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追い込まれたときに鋭い打球を打つには?(バック編)
- 2017/2/20
- バド♪Remaking, 日替バド定食
こんにちは。樋口です。
スマッシュをバック側に切り返しされたり、スマッシュをサイドギリギリに打たれたり、前衛でサイドに跳びついたりした場合に、腕が伸びた状態で打たされることがあります。
そうなってしまった場合、通常はなかなか強い返球は望めません。
今回は、バック側にしぼって、その球を強い球で返球する方法を探ってみます。
最後までお付き合いお願いいたします。
(ステージ1)
【打法の定義】鋭い球を返球するには、力学的に2つの方法がある
シャトルを飛ばすにはシャトルにパワー(力積)を与えなければなりません。パワーは、ラケットのスピード(加速度)× プレーヤーやラケット、シャトルなどの総重量(質量)になります(これにガットの反発力も加わります)。
上記を単純に打法だけで考えて言い換えれば、「身体を使って打つ」か、「振りを速くする」か、どちらかを増やせばパワーは増加するといえます。
この前提を踏まえると、シャトルを鋭く返すためには、2種類の方法が考えられます。
①体幹や脚(上下肢)の大重量の筋肉から発生した大きなパワーを、ラケット面まで伝えていく
② 体幹など大きな筋肉からの支援なしで、 ラケット面のスイングスピードを速くする
下記 「ステージ3」参照
(ステージ2)
【劣勢での打法】追い込まれて、腕や体幹などが伸びてしまったときの打法は、 体幹など大きな筋肉からの支援なしで、 ラケット面のスイングスピードを速くする打法
上記①の運動連鎖を使った打法は、いわゆる基礎となるレギュラー打法です。バックハンドについては、肘の曲げ伸ばしで打つことが重要な要素になりますが、苦手意識を持たれている方が多いのも事実です。
そして、今回のお題である、腕や体幹などが伸びてしまったときに鋭い返球を返す打法は、姿勢が崩れていることから、上記①の身体を使った(運動連鎖)通常打法は使えません。
よって、上記②の体幹など大きな筋肉からの支援なしで、ラケット面のスイングスピードを上げる打法ということになります。
(ステージ3)
【打法のコツ】腕全体の波動エネルギー現象(応力)を利用して打つ
カップ内のコーヒー表面に一滴コーヒーを落とすと、波が起き、同心円状に拡がっていきます。それは一見、波が動いているように見えますが、実はある1点の水面が上下動(内側から順番に;波動といいます)を繰り返しているのです。
これと同じことを、上腕(肩〜肘)→前腕(肘〜手首)→ラケットのシャフト→ラケット面の順番で上下動(波動)を作るようにします。
上腕を15センチくらい手前に素速く引くと、その引いた動作が、前腕→ラケットシャフト→ラケット面と伝わっていきます。波ですので、ラケット面は手前から15センチ位、前に進んで、すぐ手前に戻ります。
このラケット面が前に15センチくらい動く動作でシャトルを弾き返します。
上腕は、腕の中ではパワーのある筋肉があります(いわゆる力瘤;上腕二頭筋、その裏にある上腕三頭筋)。これらの筋肉の力で、速度(加速度)の速い波をラケット面に向かって流してやることによって、ラケット面のスイング速度が上がり、鋭い返球ができるのです。
(ステージ4)
【打ち方】非常に繊細な動作
波によってエネルギーを伝える操作(運動連鎖)は、とても繊細なものになります。精密な腕の操作が要求されます。
いわゆる、ムチや新体操の帯などの道具の操作が類似操作になりますが、バドミントンが難しいのは、ラケットや腕は硬く、しなりがない上、関節があるので波が帯やムチのようにしなやかに伝わらない点です。
操作としては動画の通り、指の握りこみ、肘の動かしかた、スイングの支点の置き方、全体のタイミングとバランスなどのコツ(質)を考慮して、反復練習(量)をします。
スイングは小さくしかとれなくても、ラケットヘッドのスピードが上がれば、充分鋭い球で返球できます。
お試しください。
※【注意】ラケット面が前に移動する際には、小指~中指を握りこんでいきます。インパクトが済んだら、また緩めます。これをおこなうことで、右肘への負担を緩和できます。
参考:2017/1/23コラム「コンパクトに弾くスイングをすると肘が痛くなって困る」
今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。
参考:2015/12/7 コラム 「パワーはどのようにシャトルまで伝わるか?(運動連鎖)」
参考:2015/11/23 コラム 「バックハンドグリップの握り方」
次回は、「『癖動作矯正指導法』の実技公開(オーバーヘッド(上打ち)矯正編)」です。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。