2016年末は Viktor Axelsenビクトールアクセルセンの時代の到来を予感させるイベントとなった。
満開までにはまだ時間のかかる新世代であるかのように思われていたデンマークのシングルスプレーヤーが
7回目のスーパーシリーズファイナルでついに優勝を手にし爪痕を残した。
ドバイスーパーシリーズの表彰台の中央に立つことはもうすでに驚きではなかった。
もちろん彼の持つ素質の点からはもちろんのこと、ありえないような局面からの打開策も講じてみせたからだ。
フラストレーションのたまりやすい場面で自暴自棄なプレーに走りやすかった過去に比べ丁寧なプレーを心がけていた。このことがリーチョンウェイ戦での初勝利に繋がり、見事な脱皮を果たす結果につながったようだ。
トップシングルとして戦い勝ち得ったトマスカップの優勝で 自国のデンマーク人を信じられない程の絶頂感に導いたあと
リオオリンピックでの男子シングルス銅メダル。
揺るぎない自信を得たデンマークの若手選手は完全にトップステージに立ったまま新たな年を迎えることになる。
2016年の初め、デンマークは期待される状況とは程遠かった。男子ダブルスのモゲンセン選手が倒れ(小さな脳梗塞?)
そのほかにも選手の怪我やトラブルが相次いでいた。またアクセルセン選手自身も前年末のインドオープン決勝での桃田戦での負けを引きずったままの状況にいた。
しかし、そういった逆境がデンマーク選手の団結を強めた。特にシングルスベテランの奮起はすごかった。
ハンス・ビィティンガスが自信2度目のスーパーシリーズ決勝に進み、ヨルゲンセンに至ってはインドネシア、日本と立て続けに準優勝を飾ったあと、チャイナオープンではヨーロッパ人初の優勝を飾り、久々のスーパーシリーズ優勝となった。
前述のとおりデンマーク選手の活躍は特筆であったものの、リーチョンウェイの存在はさらに大きくなり輝きを増している。
BWFの年間選手賞を獲得。マレーシア、インドネシア、日本でスーパーシリーズを勝ち、リオでの3個目の銀メダル、アジア選手権での優勝も手に入れた。
また 宿命のライバル中国リンダンとのリオでの準決勝での戦いは長く記憶されていくことになるだろう。
いつも後塵を拝していたリンダンに勝ったことで金メダルの獲得が多いに期待された。
しかし結果はそれを阻もうとする中国チェンロンに金を譲り、3個目の銀を懐に収める結果となった。
チェンロンは二つの世界選手権タイトルに加えオリンピックの金メダルを加えた格好になった。
しかしチェンロンとて順風であったわけではなく、マレーシアとアジア選手権では2戦ともリーチョンウェイに続く準優勝、チャイナオープンではデンマークのヨルゲンセンに次ぐ準優勝であったのだ。
リンダンはリオでのベスト4、全英オープンとチャイナマスターズでの優勝があったものの その他では大きな活躍ができなかった。
中国若手の台頭も目立った。
韓国オープン決勝で韓国ソンワンホに対し全力プレーで勝利した24歳のQiao Binチャオ・ビン。
16歳年上の韓国リーヒョンイル選手と戦いフレンチオープンを制した20歳の Shi Yuqi シーユーチ。
ドバイでのファイナル決勝を含み2度のスーパーシリーズの決勝を経験したTian Houweiチャンホウウエイ。
韓国のソンワンホ選手は優勝こそないものの、シンガポール、韓国、デンマークの3つのスーパーシリーズで
決勝に進んでいる。その際の勝者はインドネシアのSony Dwi Kuncoro,中国 Qiao Bin,タイのTanongsak Saensomboonsukであった。
香港のNgKaLongは 子供の時からの夢であった自国開催の香港オープンに勝利し、スーパーシリーズファイナルズの参加を決めた。
22歳の若手の実力はまだまだ未開拓ながらファイナルズでも、韓国のソンワンホ選手を破り1勝を挙げている。
逆に2016年に大いに期待されながら活躍できなかった選手がいる。インドのキダンビスリカンス選手とチャイニーズタイペイのチョウチェンチェン選手だ。様々な事情があったと思われるものの、新たな2017シーズンは再飛躍を期待したい有力選手だ。
参考:BWFホームページ(http://bwfbadminton.com/2017/01/04/mens-singles-2016-in-review/)