SSF MS Aグループ 田児 賢一 vsチェン・ロン 

http://youtu.be/Yzs2yvS9ERg

同世代トップ対決!!ト杯のリベンジに燃えるチェン・ロン

くさまおです(^^)あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今回は昨年末にドバイで行われたスーパーシリーズファイナル男子シングルス田児vsチェン・ロンの試合の解説です。この二人は共に1989年生まれの25歳、ジュニアの頃からのライバルですが、昨年のト杯準決勝での対決はあまりにも鮮烈的な田児選手の完勝でした。リベンジに燃えてくるであろうチェン・ロン選手に対し、故障で直前の全日本総合を棄権した田児選手のコンディションも気になるところです。

試合序盤はゆっくり入ろうとした田児選手に対し、チェン・ロン選手はいきなりスピードを上げて仕掛けてきます。田児選手もすかさずスピードを上げて対応し、5-2とリードを奪います。チェン・ロン選手は、バック側からのクロスレシーブを有効に使い4-5まで追い上げますが、田児選手もすぐさまクロスリターンに対応します。ここからのラリーでは田児選手のネット前のテクニックが冴えます。まずは8点目を奪った少し低い打点からフェイクの効いたクロスネット。9点目は同じ打点の高さからクロスへアタックロブとネット前からのショットの使い分けで相手を翻弄し、11-7とリードしてインターバルを迎えます。1ゲーム目は画面左から右へ風が吹いているのですが、風を巧みに利用し、ロブをコントロールした田児選手に対し、チェン・ロン選手は少し風の感覚が掴めていないのか、ロブのミスが目立ちました。

インターバルが明けてからは、チェン・ロン選手がそれまで効かされていたロブを狙いだし、低いロブをカウンターで飛びつきアタックします。これが決まりだし、あっと言う間に11-11。188センチの長身から角度のあるスマッシュは何と言ってもチェン・ロン選手の最大の武器です。状態の良い田児選手ならもう少しレシーブ出来るのでしょうが、やはりコンディションが良くないのかサイドの動きが重いです。ここから田児選手もネット前のスピードを上げますが、ミスも出てしまい、なんとチェン・ロン選手が14連続ポイント21-11でこのゲームを奪います。

2ゲーム目に入り、田児選手は相手に的を絞らせないという狙いだと思われますが、ラリーを大きく展開します。また、このゲームに入り風向きも1ゲーム目とは逆で右から左へと変わります。これに少し対応出来ないのに加えて右手の指を負傷したチェン・ロン選手は微妙なコントロールが出来ず6-1と田児選手がリードします。ここがチャンスと見たのか田児選手は積極的に攻撃に出ますが、ここからのチェン・ロン選手のレシーブに注目です。田児選手が7点目を奪ったラリーですが、決まってもおかしくないサイドライン際へのスマッシュを長いリーチと強靭な脚力でことごとくストレートへ浮かない精度の高い球で返球します。最終的にはこのラリーでポイントを奪った田児選手も『どれだけ精度の高いスマッシュを打てば決まるんだろうか』とストレスを感じたラリーになったはずです。これが、このあとの田児選手のスマッシュミスを誘発することにつながるのです。また、この時点ではチェン・ロン選手も田児選手のコンディションが良くないことに気付いていますので、無理をせず敢えて長いラリーに付き合い相手の体力も消耗させつつ、相手が遅れたタイミングを見計らってアタックを仕掛けるといった実にクレバーな、そして確実な戦法をとっています。そしてチェン・ロン11-9リードでインターバル。

インターバル後はチェン・ロン選手がスピードを上げて自分から仕掛けてリードを広げにかかり2連続ポイントを奪います。田児選手も要所で攻撃に出ますが、ここでも集中力の高いチェン・ロン選手が堅いレシーブでポイントを与えません。また、ドライブ戦でも体のキレで勝るチェン・ロン選手が優位にラリーを進めます。結局このままチェン・ロン選手が押し切り、21-14でこのゲームも奪いゲームセットとなります。

この試合を通してチェン・ロン選手は終始シャトルに対しての執着が田児選手を上回ったように感じました。ト杯での敗戦がまた彼を強くしたのではないでしょうか。一方、田児選手は本当の状態は彼自身にしか分かりませんが、早く万全のコンディションに戻ってもらってまた世界のトップで活躍してほしいものですね。ジャパンの絶対王者は間違いなく、田児選手なのですから。

188センチと長身のチェン・ロン選手ですが、私が現役の頃に対戦したスウェーデンの選手は190センチを超えていました。182センチの私はなかなか自分より身長の高い選手と対戦する機会が無かったのですが、この試合の一番初めのラリーで見たことの無い打点からのクリアーに思わずノータッチを食らった思い出があります。見逃してノータッチじゃなくて、高すぎて&早すぎてノータッチですよ。あの時の首のムチ打ち感は今も鮮明に覚えています。いや~世界ってほんまに広いです(^^;

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鈴木草麻生元日本代表

投稿者プロフィール

元日本代表

■生年月日:1970年2月10日
■出身地:滋賀県
■経歴:比叡山高校~同志社大学~NTT関西~トナミ運輸~三菱電機(監督)
※元日本代表
■資格:日本体育協会公認コーチ、YONEXアドバイザリースタッフ
■ブログ:ぐるぐるパンチ(www.gurugurupunch.com

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