ネット前から後ろに戻るとき失速してしまう!なぜ?

こんにちは。樋口です。

今回は前から戻るときに姿勢が高くなる原因とその対策について考えてみたいと思います。

最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。

 

(ステージ1)
【失速の原因】 上半身が立って、重心が高くなってしまうため、バランスが悪くなったり、姿勢が高くなる動作のロス時間があるため

速いカットなどで姿勢を崩され、ネット前付近の低い打点でやっと取らさせれたときは、低いロブしか打てなかったりします。
(いわゆるピンチです)

そこからホーム方向に戻るとき、上半身が立ってしまうと、戻り速度が遅くなったり、疲労がかさんだり、胸元へのカウンターを喰らったりといいことがあまりありません。

姿勢を低くして戻れれば、目線が低い分、カウンターもレシーブしやすいのですが、速く戻ろうとすると、どうしても姿勢が高くなりがちです。

 

(ステージ2)
【姿勢が高くなる原因】
後ろに下がるときに、上半身を後ろに倒してさがろうとしている

ネット前からの遅い戻り1 ネット前からの遅い戻り2 ネット前からの遅い戻り3 ネット前からの遅い戻り4

低い姿勢から重力に逆らって、上下半身を後ろ方向に持ち上げながら、動かすにはかなりの力が必要になります。

それを足だけでやろうとすると、かなりの負担が足にかかってしまうため、反射的に重い頭部のある上半身を、後ろにやや倒して重力を利用しながら、後ろにさがろうとします。

ちょうど、クルマや新幹線などで、両足を突っ張ってリクライニングシートを後ろに倒す動作と似た動作になります。(「リクライニング方式」)

確かに強く後ろ方向に力が働くのですが、上半身は立ってしまいます(太ももと下腹部の間隔が開く)。

 

(ステージ2)
【対策】戻るときは、お尻から動かす(重力の利用)

ネット前からの速い戻り1 ネット前からの速い戻り2 ネット前からの速い戻り3 ネット前からの速い戻り4

前から戻る際に、利用できるエネルギーは、筋力、重力や床を蹴る力(床反力)などを利用することができます。

なるだけ多くのエネルギー源を利用することが、スタミナ維持につながります。

今回は、低い姿勢で追い込まれて時間的余裕もないことから、「重力」をメインで利用します。

重力の利用のコツは、下半身で重いパーツのお尻にあります。お尻は比較的大きな筋肉と脂肪が球体状になっていますので、重さがあります。

ですので、打ったあと、後ろ足をお尻よりやや前まで引き寄せます(上半身は変えずに)。そうすると、お尻が両足よりやや後ろに突き出た状態になります。この状態から、「椅子に座るとき」の動作をおこないます。

具体的には、重力でお尻から後ろに倒れていくイメージです。後ろに倒れはじめたなと思ったら、手を着かずに、右足、左足、右足、左足と細かく(ハムスターのように、ちょこちょこちょこっと)ステップを入れてホームに戻ります。

実際の指導時には、上記姿勢をイメージしやすい言葉かけとして、コメディアンのダンディ坂野さんの一発ギャグ「ゲッツ!」で後ろに下がる動作を使っています。

「移動(フットワーク)」とは、不安定と安定の繰り返した状態です。今回でしたら、後ろ方向に不安定な状態を作り、バランスが後ろに崩れ始めたら、足を着いて安定させる。

また、お尻を後ろに出して不安定にし、足で安定させる。この繰り返しということです。
これにより、重力が利用できるため、筋力の疲れ回避に効果が期待できます。

また、このやり方は、お尻から下げる「椅子に座る方式」である分、戻りの際に上半身が高く上がりません(「リクライニング方式」ではないため)。

上半身の代わりにお尻(椅子に座る動作と同じ)を使っているため、上半身も立ち上がりにくくなります。

お試しください。

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「ダブルス前衛の立ち位置はどこ?(守備の優先順位編)」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点ご理解の上でお読み、お試しくださればありがたいです。

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バド技術コラム「バド♪Remaking」の内容を実際に講習会でおこなっています。
ご興味のあるかたは、下記のリンクをご参照ください!

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ウェブサイト:http://badlesson.blog.jp/

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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