(全日本総合バドミントン選手権 12月2日火曜日 東京代々木第二体育館)史上初めて中学1年生で全日本総合出場を果たした奈良岡功大選手(青森、浪岡中)がトナミ運輸の保木卓朗選手を19-21、21-18、22-20で下す衝撃のデビューを果たしました。
「胸を借りる、経験を積ませて頂く」という過程はこの選手には不要なのでしょう。かつて中学生で全日本総合出場を果たした桃田賢斗選手、山口茜選手のデビューはいずれもファイナルで惜敗でした…。しかしこの中学1年生は国内TOPチームに所属する社会人相手に「勝ちにいく気持ち」で戦い、そして見事に勝ち切って見せました。
今日、最も注目されたこの試合はコートサイドにテレビカメラほか取材陣が密集。この気の毒とも言える状況下で保木選手は明らかに固く、イージーミスを連発。一方の奈良岡選手もこの会場独特の照明に手こずります。それでも奈良岡選手は、田児、桃田の後継者らしさを感じさせる社会人顔負けの巧みなラケットワークとネットプレーで相手を翻弄。打ち方も田児選手によく似ています。
ところがさすがに13歳のフィジカルでは社会人相手に歯が立ちません。ほぼ同じ身長ながらパワーは明らかに保木選手の方が優っています。そんな中、奈良岡選手はスマッシュを得点源にできない苦しい展開が続いていきます。スマッシュ力不足でシニア相手に苦戦する姿も10代の頃の田児選手、桃田選手を思い起こさせます。
決定力が不足しているならば長いラリーで我慢比べをするしかありません。奈良岡選手はその我慢比べを制しながらじわじわと点数を積み上げていきます。中1が日本リーガー相手に我慢比べで勝るなどという姿は衝撃以外の何者でもありません。豊かな経験値を感じさせる配球、戦術、テクニックはもう完全に大人のそれでした。
試合後半になると保木選手も声を出しジャッジのクエスチョンに食ってかかるなど完全に本気モード。一方の奈良岡選手も第2ゲームから完全に照明に対応。苦しい場面でも恐れることなく気持ちをコントロールしている姿が伺えます。
そして奈良岡選手が違ったのはその「目」です。オリンピック出場ではなくオリンピック金メダリストを夢見るその目は遥かに格上の社会人を目の前にしても「こんなところで負けてはいられない」と言っているかのようでした。
13歳にして心と技はもう大人。体は社会人に劣るものの中1としては驚異的な身体能力です。ここから先は体が大きく強くなっていけば行くほど「史上初」と「歴史的快挙」を次々と成し遂げていくことでしょう。
田児賢一、桃田賢斗、奥原希望、山口茜ら偉大な先輩の記録を霞ませていくこの「努力する天才」は国民的英雄になってゆくのかもしれません。
つい忘れがちなので繰り返しますがこの子は中1です。
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1.全日本総合選手権サイト
http://badminton.or.jp/2014/alljapan/index.htm
2.天才バド少年13歳奈良岡 今日全日本挑戦(12/2 日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/sports/news/p-sp-tp0-20141202-1403653.html
3.2013年の動画「スター選手に挑戦 Taufik Hidayat(INA) vs 奈良岡功大(JPN)」
https://www.youtube.com/watch?v=X5NdfILGRR8
4.2013年の動画「男子シングルス 6年生以下 決勝 奈良岡 功大(青森県) vs 河村 翼(大阪府)」
https://www.youtube.com/watch?v=2cpB3wiBjVU もっと見る