イースタングリップにすると、オーバーヘッドが左に切れてしまう。

そのプレーヤーは、ウエスタングリップの握り方が身についています。

上級者が応用として使うのはあることですが、彼は、イースタングリップが上手くできなくて、面が最初から、真っ直ぐ向いているウエスタングリップが理解しやすかったようです。

 

◯ウエスタングリップだと、何かデメリットがあるのでしょうか?

一般的には、面を最初から前に向けるウエスタングリップは、スイング時に、手首関節を、招きネコが手首で招く動作(指先を斜め後ろ上部→前に動かす: 「掌屈」動作)になります。

この動作は、手首の8つの小骨の配列構造上、100度位しか動きません(可動域が狭い)。なので、スイング時のラケット面の回転移動距離が短い分、シャトルが充分に飛びにくくなります。

ウエスタングリップ1ウエスタングリップ2ウエスタングリップ3

また、招きネコ動作をした時に、グリップエンドが手首関節内側に激突したり、スイングの勢いで、手首関節外側の筋肉や腱(主に筋肉の両サイドにあり、筋肉を骨にくっ付けている)、腱鞘(腱を包んで摩擦を防ぐストロー状の組織)、支帯(腱鞘がバラつかないよう束ねるサポーター状の組織)などを伸ばし過ぎて痛めたりするリスクがあります。

手の構造

 

〇前衛のグリップは、ウエスタングリップを応用したスタイル

因みに、前衛で、面を真っ直ぐにして構えるときは、ウエスタンとイースタンの中間あたりのグリップを握り、手首を反らして面を真っ直ぐに作ります。そうすることで、ラケット面のスイング距離(可動域)もやや拡がります。

前衛用ウエスタングリップ1 前衛用ウエスタングリップ2

前衛用ウエスタングリップ3 前衛用ウエスタングリップ4

 

◯放置しておくと、悪影響が全身に及んでしまうグリップ癖

そのプレーヤーは、最初に教わったときは、イースタングリップを習ったそうです。しかし、中々、シャトルが真っ直ぐ飛ばず、左に飛んだり、シャトルを左に切るように打ち損ねをしたりで、段々、握り方を面が真っ直ぐに向くように(ウエスタン)直したそうです。そうすると、所謂、「羽子板打ち」「正面打ち」(上下半身が正面を向いた打ち方)にフォームがなってしまいがちです。

それを、半年から1年以上、放置しておくと、クセの度合いが悪化します。要は、正面打ちでは、シャトルが飛びにくいので、シャトルの飛距離を出すため、イースタンのテイクバック動作を合体させます(身体を半身(右利きなら、胴(体幹)を右に向け、両脚を前後に配した状態)にし、そこから、左右半身を回転(所謂、「脚の入れ替え」)をして打ちます。)。

こうなると、低く目で速いクリアやロブなどでなければ、力でそこそこ飛ばせたりしますので、本人もフォームはこれでいいと考えてしまいがちです。こうなってしまうと、治すのは、かなり厄介です。

そして、ドリブンやアタックロブなど、低くて速い球には、対応できなかったり、レシーブでバックハンドに切り替えらないなどの支障が発生し、試合では、当然そこを狙われます。そこで、一番懸念、危惧されるのは、自分はセンスがない、やっても無駄など、メンタル的に、諦めてしまうことなのです。

そうならないように、イースタングリップでの左切れ現象を、早期のうちに修正する必要があります。
(上記、全身に及んだ握り癖への修正取組みは、別建てで書かさせて戴きます。)

 

◯なぜ、左に切れてしまうのでしょうか?

イースタングリップで持った状態で、昔懐かしい「前習え」(両腕を肘を伸ばした状態で、各肩の前に真っ直ぐ伸ばす)の姿勢を取ってみてください。面は、左を向いているはずです。左腕だけ下ろし、このまま、右肘だけ肘の角度が80度くらいになるよう、曲げて、右肘をちょっと上げてみても、面は左を向いたままです。

肘が出過ぎたインパクト

要は、右肘が身体の前に出れば出るほど、面が左に向いてしまうのです。
(電車のつり革をイメージして頂けると、わかりやすいと思います。握り面が左右横を向いており、肘は肩から真っ直ぐ前に出た、腕相撲型になります。)

テイクバックから、腰→肩→肘と前に旋回させる(フォワードスイング)時に、右肘を、両肩を結んだ線から、45~90度位前方に出してしまっているため、打面がかなり左を向き、左に切れてしまうと考えられます。

 

◯では、どうすれば、打面が真っ直ぐに向くでしょうか?

下図の通り、右肘と両肩を結ぶ線で作る角度が、30度くらいになっているときに、打面が真っ直ぐ向きます。

ゼロポジション

ゼロポジション2

この30度を右肘が通過するときに、逃さず右肘を伸ばすよう、意識します。
右肘が伸びると、肘と上腕(肩〜肘までの腕)が上記30度で止まり、そこから、前腕(肘〜手首までの腕)にパワーが伝わり(連鎖し)、前腕が左に回り出し(回内動作)ます。

ここで、打面がまっすぐに向いたまま、シャトルをヒットできます。

上記の肘を伸ばしたりして、パワー(力積)を先端に伝えていく技術を、「運動連鎖(キネティック・チェーン)」といいますが、所謂、これが「鞭のようにしなりを使う」と言われている運動に相当します。

これらは、複数の物理法則が繊細に作用しあって成り立っています。ここで細かい説明に入ると、こんがらがりやすいので、別の回に改めさせていただきます。

あと、つけ加えると、打点の高さを出すため、脇の下を、120度位にします。

まとめると、下記の図の通りになります。

回内

次回は、「前衛でバック側のプッシュを引っ掛けてしまう~その①」です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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