動き出しのスピードを高めるためには?④〜シンアングル〜

いつもバド×チェックをご覧頂きましてありがとうございます。近藤です。

 

前回までで「動的安定性」について考察し、動き出しのスピードを高める第一のポイントをご紹介しました。

 

《動き出しのスピードを高めるポイント①》

【進行方向と逆の足で地面を押す(床反力)動きと、上半身を進行方向へ傾ける動きを同時に行い、進行方向側の足へ「身体重心」を移す】という動作を早くする。

 

実際に、この動作が遅れシャトルに追いつけなかった場面を見てみたいのですが、

 

その前に「シンアングル」という言葉についてご説明しないとなりません。

 

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シンアングルとは?

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シンアングルとは?

 

日本語で訳せば、「すねの角度」となります。

 

移動したい方向へ、「床反力」を得ようとする時、どのような方向に対し、力を発揮するかがとても重要です。

 

実は、それを決定づけるのが「シンアングル(すねの角度)」となるのです。

 

つまり、すねの骨が向いている方向へ床反力は発揮されるということです。

 

 

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実際に画像で確認してみましょう

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《正しく移動したい方向へシンアングルが作れている写真》

IMG_1964

リン・ダン選手の芸術的なクロスステップです。この身体の倒しと左足のシンアングルによって、スムーズ且つ、楽に、長く移動しています。

IMG_1976

チョンウェイ選手のお手本のような移動準備です。左足を地面に対して伸ばし、地面反力と重力を上手く利用して、右足に身体重心点を写しています。それと同時に、シャトル方向へシンアングルが作れています。

 

《シンアングルを作るのが遅れている写真》

IMG_1983

IMG_1984

これは非常に珍しい場面で、リン・ダン選手が一歩も動けずにノータッチでクロススマッシュを決められてしまう場面です。

 

上段の写真を見ると、右膝を深く絞り、左足方向へ重心を移動しようとしています。完全にストレートのスマッシュを予測しています。チョンウェイ選手は、飛びついてクロススマッシュを打ちます。

 

方向を変えようとしたが、すでにシャトルがコートに到達してしまった瞬間が下段の写真です。

 

《右方向へ身体重心点を移す》《右足のシンアングルを作る》という、右方向移動のための必須条件が間に合いませんでした。

 

写真でもわかるように、移動したい方向へシンアングルを作れていなければ、移動したい方向へ床反力を得ることはできず、動き出しは遅れてしまいます。

 

つまり、動き出しを早くするためのポイント①を補足したいのですが、

 

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進行方向と逆の足で地面を押す(床反力)動きと、上半身を進行方向へ傾ける動きを同時に行い、進行方向側の足へ「身体重心」を移す。

そして、この重心移動と並行して、移動したい方向へシンアングルを作る。

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これら一連の動作を、どの方向へシャトルが来ても、素早く行えるための練習を行っていく必要があります。

 

他にもこの一連の動作が遅れてしまった場面を見てみましょう。

 

IMG_1985

IMG_1986

上段の写真のリン・ダン選手の構えとシンアングルを見ると、恐らく、ストレートロブを予測していたのだと思います。チョンウェイ選手は身体はストレートを向け、腕をうまくたたみ、面を作り、クロスロブを打ちました。

 

お二人とも世界のトップレベルですので、多少遅れても、そのカバーリングも早いのですが、下段の写真のように、左足のシンアングルの作りが遅れています。

 

この後、リン・ダン選手は4ラリー後に、ポイントされてしまいますが、遡ってみると、この崩れから不利なラリーになってしまっています。チョンウェイ選手も、少しのほころびを確実に仕留めるのは、さすがですね。

 

IMG_1939

これは、以前にも紹介した、リンダン選手のフェイントの効いたストレートネットに、チョンウェイ選手が体勢を崩されてしまった場面です。

 

シンアングルを見ると、フォア奥方向へ向いています。このあと、シャトルに追いつけず、ポイントとなってしまいます。

 

相手コートから自陣にシャトルが到達する時間は、クリアを除けば、ほとんどが1秒以内と言われています。

 

 

世界の一流選手であろうとも、この一連の動作が遅れたときは、シャトルに追いつけなかったり、不利な状況に追い込まれてしまいます。

 

そこは、筋力とかではなく、「一連の動作が洗練されているかどうか」となります。

 

筋力が貢献するのは、身体重心点を移動したい方向へ移し、シンアングルを作って初めて、脚筋力が移動に貢献をすることができます。

 

お伝えしたいことが多すぎて、なかなか前に進まない感もありますが、だんだん面白くなってくる予定です。

 

シンアングルを知っていると、相手の構えを見れば、どの方向へのシャトルを予想しているか、どの方向へ移動しにくい状態なのかが、わかります。

 

次回は、「シンアングル」から見る「構え」の考察をお伝えしたいと思います。また、右足と左足の役割を改めて考察してみようと思います。

 

本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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近藤 洋パーソナルトレーナー東京都練馬区『痛みと姿勢改善専門パーソナルトレーニングスタジオ コア・リファイン』オーナー

投稿者プロフィール

1978年11月1日生まれ
パーソナルトレーナー
東京都練馬区『痛みと姿勢改善専門パーソナルトレーニングスタジオ コア・リファイン』オーナー
二児の父親

《取得資格》
日本体育協会公認 フィットネストレーナー
バドミントン4級指導員
日本コアコンディショニング協会 アドバンストトレーナー・アスリートスペシャリスト
PHIピラティスマットⅠ&Ⅱトレーニングインストラクター
加圧トレーニングインストラクター
ランナーズフィジカルトレーナー
ランニングプロコーチ
NESAハートレートパフォーマンススペシャリスト
ランニングアセスメントスペシャリスト

《バドミントン経歴》
文京区立文林中学校
団体 関東大会ベスト8
個人 シングル東京都ベスト8

都立小石川高校
都大会に出場するも結果残せず…。

立教大学
関東大学リーグ4部→3部昇格
関東学生選手権B ダブルス優勝 シングルベスト8

高校卒業後から現在まで中学生・高校生を中心にバドミントンを指導
パーソナルトレーナーとして、一般の方〜アスリートまで運動指導する傍ら
バドミントン指導に情熱を注いでいます。

バド×チェックでは、
バドミントンを身体の使い方やトレーニングの観点から紐解いて、
皆様のレベルアップやご指導のお役に立てたらと思っています。
皆さんと同じようにバドミントン大好き人間です。
最近の悩みは息子がバドミントンではなくサッカーを始めたことです。
よろしくお願いいたします。

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