追い込まれたときに鋭い打球を打つには?(バック編)

こんにちは。樋口です。

スマッシュをバック側に切り返しされたり、スマッシュをサイドギリギリに打たれたり、前衛でサイドに跳びついたりした場合に、腕が伸びた状態で打たされることがあります。

そうなってしまった場合、通常はなかなか強い返球は望めません。

今回は、バック側にしぼって、その球を強い球で返球する方法を探ってみます。
最後までお付き合いお願いいたします。

 

(ステージ1)
【打法の定義】鋭い球を返球するには、力学的に2つの方法がある

シャトルを飛ばすにはシャトルにパワー(力積)を与えなければなりません。パワーは、ラケットのスピード(加速度)× プレーヤーやラケット、シャトルなどの総重量(質量)になります(これにガットの反発力も加わります)。

上記を単純に打法だけで考えて言い換えれば、「身体を使って打つ」か、「振りを速くする」か、どちらかを増やせばパワーは増加するといえます。

この前提を踏まえると、シャトルを鋭く返すためには、2種類の方法が考えられます。

①体幹や脚(上下肢)の大重量の筋肉から発生した大きなパワーを、ラケット面まで伝えていく

② 体幹など大きな筋肉からの支援なしで、 ラケット面のスイングスピードを速くする

下記 「ステージ3」参照

 

(ステージ2)
【劣勢での打法】追い込まれて、腕や体幹などが伸びてしまったときの打法は、 体幹など大きな筋肉からの支援なしで、 ラケット面のスイングスピードを速くする打法

上記①の運動連鎖を使った打法は、いわゆる基礎となるレギュラー打法です。バックハンドについては、肘の曲げ伸ばしで打つことが重要な要素になりますが、苦手意識を持たれている方が多いのも事実です。

そして、今回のお題である、腕や体幹などが伸びてしまったときに鋭い返球を返す打法は、姿勢が崩れていることから、上記①の身体を使った(運動連鎖)通常打法は使えません。

よって、上記②の体幹など大きな筋肉からの支援なしで、ラケット面のスイングスピードを上げる打法ということになります。

 

(ステージ3)
【打法のコツ】腕全体の波動エネルギー現象(応力)を利用して打つ

腕波動スイング1 腕波動スイング2 腕波動スイング3

カップ内のコーヒー表面に一滴コーヒーを落とすと、波が起き、同心円状に拡がっていきます。それは一見、波が動いているように見えますが、実はある1点の水面が上下動(内側から順番に;波動といいます)を繰り返しているのです。

これと同じことを、上腕(肩〜肘)→前腕(肘〜手首)→ラケットのシャフト→ラケット面の順番で上下動(波動)を作るようにします。

上腕を15センチくらい手前に素速く引くと、その引いた動作が、前腕→ラケットシャフト→ラケット面と伝わっていきます。波ですので、ラケット面は手前から15センチ位、前に進んで、すぐ手前に戻ります。

このラケット面が前に15センチくらい動く動作でシャトルを弾き返します。

上腕は、腕の中ではパワーのある筋肉があります(いわゆる力瘤;上腕二頭筋、その裏にある上腕三頭筋)。これらの筋肉の力で、速度(加速度)の速い波をラケット面に向かって流してやることによって、ラケット面のスイング速度が上がり、鋭い返球ができるのです。

 

(ステージ4)
【打ち方】非常に繊細な動作

波によってエネルギーを伝える操作(運動連鎖)は、とても繊細なものになります。精密な腕の操作が要求されます。

いわゆる、ムチや新体操の帯などの道具の操作が類似操作になりますが、バドミントンが難しいのは、ラケットや腕は硬く、しなりがない上、関節があるので波が帯やムチのようにしなやかに伝わらない点です。

操作としては動画の通り、指の握りこみ、肘の動かしかた、スイングの支点の置き方、全体のタイミングとバランスなどのコツ(質)を考慮して、反復練習(量)をします。

スイングは小さくしかとれなくても、ラケットヘッドのスピードが上がれば、充分鋭い球で返球できます。

お試しください。

※【注意】ラケット面が前に移動する際には、小指~中指を握りこんでいきます。インパクトが済んだら、また緩めます。これをおこなうことで、右肘への負担を緩和できます。

参考:2017/1/23コラム「コンパクトに弾くスイングをすると肘が痛くなって困る」

 

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

参考:2015/12/7 コラム 「パワーはどのようにシャトルまで伝わるか?(運動連鎖)」

参考:2015/11/23 コラム 「バックハンドグリップの握り方」

 

次回は、「『癖動作矯正指導法』の実技公開(オーバーヘッド(上打ち)矯正編)」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
樋口 孝雄

樋口 孝雄バドミントン技術指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
中高生のためのバドミントン技術レッスンプロジェクト(西国分寺)代表者
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

堀越高等学校
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般2団体

この著者の最新の記事

関連記事



空白

空白

空白

広告

Twitter でフォロー

ページ上部へ戻る