こんにちは、西島です。
大学の授業でバドミントンを教えることが多いため、授業で扱っている内容をいくつか、「授業教材」シリーズとして紹介させていただきます。シリーズ1回目は、バドミントンBadmintonの名前の由来についてです。
第1回目の授業(オリエンテーション)で、出席管理用のカードに学生証番号や氏名などを書かせるのですが、種目欄に「バトミントン」と書く学生が、残念ながら必ず数人は出てきます。「バレーボールをハレーボール」、「バスケットボールをハスケットボール」と書く学生は、絶対にいません。「バトミントンではなく、バドミントンだからね!」と言っても、「そんな細かいこと気にしなくたって・・・」と思っている学生は、間違いなくいることでしょう。
そこで第2回目の授業で、なぜバトミントンではなくバドミントンなのか、その名前の由来を説明することにしています。Badnetをご覧のみなさんはもちろん、バドミントンの名前の由来はご存知ですよね!?(笑)
イギリスのグロースターシャーに、バドミントンBadmintonという地名があります(下の地図の矢印)。
17世紀ごろ、この地にボーフォート公爵が宮殿(バドミントン・ハウス)を建てました。このバドミントン・ハウスを中心に、バトルドアー・アンド・シャトルコックと呼ばれた羽根突き遊びが盛んに行われたのですが、この羽根突き遊びのことをバドミントンと呼ぶようになったのだそうです。
バドミントンという遊びの起源はインドのプーナー地方といった説もありますが、バドミントンという名の起源は間違いなく、イギリスの地名になります。
そして、なぜバドミントンという地名が生まれたのかを知るためにさらに時代を遡りましょう。10世紀ごろ、この地にビーヅマンドBeadmundという一族が新しい村を作ったのだそうです。このビーヅマンドBeadmundという単語からBadmintonという地名が生まれるのですが、イギリスではサウサンプトン、レキシントン、ウェリントンなど、最後にトン-tonのつく地名が多いですよね。この-tonは、日本でいうところの小田原や関ヶ原の「原」と同じです。つまり、バドミントンBadmintonは、「ビーヅマンドBeadmundが拓いた平原」という意味なのです。
こういうトリビア的な豆知識が好きな学生もいるので、面白そうに聞いている学生も結構います。が、やはり上の空で聞いている学生もいるので、そんな時は最終手段。
「最後のレポートで、バトミントンと書いたら単位は出さないからね!」
(もちろん、実際にそんなことはしないのですが)
バドミントン・ハウスは、今でも建っています。私の大先輩の中谷敏昭先生(天理大学)がこのバドミントン・ハウスを見に行かれていて、その時の写真をホームページで公開されています。興味のある方は是非ご覧ください。(ラケットのコレクションなども、一見の価値大です)。
「バドミントン・ハウスは行ってみたいけど、その時間もお金も・・・」という方は、Google Mapで、「Badminton house, United Kingdom」で検索してみましょう。残念ながらストリート・ビューでは見られませんが、周囲の緑豊かな土地を見ながら「ここでバドミントンが生まれたんだ」と思いをはせるのも、良いものだと思いますよ。是非。
参考:阿部一佳・智子、「わたしのバドミントン・ブック」、てらぺいあ
西島 壮(首都大学東京)