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なぜ、サイドのスマッシュに届かないの?
- 2015/12/14
- バド♪Remaking, 日替バド定食
そのプレーヤーは、動きがとても速いです。しかし、サイドにスマッシュを打たれた時に、腕を伸ばしても、触れなかったり、ミスをしてしまいます。バランスを崩してしまうこともしばしばです。
◯バランスを崩すとは、そもそもどういうことなのでしょうか?
ヒトが、直立した(直立二足歩行)のは、約350万年前と言われています。直立したことにより、積み木でタワーを作った時のように、身体の重心(身体のバランスの中心)が高くなり、バランスをとるのが、4足歩行時より難しくなりました。
積み木のタワーを組み立てる時は、長四角の積み木パーツを、縦に積み上げますが、この積み上げた積み木に当たるのが、背骨(脊柱)にあたります。このタワーの展望台の位置にあるのが、頭部になります。
頭部は、脳が格納されており、上半身では重いパーツです。その重いものが、一番上部についていることで、さらにバランスを崩しやすくなっています。
止まっているときは、脚部の骨でしたら、骨の端と骨の端がまっすぐ積み重なることで、「関節間力」という上下に働く力を均衡させて、バランスをとっています。
また、ゆっくり歩くときは、重心をゆっくりと移動させ、バランスを崩さないよう、筋肉が伸びる部分と縮む部分(拮抗筋)や、骨と骨を結ぶ蝶番のようなインナーマッスルなどで、バランスをとっていきます。
しかし、バドミントンのように急激に動き出したり、止まったり、方向転換するスポーツでは、バランスをとるために、両足を開いて両足間の距離を大きくして、より安定的に身体を支えるようにします。
(エッフェル塔や東京タワーをイメージしていただければわかりやすいと思います)
この両足間のスペースのことを、「支持基底面」(以下、「基底面」と記述)と言います。要は、電車で揺れた時に脚を開きますが、あれが、基底面を拡げたと言い換えられるのです。
(参考)基底面について、詳しくは、「バド×チェック」の近藤洋さんの記事がわかりやすいので、ご参照ください!
動き出しのスピードを高めるためには?~まとめ~
電車の例でわかるように、基底面(両足間の距離)を拡げれば、身体のバランスは安定し、狭くなれば、バランスが崩れやすくなります。要は、重心(へその下、骨盤内にあります)が、基底面より外に出ると、バランスが崩れやすくなります。
◯ところが、彼は、両足を左右に大きく拡げていました。
よく女性にありがちなのが、両脚が狭い(閉じた)状態で(基底面が狭い)状態で、動き出し時にバランスを崩すことがあります(上図左)。
これは、もう少し、肩幅より少し広いくらいに脚を拡げてもらうことになります。
ところが、このプレーヤーの場合は、両脚をそこそこ開いて、構えています。基底面は充分にとっていたのです。
例えば、先ほどの電車で揺れた時に、姿勢を動かないように、堪えたら、どうでしょうか?言い換えると、大きな左右の揺れに対して、重心を全く動かさないようにした場合、こらえきれなくなると、一気に重心が両足間のスペース(支持基底面)より出てしまい、上半身が側転のように、サイド方向に倒れてしまいます。
但し、彼自身は、重心を横方向に移動しているつもりでいました。しかし、実態としては、重心は動いておらず、上半身のみが横方向に移動していて、それを重心が移動したと錯覚していました。
サイドのスマッシュなどへの攻撃を、レシーブする場合には、両目でシャトルを覗き込むように見ながら打つため、上半身を横方向に捻ります。すると、自然に股関節と膝が横方向に曲がり、横に傾斜した上半身で重心付近が隠れてしまいますので、重心が移動したように見えたのです。
そして、重心を移動できなかった原因の1つに、シャトルが来たサイドの足のつま先と膝が、正面を向いたままになっていたことがあげられます。
股関節で、大腿骨は、骨盤に向かって、横斜め下からはまる構造になっています。ですので、つま先や膝を前にむけたまま、横に大きく重心を動かそうとすると、大腿骨がつっかえ棒のように、骨盤が横方向に動こうとするのを引き止めます。骨盤が動きにくい分、骨盤の位置にある重心も動きにくくなります。
重心が動きにくい中で、速度の速いスマッシュで、サイド方向に急激に傾いたために、側転のように、重心が円軌道で若干、上にあがり、バランスを崩したと考えられます。
◯それでは、どうすれば、よかったのでしょうか?
重心を固定せずに、両足間のスペース(基底面)内で、シャトルが来た方向に、重心を(床と平行に)移動し、上半身を伸ばせばよかったと考えます。
基底面内での重心移動は、基本、バランスを崩しません。ただ、重心移動にも、エネルギーが要ります。それは、シャトルと逆方向の足のアキレス腱反射(踵を1センチ位上げて、踏み込む。アキレス腱が急激に伸ばされるので、切れる危険を感じた脊髄(背骨内)が反射で、アキレス腱を縮ませるエネルギーを利用する。)や、膝抜き(脱力してお尻(重心)を10センチほど落とす。)などで、筋力や床からの反力を使って、重心移動させます。
また、その際に、動くサイド方向の足のつま先と膝を外側に開くように動かします(親指の下の膨らみの「拇指球」を支点にする)(股関節の外旋運動)。そうすると、骨盤と大腿骨でできる横方向の角度が45度くらいに開く分、つっかえ棒状態が解除され、重心を横方向に移動しやすくなります。
基底面内での重心(腰やお尻と意識するとわかりやすい)移動は、動き出し時に、非常に重要な要素となります。例えば、後に移動する時に、動作が速いのでわかりにくいですが、一旦、前足に重心を移動してから、その反動や、前足のアキレス腱反射、床反力などで、重心を(一気に)基底面外の後ろに動き出させます。そうすると、身体全体も後ろに動き出します。
◯さらに、外側にシャトルが来た時には、どうするのでしょうか?
基底面から重心を、瞬間的に外に出すことになります。これが、いわゆる、ダイブです。急激に外に出した後に、インパクト、片脚を大きく出して、基底面を拡げて、身体を安定させ、支えます。
戻る際は、もう片方の足を引き寄せたりして、基底面を再び狭め、重心を元の方向に動かしていき、戻る動作を発動します。
次回は、「弱点を攻めてるのに、決まらない…どうして?」です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。