打点を前にしようとすると、シャトルが浮いてしまったり、左にシャトルがきれてしまう。なぜ??

こんにちは。樋口です。

スマッシュやドロップなどで打点を前にすると、打点も自然と低くなることは前回のコラムでご紹介致しました(→2016/10/3コラム「スマッシュがイマイチ遅い!何とかしたい!(打点調整編)」)。

ところが、打点を前かつ低めにしようとすると、打球が浮いてしまったり、左にきれてしまったり、あるいは、前にバランスを崩してしまい、前で打てなかったりすることがあります。

なぜ、そんな現象が起きるのでしょうか?

その原因と対策について、考えてみたいと思います。
今回も最後まで宜しくお願い致します。

 

(ステージ1)
【原因①】 打点を前にする際に、右肘を前に出してしまっている

肘が出た打点

打点を前にするときに、右肘のトンガリを右眼の横より前に出してしまうと、イースタングリップで握っている場合は、ラケット面が左に向いてしまいます。よってシャトルが左にきれてしまいます。

また、グリップをウエスタン気味に握っている場合には、面は正面を向いていますが、面が下を向きにくいため、浮いた打球になります。

ウエスタングリップは、ラケット面を下に向けようにしようとすると、手首が招き猫の手のようになる分、下に向きづらいのです(可動域が狭い)。

 

【原因②】打点を低くする際に、右肘が下がってしまっている

肘が下がった打点

打点を低くしようと、ラケット面を前に振り出す(フォワードスイング)時に、右肘の高さが右肩くらいに下がってしまうと、打点が極端に下がってしまうことと、右肘が曲がって前に出せない分、打点が手前になってしまいます。

結果として、ネットに引っ掛けたり、床に打ちつけたりするミスショットの発生リスクが増加します。

 

【原因③】打点を前にする際に、右手首を前に出してしまっている

手首が出た打点

右手首を前に出す意識を持つと、ラケット面の先端が手首より後ろになる分、ラケット面は斜め上向きになってしまいます。せっかく打点を前で低くしても、シャトルは浮き気味に飛んでしまいます。

 

【原因④】打点を前にする時に、上半身全体を前に出しすぎている

上半身が前に出た打点

打点を前にする時に、上半身ごと前に出そうとしてしまうと、上半身(体幹)とシャトルの距離が短くなってしまうため、結局、打点を手前にしたのと同じことになってしまいます。

上半身に打点が近ずくと、ラケット面は前向きになりがちです(手首を招き猫の手のように「く」の字にしない限り、下に向きません)ので、シャトルが浮くことになります。

また、そもそも上半身が前に出すぎて、バランスを崩してしまうこともあります。

 

(ステージ2)
【対策】スイング中にラケット面が真上ちょっと前に来たら、「ラケット面先端を前に落としていく」ことを意識しながら、打点を前かつ低くしていく


打点1 打点2  打点3 打点4  打点5

打点を前かつ低くするときのコツは、クリアの打点(手前で頭の上ちょっと前あたり)から、手首を支点とした円軌道(前腕回内動作:手首~肘間の腕の左旋回)で、ラケット面の先端を前に落としていくようにします。そうすると、円軌道の下降部分になる分、ラケット面も自然と前にやや移動しながら、下に下がっていきます。

ラケット面も下を向くため、シャトルも浮くことがありません。

また、ラケット面の先端が先導して動いていくと、それより手前にある右肘や手首、上半身などが極端に前に出なくなる(→二重振り子の原理)ため、ステージ1にあるようなミスショットが発生しにくくなります。

お試しください。

 

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「思い込みによるメンタルロスを防ぎ、パフォーマンスを上げる取り組み」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

 

 

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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