2008年の北京が21点ラリーポイント制を採用した最初のオリンピックであった。
北京五輪後の2009年、サービスポイント制で実施されたアテネ五輪と比較したデータが発表された(注1)。
男女シングルスとダブルスにおける試合時間とラリー数・時間などを集計し考察を与えたものだ。
それによると アテネ五輪→北京五輪において
男子シングルスの平均試合時間は51分→41.7分
女子シングルスの平均試合時間は38分→38.5分
男子は10分ほど短縮され、女子は変わらずとの結果であったようだ。
同様に男ダブ47分→43.19分、女ダブ51分→43.25分 といったように
まとめてみると、アテネのサービスポイント制からの時間短縮は
男子シングルス 10分短縮
女子シングルス 変わらず
男子ダブルス 4分短縮
女子ダブルス 8分短縮
との発表があった。
しかし
これらの試合時間にはインターバルや汗拭きの時間も含まれているとのことなので
旧方式のサービスポイント制では1~2ゲーム間のインターバルが1.5分、ファイナル前に5分、
試合中の給水が現状より自由であったことを考えると、4~5分近く多くの休憩を取っており、
時間短縮を主旨に採用された21点ラリーポイント制は選手に制約ばかりを押し付け、
さほどの時間短縮を果たせているのか疑問に思えてくる。
試合時間が短くなっていない女子シングルスは実質的には時間が長くなっているものと思われ
その分、怪我も増えているように思われる(選手も国も怪我を隠す傾向にありデータがない)。
ルール改正により時短した2007年以降 再び試合時間が長くなっているという報告もある。2012年には5分以上長い。
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また上位の選手ほど実力が拮抗し、トーナメントの終盤にかけ平均試合時間が長くなっているというデータもある。
これでは実力ある選手ほど試合数が増え、終盤にかけていよいよ過酷になって行くということになる。
ランキング上位の選手ほど怪我が多いというのもうなづける。
トーナメント1日目は30分足らずで終わっているが、決勝の頃には50分近くになる。
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テレビ放映とか、観衆を喜ばせるといった興業目的の変更ばかりでなく、
選手の体調管理といった観点に立ったルール変更を考えてみるべきではないか。
そういった変更を要望し推し進めていく役割を 誰が負うべきかといえば、それはまさに協会であろう。選手を追い詰めることが協会の役割ではなかろう。
選手強化に費用を使うこともいいが、選手寿命を延ばすことで層を厚くすることもできる。
時間短縮をはかりながらも持久戦に強みのある日本選手を不利にしないルール変更だってあるはずだ。
そんな事にも頭を悩ませて欲しい。
(注1)2009年「第 20 回日本スポーツ方法学会大会号」において
『北京オリンピック大会におけるバドミントンの試合に関する研究 ―男女シングルスとダブルスの公式記録の分析― 』
(岸一弘 共愛学園前橋国際大学 ・塩野谷明 長岡技術科学大学 )