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技術の定着は、体育館で起きてるんじゃない、自宅で起きてるんだ!(静止時フォームチェックの大切さ)
- 2017/6/19
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは。樋口です。
「癖動作矯正指導法」を日頃実践していて、大きな課題の1つとなるのが、レッスン後にレッスン内容を定着させることです。
今回は新しい技術の定着方法について、武道の「型」を参考にしながらご一緒に考えてみたいと思います。
最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。
【1】レッスン法の2本柱として、1つはその場で癖動作を治すことや新技術をできるようにすること
これがレッスン上、最も説得力のある説明になります。長年できなくて諦めていたことが数分で治った、できないと思っていた技術が1〜2時間ほどでできた。このような成功体験に勝る説得材料はありません。
ですので私にとっては、一回一回のレッスンが真剣勝負です。どんなに理論を並べ立てても、レッスンを受けている方々の約8割がその場でできなければ、説得力は半減します。
しかし上記8割の残りの1〜2割程度は上手くいかないケースが出てきます。じつはそこに技術指導者が成長させてもらえる種が隠れています。
それらのケースが新種の癖動作であり、それらを研究、新たな対策の仮説を立て検証することによって、技術指導のスキルは伸びていきます。
技術指導者はレッスンを受けて戴ける方々に育ててもらっていると考えています。
【2】第2の課題は、レッスンで矯正した内容や新技術の日常での定着作業
せっかくレッスンで癖動作の矯正や新技術を獲得できても、普段の練習などで定着しなければ、レッスンを受けた方のモチベーションは低下してしまいます。
これが最も手強い課題です。
この課題を手探りで模索している最中ですが、その中でヒントを感じていることが、武道の練習スタイルです。
オリンピックの新種目で空手が決定しましたが、興味深いことはそれが2部門に分かれていることです。1つは対戦形式で勝負を競う競技、もう1つは「型」を競う競技です。
この後者の「型」が競技になるというだけ、要は技を繰り出す時の身体のカタチ、動作手順などを大切にしていることと考えます。私は剣道をやっていたことがありますが、昇段試験等にはやはり「型」がありました。
「武道」は、古来の武術を近代スポーツ化した(ルール設定や教育に貢献する内容にした)ものと言われていますが、「型」とは武術のコンマ何ミリの微妙な身体の動き(重心の移動や指の立て方、目線の置き方など)などを、具現化したものではないかと考えています。
バドミントンの矯正レッスンなどを行なっている現場では、バックハンドのグリップの握りで親指が3ミリズレているだけで、結果が大きく変わります。上打ちで、肘が数センチ前に出ているだけでシャトルが左にキレたりします。
このようなことを客観的に見ていると、多くの矯正後の技術や新技術の定着には、静止時のフォーム(型)をセルフチェック(自分でチェック)することが最も大切なのではないかという仮説に行き当たります。
例えば、オーバーヘッド(上打ち)あれば、最初のテイクバックをとったフォーム(型)をセルフチェックして、正しく綺麗にできていれば、後に連結する動きはできやすくなる。速いラリーのストローク、ドライブなどは最初のフォームと打ち終わった後のフォームを時間のないラリー間にもセルフチェックするルーティンをつけ、綺麗に型通りになっていれば、フォーム崩れが再発しにくくなるということです。
こう仮定すると、癖動作矯正や新技術の定着作業で大切なのは、ラリーのような動きのなかではなく、静止した状態でのフォーム作り、武道でいえば「型つくり」になるのではと考え始めております。
静止した状態の練習であれば、体育館でなくても、自宅でも可能です。鏡を見ながら短時間でもよいので、日ごとに繰り返すまさに「型」練習こそが、矯正後や新技術のフォーム定着効果があるのではないかと考えております。
【3】第2段階のセルフチェックは基礎打ちでおこなう
静止した状態のセルフチェックをフォームが定着するまで継続しながら、実際の動きのある動作「基礎打ち」の中でもセルフチェックをおこなうルーティン(習慣)をつけるようにします。
オーバーヘッド(上打ち)でしたら、滞空時間がある分、しっかりとテイクバックのフォームを毎球セルフチェックするようにします。
ドライブなど速いラリーのストロークは、打つ前と打った後に毎球セルフチェックの意識を持ちます。
実際はゼロコンマ何秒しかないため、完全にセルフチェックできる時間はありません。
しかし意識を持つだけで定着効果はあると考えています。脳は繰り返す動作は記憶として定着しやすい性質があることと、筋肉も使う部位(フォーム)を意識することで動きがよくなるという説があるためです(筋トレなどでも使う筋肉を手で触るなどして意識すると、トレーニング効果が上げると言われています)。
実際に、現場と自宅でのセルフチェックを行なったかたと、行わなかったかたを数十人程度比較した際、行なったかた達の方がフォームの定着が速く進んでいる現象が見られます。
上達は自宅でも充分できるともいえそうです。
お試しください。
今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。
次回は、「ドライブの打ち方(基礎)」です。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。