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Misson Impossible : オーバーヘッドのインパクト時にしみついた癖を矯正せよ!~頭の縦振り・お尻の突き出し・両足揃って膝が伸びてしまう
- 2016/4/12
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは、樋口です。
今回のミッションは。。。
「おはよう、ハントくん。オーバーヘッドを打つとき、そのインパクト時に頭の縦振り、お尻の突き出し、両足揃って膝が伸びてしまうなどの誤動作で思ったようにシャトルが飛ばないという障害が発生している。
そこで君の任務だが、癖動作の原因と対処法を見つけ出し、この癖動作に悩まされている人々を解放、シャトルを思ったように飛ばせるようにすることにある。なお、シャトル代を請求されても当局は一切関知しないので、そのつもりで。このテープは自動的に消滅する。成功を祈る!」 (映画「ミッション インポシブル(スパイ大作戦)」風)
今回も、この原因と対処法を、下記4ステージで一緒に見つけてまいりましょう!
最後までおつきあいよろしくお願い致します。
(ステージ1)
【現象】癖の原因は、見えている様々な誤動作とは違うところに隠れていること が多い!
バドミントンの癖動作の矯正は、かなり難しい作業です。それは、プレーヤー本人のみならず、コーチなどの技術指導者にとっても同様で、経験と知識が要求される難易度の高い作業です。
なぜなら、見えている癖動作が原因の本体であるケースもありますが、その陰に隠れて原因が全く別のところにあることも多いからです。特に、指導者に何度も矯正アドバイスや矯正作業を受けても頑強に治らないというケースは、そのほとんどが本体の原因が別にあることが多いのです。
身体は筋肉や骨、関節、筋膜(筋肉を包んでいる伸縮性のある膜状の組織)などで全身がなんらか結びついています。パワーも下半身→上半身と伝わりますので、その途中で動作に支障が発生していると、その伝達先に現象が現れたりします。
(ステージ2)
【原因】タイトル3つの症状の原因本体は、左脚に体重移動したときに、同時に右肘が前方に移動してしまっていること(上半身のテイクバック動作が崩れている)
バドミントンのオーバーヘッドスイングの軸となる脚は、左脚になります。
全身のスイング動作において、パワーの源は、右足で床をタンッと踏みつけることによる床からの反力(床反力:跳び箱の踏み台はその床反力をバネで増幅している)で、それを骨盤周りの大きな筋肉を捻ったりして増幅しながら、上半身へと伝えていきます(運動連鎖(キネティック チェーン)→ 12/7コラム「パワーはどうやってシャトルまで伝えればいいの?」参照)。
パワーの伝達過程で、右足の床反力と、右股関節周りの筋肉群の捻り動作と、それらの捻り戻し(開放)動作で発するパワーを利用して、右脚で軽く跳ねて、重心を左脚に移動します。
そして、そこから、左脚を軸足にして、上半身のテイクバックの捻りで貯まっているパワー(応力)を捻り戻し動作によって開放し始めます。
しかし、上記ミッションの3つの誤動作の場合、左脚に重心移動する際、同時に上半身のテイクバックの捻り戻し動作を始めてしまっているのです。
(→ 右肘や右肩を後ろに留めたままにしようとする力(慣性力)の不足)
骨盤が前を向き、上半身が横を向いたまま(右肘や右肩が慣性力で後ろに引っ張られたまま状態)の上下半身の「捻り」には、3つの役割があると考えられます。
① 上半身側部の筋肉(腹斜筋群)や腹筋群、背筋群の捻りによりパワー(応力1)を発生させる
② 大胸筋を伸ばしきる(伸長)させることによるパワー(応力2)を発生させる
③ 下半身から伝わってきたパワーを、蓄電池のように貯める
左足への重心移行と同時にスイングを開始する(右肘が前に出てしまう)誤動作は、上下半身の捻りがなくなり、これら3つのパワーを失う分、打球が大きく失速することに直結するのです。
(ステージ3)
【対策】左脚に体重移動したときに、右肘と右肩は後方に止めておくテイクバックフォームを構築する(脇腹と胸の筋肉がギリギリと張りきった状態)
胸の筋肉(大胸筋)を張る動作は、弓を引く動作に似ています。これに下半身との捻りのパワー(ステージ2の①)と、下半身から伝わってくるパワー(ステージ2の③)を加えたテイクバックフォームを構築します。
そして蓄積、増幅されたパワーを、右肘を前に振り出すフォワードスイングで、シャトルに向け、一気に解放します。
(ステージ4)
【対策と練習方法】左脚重心で上半身のテイクバックを作り、手投げノックでスマッシュを打たせる(ネット前で行う)
下記の順番で練習を行ってください。
↑ 「左脚重心で、上半身にテイクバックをつくる」という中心動作をとりだして、徹底的に矯正を行います。
↑ 中心動作が8割くらいできるようになったら、上記の手投げノック (ステップをいれたもの) に進みます。
【注意点】 最初のステップなしノック(中心原因となる動作の矯正作業)が、7割以下の出来上がりで、次のステップ入り動作に進んでしまうと、逆に症状が悪化することが懸念されます(定点動作で不安定なのに、下半身の動きを入れてしまうと、ぐちゃぐちゃになってしまいます。)。
ステップなしノック練習を中心に据え、必ず8割程度の出来を確保してから、次の練習にお進みください。
(補足)
【注意点】
① リズムは、「いち、にい、さーーん、打つ」でおこなう。
② 左脚に重心を載せたときは、かかとに載せるように意識すると安定します。
③ 上半身のテイクバックをとったときに、息を吸い込み、軽くお腹をへこますようにすると、胸筋張りやすくなります。打球するときは、息を吐きながら打ちます。
④ 打球の瞬間に、小指から人差し指にかけて握りこむようにすると、ラケット面が加速します。(テイクバックでは強く握りすぎない)
今回も、最後までお付き合い戴きましてありがとうございました。
オーバーヘッドやスマッシュなどの当たりが悪くなったなあと感じたときも、試してみてください。改善のキッカケがつかめる可能性が高まります。
次回は、「ドロップやカットでしつこく繋いでくる相手にどう対処すればいいの?」です。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。