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後ろに動き出すときに、身体が半身になりやすい目線の使い方
- 2016/3/21
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは、樋口です。
ホームポジションやネット前から後ろに下がる際、相手の位置や構えを見るがゆえに、一瞬、シャトルへの反応が遅れたり、逆に、シャトルを追うがゆえに、相手の位置や構えが全く見えなかったりして、切り返しを喰らったりといったことがありませんか?
今回は、視覚という観点から、相手の状況を見ながら、同時に素速い動き出しを担保するという一石二鳥の方法を、下記の4ステージでまとめてみました。
今回もどうぞよろしくお願い致します。
(ステージ1)
【現象1】後ろに下がる場合、シャトルを見ることが最優先される
逐次入ってくるシャトルの視覚情報は、後頭部の視覚を処理する脳の部位(後頭葉・視覚野)から、頭頂部の3D空間の位置情報を処理する脳の部位(空間認識野)に送られ、過去のバドミントン運動を記録している小脳と調整、修正しながら、情報処理していきます。
一瞬でもシャトルの視覚情報を見失うと、過去のバドミントン運動情報のみ(小脳)で情報処理するため、経験が浅い場合(小脳に情報が少ない場合)は非常に難易度が上がってしまいます。
ですので、目線をシャトルから離すことは難しく、「シャトルを見ること」が最優先される動作となります。
【現象2】上昇するシャトルを、下から上へと垂直に目線を送ると、身体が正面を向きやすく、動き出しが遅くなる。
後ろに下がる状況の場合は、ロビングやクリアーなど、シャトルが上に向かって上昇する状況が主になります。当然、プレーヤーはシャトルの移動状況を逐次把握するため、視覚最優先で目線を下から上へと移動します。
正確に表現すると、両眼中心(中心視)でシャトルを捉え、上下の狭い視覚範囲からシャトルが出て行かないように、最短距離で垂直に目線を下から上へと移動する。という感じでしょうか。
そこでポイントは、「目線を垂直に下から上へと移動する」という部分です。目は左右に広く、上下は狭い形になっている分、垂直に目線を動かすと、頭部全体を上に向けていく、つまりは、顔やアゴを上に向けていく動作が必須になります。
アゴが上がってしまうと、重い頭部が後ろに傾くために、体幹部や骨盤が正面を向いたままで、後ろに傾き始めてしまいます。いわゆる、「正面打ち」や「正面下がり」と言われる動き出しを遅滞させる動作です。
初心者や初級者位の方はそのまま、正面打ちをされてしまうことにも繋がり、また、中級以上の方は、そのまま正面打ちにはならないにしろ、半身姿勢に修正する時間がかかるため、動き出しでの動作の遅れに繋がります。
【現象3】上昇するシャトルを、下から上へと垂直に目線を送ると、相手がほとんど見えない。
ラリー中に、相手がどこで待ち構えているかの情報を得ることは非常に重要です。しかし、前述の通り、優先順位ではシャトルの位置情報の方が上です。シャトルを見失えば、数秒以内に失点してしまうからです。
顔やアゴを上げてシャトルを追っている間は、正面ネット越しの低い位置にいる相手は、視界に入っていません。相手は見えないのです。
相手の位置情報が少なければ、切り返しのカウンターやスマッシュなど奇襲攻撃のリスクが上がってきます。
それらが怖ければ、取り敢えずの繋ぎ球や、しょうがなく一か八かの力技を繰り返すなどの選択肢になります。
(ステージ2)
【対策】目線の移動を、横方向と縦方向のハイブリッド、右斜め上方向にする
目の形は、横に広く、縦に短くできています。ですので、眼球が大きく移動できる横の移動を、下から上へのシャトルの移動を追跡に使えれば、効率的です。
しかし、それには顔を完全に横に向けなくてはなりません。それは不可能ですので、頭部をやや左に傾け(15度くらい)、縦と横の中間、右斜め上方向に目線を移動します。
(ステージ3)
【実技】右目右端でシャトル位置を見て、左目左端で相手の位置を見る
(周辺視と横方向動体視力(DVA)のダブル活用)
目の端っこで見るのを、「周辺視」といい、眼球奥にある網膜で、像が映る範囲の端っこで見ることを言います。色や形は認識できませんが、動きには鋭敏です。
例えば、相手が密かに、バックからフォアに握り変えたり、ポジションを移動するのを、練習で何となく把握することができるようになります。
また、動体視力は2種類あり、横方向や縦方向に眼球を動かすのを、「Dynamic Visual Acuity (DVA動体視力)」といいます。
駅などで、列車が通過するのを目で追うような動きになります。スマホやタブレットのアプリで動体視力養成アプリなどで鍛えるのも楽しいものです。
お試しください!
(参考動画:ラウンド奥)
次回は「相手の前衛に叩かれにくいドロップを打ちたい!どうすればいいの?」です。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。