しながら、ネット前に詰めて、前後衛入れ替えながら攻撃というシーンをよく見かけます。
しかし、このケースは2発目以降にチャンス球が来たことを前提となっています。このことを見逃して、猪突猛進で後ろから前に入ろうとするとロングリターンで逆を突かれたり、次の球はネット前など、相手にいいように振り回されてしまいがちです。
《ケース3の対策》
後衛がネット前に詰めてくるか否かは、2球目以降の中間球(上図「後衛①」エリア)を対応した後に判断する
後衛がスマッシュ2球目以降の球を「甘めだ!攻撃継続できる!」と判断すれば、前にそのままドライブやスマッシュで詰めていきます。
もし、相手レシーバーの返球が沈んで来たり、クロスへのカウンターを狙いすましているなどと判断した際は、守備を重視するため、前に詰めての攻撃は控えます(前に入らず、後ろに戻ったり、中間位置に留まり、サイドバイサイドに一瞬なって、相手が上げて来たらトップ&バックに変形など)。
また、前衛は自分の横を低くて速い球(ドライブ、ドライブレシーブなど)が抜けた時点で、斜め後ろ方向に2歩程度下がります。(ややサイドバイサイドに近い形)
そこから、正面ネット前、後ろ1点をカバーする意識を持ちます。
お試しください。
今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。
次回は、「打球を押し込んだり、腕をのばすときのポイント(腕の始点編)」です。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点ご理解の上でお読み、お試しくださればありがたいです。
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