オーバーヘッドで後ろから戻るのが遅い!(ステップ見直し編)

こんにちは。樋口です。

オーバーヘッド(クリアー、スマッシュなど)を後ろで打ったとき、特に前から後ろにさがりながら打ったときや、少々後ろに煽られて打ったときなど、戻りが遅いなあ、シンドいなあと感じたことがありませんか?

そんな戻りの遅さやシンドさを、戻りのステップと姿勢の視点から原因と対策を考えてみます。
今回も最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。

 

(ステージ1)
【原因】打球後の右脚(1歩目)を大きく前に出していること

オーバーヘッドストロークは、左脚を軸にして右半身を左回転させる動作が入り、右半身が前に出て行く分、打球後の1歩目は、自然と右脚になるはずです。

なるだけ早く戻ることを考えれば、歩幅はなるだけ大きい方が効率的と考えるのは自然ですので、この右脚の1歩目も大きくとりがちです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

両脚の形は、コンパスのような形になっており、2つの脚がつっかえ棒のようになって、お尻や腰(骨盤)を支えあっています。ですので、インパクト後に右脚を大きく前に出すと、その分、骨盤を前から支える力が大きく働き、骨盤を後ろに押し返そうとする力になってしまいます。

要は、身体が前に行こうとするのに、右脚が「つっかえ棒」になってしまい、前に進みづらいという現象が発生してしまうのです(スネと床との角度(シンアンクル)と重力&床反力の作用方向、摩擦力)。

この現象が、戻りにくさや戻りが遅い一員になります。

 

(ステージ2)
【対策】1歩目の右脚は小さく、その場にすぐ着地させるイメージ、2歩目の左脚を大きく前に出す


戻りフットワーク1 戻りフットワーク2 戻りフットワーク3

上記の原因に基づき、1歩目の右脚は歩幅を小さくし、なるだけ早い着地を目指します。

そのことによって、次の左脚を出すタイミングが早くなることと(右脚で床を蹴るため)、1歩目が小さいことで、進行方向に進んでいく力(慣性力)がより強くなるためです(要は、身体を支える両脚の間隔(支持基底面)が狭くなるため、進行方向に倒れて(動いて)いきやすくなるということ)。

一旦、進行方向に重心が動き出す(倒れ始める)と、身体を倒れないように支えるものが必要になります。不意に蹴つまずいたときなどは、手をつきますが、ここでは予想が出来ていますので、手の代わりに左脚を着くようにします。

小さく出した右脚で床を蹴っていますので、重い重心(お尻付近)に前方向への加速が充分に付いている分、左脚は大きく前に着くことになります(身体の前方向へのバランスをとるためです)。

左脚が大きく出ることは、身体のバランスをとるだけでなく、戻る距離を稼げるという大きなメリットもあります。

 

(ステージ3)
【疑問】なぜ後ろに振られたときなどに、大きく開脚してオーバーヘッドを打つのか?

この空中で両脚を入れ替えながら開脚する動作を「シザーズジャンプ」といいます(「シザーズ」は「ハサミ」という意味)。

このシザーズジャンプをする意義は大きく2つあり、1つは両脚の入れ替えにより骨盤が左回転するため、そのパワーをスイングに追加することができる点です。

2つ目は、空中での打球姿勢のバランスをとっていることです。立ち姿勢のバランスは、主に両足間の距離(支持基底面)内に、頭部や腰など身体のパーツが収まっていることで安定します。

この両足間の距離が広ければ広いほど安定しますので、後ろに煽られたりして、体勢が後ろに大きく反ったりした場合には、頭などのパーツが両足間の空間から出ないように大きく開きます。

要は、打球時の姿勢維持のために行っているのであり、打球後の戻りのフットワークのためではないのです。ですので着地直前に、右足はなるだけ左足に引き寄せて着地します。

お試しください。
今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「プッシュやドライブ時のグリップの作り方」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

 

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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