練習後の身体ケア方法(サビつき疲労防止)

こんにちは。樋口です。

試合や練習で激しい運動をすると、身体に負担がかかります。その回復方法について、今回は身体のサビつき(酸化疲労)防止の視点からまとめてみました。

今回も最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。

 

(1)身体のサビつき(酸化疲労)とは?

細胞

我々の身体は、酸素を取り入れることによって、運動をするためのエネルギーを栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)から取り出しています。

正確にいうと、身体の個々の細胞がエネルギー発電所(ミトコンドリア)を持っていて、細胞毎にエネルギーを生産しているのです。

さてバドミントンは「無酸素運動」(嫌気的代謝)と呼ばれますが、実は酸素を取り入れる有酸素運動(好気的代謝)とハイブリッドでエネルギーを抽出しています。

鉄を見ればわかると思いますが、酸素を使うということは、「サビつき(酸化反応)」が発生します。

化学的視点でいうと、「サビつき(酸化)」とは、ある物質の原子から、電子を1個以上奪ってしまうということになります。本来あるべきものを奪われてしまうので、電子を奪われた原子は不安定になります。

これが一気に多数の原子、ひいては多数の細胞に発生すると、細胞組織は傷ついた状態になります。

これが「サビつき(酸化)疲労」になります。これが継続的に続くと細胞の「老化」に繋がります。

 

 (2)サビつき(酸化)疲労を強力に発生させるものとは?

ミトコンドリアと活性酸素

これらのサビつき(酸化)疲労を強力に発生させるものに「活性酸素」というものがあります。身体(細胞)が酸素を使ったときに必ず数パーセント発生するといわれています。

 

(3)活性酸素が大量に発生する状況とは?

活性酸素量増加

大量の運動エネルギーが必要で、酸素が大量に供給消費される時です。すなわち、バドミントンのように激しい運動を行った時になります。

 

(4)バドミントンのような激しい運動を行うと活性酸素で細胞がボロボロになってしまうのか?

結論からいうと、ボロボロにはなりません。人間の身体には、活性酸素を除去するシステム(抗酸化酵素)が備わっているためです。

しかし、激しい運動が続いたり、加齢が原因で、活性酸素除去システムが追いつかなくなると、細胞組織が傷ついて劣化したり磨耗の原因になります。

また、各細胞内の核という組織にある遺伝子を傷つけると、ガンなども発生するリスクが高まるともいわれています。

 

(5)活性酸素は疲労にも関係しているのか?

関係しているといわれています。酸素はエネルギー生産に使われていますので、各細胞のエネルギー発電所(ミトコンドリア)に集まります。

そして発電所の細胞自体を傷つけるリスクが高くなります。すると、発電所の稼働率が落ちて、人体がエネルギー不足になり、疲労がとれにくくなるという現象に繋がると考えられています。

 

(6)激しい運動をしても、活性酸素を除去(抗酸化作用)できるものとは?

抗酸化物質といわれるものがあります。具体的には、ポリフェノール(ワインやコーヒー、ブルーベリーなどに含有)、カテキン(お茶など)、ビタミンE、ビタミンC、βカロチン、α‐リポ酸、そして最強の抗酸化物質として、リコピン(トマトなど)、アスタキサンチン(カニなど甲殻類、サーモンなど)などがあります。

カテキン リコピン アスタキサンチン

運動後にこれらを含む食品や飲料を摂取することは活性酸素除去、ひいては疲労回復、細胞の修復・保護に効果が期待できるといわれています。

また最近話題になっている「イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)」という物質も抗酸化作用が強いといわれています。主に鳥の胸肉に多く含有されているため、運動後に摂取すると疲労回復に効果があるといわれています。

チキン   キサントフィル

赤いパプリカに含まれている「パプリカキサントフィル」という物質も、赤血球に対する抗酸化作用が強いと注目されています。βカロチンの約25倍の抗酸化力で、酸素を運ぶ赤血球の損傷を防ぐため、筋肉への酸素供給量が効率化される分、持久力向上が期待できるといわれています。

 

(7)クエン酸も疲労回復効果が期待できる(抗酸化作用ではない)

クエン酸(酸味のあるフルーツなどに含有)も疲労回復にも効果が期待できるといわれています。これは抗酸化作用ではなく、サビつき(酸化)によって落ちたエネルギー生産量を回復させるという効果になります。

酸素を使ったエネルギー生産システム(好気的代謝)を別名、「クエン酸回路(TCA回路)」と呼び、クエン酸がエネルギー生産に重要な役割を果たしていますので、そのクエン酸が増えると、エネルギー生産が上がるため、疲労回復に効果が期待できるのです。

また、運動すると筋肉内に発生する乳酸という物質も、溜まってしまうと筋肉の運動に支障をきたします。 運動中に摂取されたクエン酸は、その乳酸と結合するとアミノ酸という物質(集まるとタンパク質になる)に変換され、エネルギー発生にプラスに働きます。

そういう意味でも、疲労軽減に効果が期待できます。

お試しください。

(参考→ 2016/11/21コラム 「練習後の筋肉リカバリー(栄養編)

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

 

次回は、「オーバーヘッドの振り出しでラケット面ってどこを動いているの?」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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