中国新旧サウスポー対決!!
こんにちは。くさまおです。
今回は全英オープン2015男子シングルス2回戦、言わずと知れた王者リン・ダン対中国の若手ティアン・ホウウェイの試合動画解説です。来年のリオ五輪でオリンピック3連覇を目指すリン・ダンがどれだけコンディションを上げてきているか注目です。
試合序盤1-3の劣勢からいきなりリン・ダンが連続で魅せてくれます。まずは3点目をフォア前からタメの効いたロブで逆を突き得点を上げると、4点目は抜群の空中バランスでコースを読ませず、ラウンドからクロススマッシュを決めます。また、次のラリーでは相手のネット前へのリターンを読み切り、速いタッチで厳しいクロスネットでポイントを上げます。見ているといとも簡単にポイントを上げているようですが、そこには力み無く無駄のない軸のある構えから、歩くようにスムーズな上下動の無い軽いフットワークがあるのです。リン・ダンと言えば強打のイメージがあるかも知れませんが、それを引き出しているこの動きこそがリン・ダンの本当の強さの秘密かも知れませんね。リン・ダン7連続ポイントで8-3とリードすると、動くスピードも比較的ゆっくりで強打もありませんが、抜群のボディーバランスから多彩なショットでコートを広く使い相手を大きく動かすことで得点を重ねていきます。
11-7リン・ダンリードでインターバルを迎えた後、ホウウェイも必死にラリーに食らい付き、粘りから勝機を見出し、10-11と追い上げます。しかし、要所でリン・ダンは試合巧者ぶりを発揮します。13点目の得点シーンではストレーットスマッシュからネット前へ一直線にダッシュし、球足の超短いクロスネットを放っています。また、ゲーム後半には攻撃で勝負に出るホウウェイ選手のスマッシュを抜群の反応と絶妙なボディーコントロール+ラケットコントロールでネットギリギリのレシーブで相手を崩します。スマッシュもパワーではなく、タイミングとコースで決めていきます。結局このゲームは一度も相手に主導権を握らせず、リン・ダンが21-15で先取します。
2ゲーム目に入るとホウウェイも『若さ』という武器で反撃に出ます。3点目はラウンドから高さのある強烈なジャンプスマッシュをクロスコースへ決めてみせます。ホウウェイはスピードもパワーもある選手ですから狙ったコースへジャストで入るとさすがのリン・ダンもリターン出来ませんね。しかし、逆に言うと少しでも甘くなると厳しいリターンで逆襲を食らうという目には見えないプレッシャーのようなものを感じて攻撃をしているようにも思えます。ホウウェイは9-6とリードを奪うも自分のミスで9-9と追い付かせてしまうのです。このようなシーンは準々決勝で対戦した桃田選手にもあったように思います。
積極的に攻めたホウウェイが11-9とリードしインターバルを迎え、その後一進一退の展開でゲームが進みますが、ホウウェイの全力で取りきるポイントとリン・ダンの実に効率の良いポイントは実に対照的です。15点目を過ぎたあたりからの両選手の攻防は要注目です。結局このゲームも経験の差を見せつけ21-19でリン・ダンがモノにし、この試合の勝利を手にします。
リン・ダンが選手として手にしたい物はただ一つ、来年のオリンピックの金メダルだけだと思われます。…とすると今は試運転程度のプレーなんでしょうか実に無理がなく、全てにおいて省エネです。相手のスピードやパワーに押される場面も多々あるのですが、そのスピードやパワーを殺すテクニックはさすがとしか言いようがありません。来年にはどんなリン・ダンが見られるか今から楽しみですね。世間の人気はリー・チョン・ウェイ派とリン・ダン派に分かれると思いますが、私は圧倒的にリン・ダン派なのでした(^^)/