バックハンドロングサービスが飛ばない!力不足?(スイング構造編)

こんにちは。樋口です。

ダブルスのバックハンドロングサービスをする際に、シャトルが思ったように飛ばないで苦労したことがありませんか?

静止した状態からバックハンドでシャトルを飛ばす動作は、まっすぐ押す要素と上にあげる要素から構成されています。この部分を理解したうえで、それぞれ対応する身体の部位を選び、どう動作させるかをチョイスします。

今回はバックハンドさいごまでロングサービスが飛びにくい原因を解明し、対策を立ててみたいと考えます。
最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

 

(ステージ1)

【上に飛ばない原因①】右肘を大きく振り上げるスイングをしているため、ラケット面の上方向に動くスピード(加速度)が遅い

肘は構造上、インパクトで伸ばすとそれ以上、上方向に反らすことはできません。
これがバックハンドで上方向に上げにくいそもそもの原因です。

そこで、シャトルを上方向に打とうとするとき、右肘を大きく振り上げるスイングをすると、ラケット面自体のスイングスピード(加速度)は思ったより上がりません。

右肘を上げるということは、スイングの支点が右肩になります。腕は肩(肩甲骨)に接続していますので、スイングの中では最長のスイング半径になります。

スイングのような回転運動はスイング半径(回転半径)が長くなればなるほど、先端にあるラケット面のスイング速度が遅くなるという力学法則(→リンク:「角運動量保存の法則」)があるためです。

【上に飛ばない原因②】手首だけで打とうとしているため、力不足が発生している

※ 上記原因①動画の後半参照

手首を動かす筋肉は多くが前腕(手首〜肘)に集まっています(前腕回外動作(右方向に前腕を捻る)は、一部上腕(手首〜肩)も使っています)。

ですので、上腕の力こぶ(上腕二頭筋)や肩(三角筋:肩パッドのような筋肉)の筋肉群など、強力な筋肉群を使えない分、力の出力が貧弱です。なかなか、スマッシュのようなパワーのある打球を返球するには力不足が発生しがちです。
(特に成人男性など筋力がある方以外は、力不足の傾向が顕著です)

 

(ステージ2)
【対策1】インパクトして右肘が伸びたら、ドリブンサービスの際には、前腕(手首~肘)を、ロングサービスの際には、上腕(肩〜肘)を右方向に捻る(前腕回外動作と上腕外旋動作)。結果、ラケット面が右斜め上方向に上がるため、シャトルが上に飛ぶ

ダブルスロングサービス1 ダブルスロングサービス2 ダブルスロングサービス3 ダブルスロングサービス4 ダブルスロングサービス5

バックハンドのメインパワーは、閉じた肘を開く動作ですが、肘の角度が約180度になると、肘の構造上、それ以上は伸ばす(上方向に反らす)ことはできません。

そこで、上腕上腕(肩〜肘)を右方向に捻る(上腕外旋動作)と、手首の角度は90度に近い角度になっている分、プロペラの羽根のように、左下から右上にラケット面が上がります。

このラケット面の上方向への移動動作で、シャトルが上に飛びます。

 

【対策2】インパクト時の前腕(手首〜肘)回外動作(右に捻る)で面を左横から正前に向けた後、ラケット面先端を手首より高く上げた状態でフィニッシュする。上方向にラケット面が行くため、シャトルが上に飛びやすくなる

指操作3  指操作2  指操作1

この親指と人差し指を使った「前腕回外動作」でも、人差し指とグリップ間のスペースをつぶした分だけ、ラケット面は上方向に上がります。

この上方向へのラケット面の移動動作で、シャトルが上に飛びます。

 

【注意点!】

①ロングハイサービスで腕を捻るときに、前腕(手首〜肘)を捻ってしまうと、捻ることが可能な角度(可動域)が大きいため、ラケット面が高速で移動してしまい、打面が下を向くまで捻ってしまいがちです。

そうすると床やネットに打ちつけてしまったり、低い高さにしか打てず、相手に触られて逆襲されてしまうリスクが高くなります。

高さを優先するなら、捻れる角度が緩やかでかつ、肘関節を挟んでいるので捻りの伝達も激しくない上腕を意識して捻ることが肝要です。

 

②バックハンドグリップで、親指を手前側の広い辺に縦にベタッと置くグリップだと、腕を捻じったときにラケット面先端が右斜め後ろを向いてしまうため、うまく斜め前上方向に飛びません。

親指はイースタングリップ(包丁持ち)にしたときの左斜め上の斜辺(時計でいうと文字盤の10時付近)に第一関節先の部分を置く形になります。

(参考:2015/11/23コラム「前衛でバック側のプッシュを引っ掛けてしまう」

お試しください。

 

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「スピンネットをスピンネットで返球したい!」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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