- Home
- 腕を引きながら、シャトルを打つとは?
腕を引きながら、シャトルを打つとは?
- 2016/2/29
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは、樋口です。
以前、一緒にバドミントンをやっていた上級者の方が、私に教えてくれたことがあります。「打つときに腕を引くようにして打ってみなさい!」。私は、その当時、言っている意味がサッパリわかりませんでした。
シャトルを前に飛ばすのに、腕を引いて打つ?
どういうことなのでしょうか?
次の動画をご覧ください。
当時教えて戴いて、わからなかった技術への再検証も含めて、今回は謎解きしてみたいと思います。
(ステップ1)
【現象1】「腕を引く」とは、「ラケット面の先端を前に押し出すのと同時に、グリップエンドを持つ手や肘を後ろに引く」と解釈できる。
バドミントンの複雑なスイング動作を、より正確に短い言葉で表現し、第3者に伝えるのはとても難しいと考えます。
「腕を引く」とは、ラケット面の先端を前に押し出すのと同時に、手が握っている部分、即ちグリップの下部分を手前に引くことと解釈できます。詳細を次に述べて参ります。
【現象2】支点をどこに置くかが大切
通常の前にラケット面を振るスイングを、テコの原理で考えてみると、ラケット面が手首より前に振られることは、支点が手首の親指または小指近くにあり、力点(力を入れるところ)がグリップ、作用点(シャトルに力を与える点)がラケット面のスイートスポットにあります。
力点はグリップ、作用点はラケットのスイートスポットという関係は、ラケットスポーツの特性上、固定になります。
しかし、支点は選手の意思で、敢えてラケットの先端やシャフト中央など選ぶことができるのです。
「腕を引いて打つ」打法は、支点の移動はあるにせよ、テコの原理により、作用点(打点)は前方に動きますので、シャトルを前に打ち出すという動作は同じということになります。
但し、支点がシャフトやフレームなど、ラケット面方向に行くにしたがって、ラケット面を前方に移動させるのと同時に、力点(グリップ)を手前に引くことが必要になります(第1種テコの原理)。これが、「腕を引いて打つ」という言葉の正体と考えます。
(ステップ2)
引く動作は、どのようなときに使うメリットがあるのでしょうか?
【メリット1】
腕(グリップ)を引く動作は、力強く返球できる(鋭い切り返しやカウンターなど)
理由は主に2つあると考えます。
1つ目は、テコの原理で、支点から作用点(打点)までの距離が短くなると、打点での力が増すという原理です。
2つ目は、腕を引く動作は、前腕や上腕の比較的大きな筋肉を使えるため、腕の一部の比較的小さな筋肉(回内筋、回外筋など)を使うラケットを振る動作はよりも大きなパワーを発揮できます。
以上から、比較的大きな筋肉を使う分、スマッシュなど大きなパワー(重い球)が向かって来た時に、弾きかえす反力パワーが発揮されるというメリットがあります。
【メリット2】
支点が、ラケット面の先端にあればあるほど、グリップを引くと、面の移動角度が小さくてすむ分(パワーが出るので)、高速のシャトルへの対応が速い。
腕を引く動作は、上記メリット1のように、より多くのパワーが出るため、ラケット面の移動角度を小さく抑えても、シャトルが飛びます。
ラケット面の移動が小さいということは、高速のシャトルに対して、面を作るのが速くなります。したがって、スピードに間に合わずに空振りや当たり損ねというミスが減ります。
【メリット3】
ラケット面を大きく前に振っていない分、フェイント効果が期待できる
ラケット面を大きく前に振らずに、かつ鋭い返球ができるので、視覚が大きな要素を占めるヒトにとって、相手はタイミングが掴みにくく、初動動作の遅滞が期待できます。
(ステップ3)
【鍛錬】遊び感覚で、腕引き打法にチャレンジしてみよう!
この腕引き打法を身体に覚えこませると、ラケットを前に振る攻撃、守備などあるゆる場面で置き換えができます。
この動作を反復して身につける方法に以下の練習方法があります。
遊び感覚でチャレンジしてみてください。
①はね上げ
②壁打ち
③手投げノック
※今回は、概略の内容と致しました。レシーブや前衛技術、スマッシュなど個々のストロークへの適用方法については、回を改めさせて戴きます。
次回は、「バドミントンで最初にぶつかる壁~回内動作 」です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。