今回は授業教材シリーズ第2回。スディルマンカップ準優勝を成し遂げた代表選手も最初は苦労した(?)シャトル拾いのコツについて、まとめてみました。
私のバドミントンの授業では、「シャトル拾い、連続5回成功」を、半期の授業が終了するまでの目標のひとつにしています。練習してもなかなかできない学生もいるので、「どのように説明したら、誰でもシャトル拾いができるようになるのか?」、が課題でした。
これまで試行錯誤した結果、私の考えるシャトル拾いのコツはこの3つです。
1.シャトルのスカートとラケットを並行に
2.ハンドル(グリップ部)を床に近づける
3.シャトルと一緒に横移動(2~3歩)
1と2はシャトル拾いの準備について、ごく一般的なものだと思います。そして私が考える一番のポイントは、3番目です。
シャトル拾いができない学生をよく見ていると、拾う際にシャトルが体から離れてしまうことが良くあります(2番目の写真、右側を参照)。ラケットでシャトルに横向きの力を加えるため、シャトルは横(右利きの人は体の左側)に必ず動きます。拾える人は、ラケットでシャトルが遠くに行かないようにコントロールするのですが、ラケットワークが不十分な学生はその感覚が分かりません。
そこで、自分もシャトルと一緒に横に移動します。シャトルが体から離れないため、「シャトルを一瞬すくえたけれど、ラケットから落ちてしまう」という失敗がなくなります。
今日の授業で、この指導法がどれだけ有効か、ちょっと調べてみました。
(追記:いつもはコツを最後まで教えず、学生が自ら工夫して成功できること、できるようになる過程を大切にしています)
【5回連続でシャトル拾いができた学生数(34人中)】
指導前: 8人(ほとんどがバドミントン経験者)
指導後:16人
ちなみに、ポイントを教えた後の練習時間はたった2分です。5回連続はできなかった学生もまだ半数いましたが、ほとんどの学生は「拾えるようになった」という実感を得ていました。ただ、「1回も拾えない」という学生がまだ1名いたので、「どのように説明したら、誰でもシャトル拾いができるようになるのか?」は達成できておらず、これからも試行錯誤を続けていきます。
面白いのは、「シャトルと一緒に横移動が、洗練された動きでない」というのは学生も分かっているようで、シャトルがラケットに載る(載ってとどまる)という感覚を一度つかむと、その後は動かずに拾うようになります。
以前の記事でも書かせていただきましたが、限られた授業時間(実質、1回60分程度)の中で、一度に30~40人の学生を相手に効率よくバドミントンの技術を教えられるのかは、教員の腕の見せ所です。少しずつ、「授業のためのバドミントンの指導法」を紹介していきたいと考えていますので、参考になれば嬉しく思います。
西島 壮(首都大学東京)
追伸:私の大学バドミントン部の後輩である池田信太郎選手が、BWF(世界バドミントン連盟)のアスリート委員に任命されました!スディルマンカップ準優勝の快挙とともに、皆さんでお祝いしましょう!!池田選手のこれからの活躍にも、是非、ご注目を!!