分岐鎖アミノ酸について理解を深める その2

皆さんこんにちは、山村です。更新が滞ってしまい、申し訳ありませんでした。

前回はBCAAに関して、2つの側面からお話しました。1つは骨格筋タンパク質をメインで構成する因子としての側面、もう1つはエネルギー代謝の素材としての側面でした。

今回は後者のエネルギー代謝関連について、補足のお話を少し。具体的には、糖新生周辺についてのお話になります。

 

<代謝経路に入ったアミノ酸、その後どんな形に変化していくのか?そのうちの1つを紹介>

各アミノ酸が代謝され始めると、違う化合物へと変わっていきます。BCAAの場合ですと、前回紹介したBCATによって代謝され、最終的にはアセチルCoAと呼ばれる化合物になります。

詳しい話に先立って、20種類のアミノ酸が代謝された後、最終的にどんな化合物になるのかをリストアップしておきます。

Amino_acid_catabolism_revised

 

英語の図ですが、図の赤、紫、緑字で記載されているのがアミノ酸です。ただし、真ん中の黄色い部分は違います(後述)。

中央に位置する丸い図は、クエン酸回路(TCA回路、TCAサイクルとも)と呼ばれる、エネルギー代謝の中心的な役割を果たす代謝経路です。

クエン酸回路が働くと、ATP(adenosine triphosphate; アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギーの元になる代謝物が生成します。疲れにはクエン酸が良い、とよく言われる所以でもあります。(クエン酸がこの経路の中間代謝物だから)

ちなみにこの経路は『好気呼吸』と呼ばれる経路であり、『酸素が十分に供給される環境でのみ』働く回路であると言われています。従って、激しい運動時のエネルギー産生法とは少し違います。激しい運動時には酸素が十分に供給されない為に、違う方法でATPを作り出します。なおこの経路を使ってATPを合成すると、副産物として疲れの元となる乳酸が生じます。

そんな重要なTCA回路ですが、図を見てみるとアミノ酸が代謝されることで生じる化合物の大半は、この回路の中間体であるオキサロ酢酸(Oxaloacetate)、a-ケトグルタル酸(a-ketoglutarate)、スクシニルCoA(Succinyl-CoA)、フマル酸(Fumarate)に変換されていく事が分かります。つまりエネルギーの元を作ることに働けるわけです。

もう1つ重要事項を述べると、オキサロ酢酸から上下に向かって矢印が出ています。片方はホスホエノールピルビン酸(Phosphoenolpyrubate, よくPEPと呼ばれています)、もう片方はピルビン酸(pyrubate)です。

双方向矢印(上下矢印)は、体の中では、どちらからどちらへも変換可能であるという意味です。対して一方向矢印は、一度変換すると元に戻れません。これを科学の世界では『不可逆的反応』と呼びます。

左上を見てみましょう、PEPからはグルコース(Glucose)を作ることが出来ます。ここは可逆なんですね。

この様に、可逆反応を利用して、TCA回路内の代謝物などからグルコースを作り出すことを、『糖新生(トウシンセイ)』と呼びます。私達の身体の中では、例えばお腹が空いた時でも血糖値が維持できる様に、この経路が働いています。

 

経路をよく見てみると、グルコースに戻るためにはオキサロ酢酸に変換されることが必須であることが分かります。そこからPEPに変換され、グルコースに戻る、といった感じです。

オキサロ酢酸の生成に寄与できる代謝物は、a-ケトグルタル酸、スクシニルCoA、フマル酸、ピルビン酸ですね。つまりこの図の中では、『アセチルCoAだけが仲間外れである』ことが分かります。

さらにさらによく見てみると、数あるアミノ酸の中で、リジン(Lys)とロイシン(Leu)は、アセチルCoAのみにしかなりません。緑色でカラー分けされていますね。

つまりこの2つのアミノ酸は、どんなに頑張ってもグルコースに変換することが出来ないと言う事です。同じBCAAであるイソロイシンやバリンはそれが出来るのに、面白いですね。

 

最終的にグルコースに変換される事が可能であるアミノ酸を、糖新生に利用できることから、『糖原性アミノ酸』と呼びます。逆に、アセチルCoAを生成し、グルコースに変換されないアミノ酸は『ケト原性アミノ酸』と呼ばれています。なぜこの名前かというのは、次回以降に回します。糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸は一部重複しています。特徴的なものとして、リジンとロイシンを覚えておくといいでしょう。最初に後述しますと言った、真ん中の黄色い四角ですが、これは糖原性(Glucogenic)orケト原性(Ketogenic)の分類を表していたんですね。

 

前回まではざっくりと『エネルギーの素になれる』と言ってきましたが、今回はこの辺りを詳しく解説してみました。

ではまた次回!!

 

P.S.

桃田選手、橋本選手、SS優勝&準優勝おめでとう!!(ということで、全然アミノ酸と関係ないトップ画像にします笑)

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山村 淳貴東京大学大学院(在学中)

投稿者プロフィール

■ 生年月日:1988 年 7 月 30 日
■ 身長(cm) / 体重(kg):165cm / 55kg
■ 血液型:AB型
■ 出身地:北海道札幌市
■ 経 歴:北嶺中学校→北嶺高校→東京大学(学部、修士を得て、現在は博士課程に在籍中)

大学では基礎栄養学を専攻して、実験や勉強の日々を送っています。タンパク質/アミノ酸栄養科学を専門としていますが、機能性食品開発研究などに携わることもあります。

バドミントンは大学入学時から始めて、かれこれ9年目。もっと上手になりたい!と日々練習しています!

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