色々な食品の味を科学する ③

皆さんこんにちは。世界選手権では日本勢が大活躍していましたね。私も動画を観ながら観戦していました!!

味覚の話も3回目になりました。本日は『味覚を発揮するペプチド』に関して概説しようと思います。ペプチドとはアミノ酸が2つ以上結合したもので、2つ結合したものはジペプチド、3つ結合したものはトリペプチド、それ以上はポリペプチド(タンパク質もここに含まれます)と呼ばれています。こうしたペプチドが舌でどのように感受され、どのような味を示すのか、実際にそれが含まれている食材も交えてお話していこうと思います。

<苦味を示すペプチド>

大豆や肉に含まれる大豆たんぱく質やカゼインというタンパク質は、苦味を示す事が明らかにされています。しかし、食品には様々なタンパク質が含まれており、私たちはその複合の味を感じているので、実際に豆腐や肉を食べてもこうした苦味を感じることはあまりないでしょう…

<甘味を示すペプチド>

そこで、皆さんの実感がありそうな甘味でお話しようと思います。『アスパルテーム』という化合物をご存知でしょうか?いわゆる人工甘味料ですが、これもアミノ酸からなるジペプチドの仲間なのです。アスパルテームの構造は以下の様になっています。

CQ722101-1

このように、アスパラギン酸とフェニルアラニンの2つのアミノ酸から出来ています。

このアスパルテームは砂糖(スクロース)の約200倍の甘味を有すると言われており、砂糖の代替用品として缶コーヒーやスポーツ飲料など、様々な場面で利用されています。大抵のスポーツ飲料には含まれていると思うので、是非成分表示をご覧になってみてください。前回お話したように、スポーツ時に枯渇して供給が必要であるBCAAなどのアミノ酸は強い苦味を持っているため、こうした人工甘味料で上手く味をカバーしています。

砂糖の摂り過ぎは、肥満をはじめとした生活習慣病の発症リスクの上昇などが懸念されるため、人工甘味料摂取の方がリスクが少ないとされていますが、以下のような科学的エビデンスも報告されています。(yahoo newsなどで取り上げられていたかも知れません)

 

http://thinker-japan.com/aspaltame.html (アスパルテームにまつわる各種論争記事)

Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota (Nature誌に2014年に掲載。人工甘味料の1つであるサッカリンが、糖尿病発症リスク上昇をもたらすという報告。)

Natureの方は若干表現がズルくて、サッカリンのみの結果でもって人工甘味料全てを悪く言うような論調の論文になっています。

 

<うま味を示すペプチド>

牛肉をパパインと呼ばれるタンパク質分解酵素で処理すると、うま味を持つペプチドが生成する事が知られています。このペプチドはKGDEESLAという構造をしており(※)、8つのアミノ酸からなるポリペプチドです。これをただ水に溶かして舐めると、酸味や渋味が感じられるのですが、面白いことに食塩と共存するとうま味を発揮する事が知られています。

このパパインというタンパク質分解酵素ですが、由来となったパパイヤに豊富に含まれています。また同じ働きを持つ酵素がパイナップルにも含まれています。酢豚などではよく見かけるこの光景ですが、科学的にも言えることなのですね。

(※) アミノ酸を英語1文字で表記する方法を使っています。

K:リジン、G:グリシン、D:アスパラギン酸、E:グルタミン酸、S:セリン、L:ロイシン、A:アラニン

 

次回は複数の味を混ぜた時のお話をして、より実際の食事に近づいたお話をしようと思います!

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山村 淳貴東京大学大学院(在学中)

投稿者プロフィール

■ 生年月日:1988 年 7 月 30 日
■ 身長(cm) / 体重(kg):165cm / 55kg
■ 血液型:AB型
■ 出身地:北海道札幌市
■ 経 歴:北嶺中学校→北嶺高校→東京大学(学部、修士を得て、現在は博士課程に在籍中)

大学では基礎栄養学を専攻して、実験や勉強の日々を送っています。タンパク質/アミノ酸栄養科学を専門としていますが、機能性食品開発研究などに携わることもあります。

バドミントンは大学入学時から始めて、かれこれ9年目。もっと上手になりたい!と日々練習しています!

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