ダブルスで相手がどんどん前に詰めて来て逃げられない。どうすればいいの?

こんにちは、樋口です。

ダブルスで相手がどんどん前に詰めて来て、逃げられないパターンを経験したことはありませんか?
クロスに振ろうとしても、ミスをしてしまったり、当たりが悪くて、前に突っ込まれてしまう。こんな感じではないでしょうか?

今回はバドミントンの力学的3つの打法について考えながら、5ステップでこのケースの対処法を導き出します。
手品と同じで、タネがわかってしまえば、対処はそう難しくはありません。

ご一緒にもう1つ上のステージを目指しましょう!

 

【ステップ1】打法の種類

バドミントンの打法の種類は、力学的に大きく分けて、3つあります。

①「弾き打法」(作用反作用の法則)

一般的なバドミントンのストロークです。スイングは肩や肘、手首などの関節を支点とした円軌道ですので、シャトルに接触するのは点です(コルクの後、羽根が当たる(セカンドコンタクト)ので2回ですが、いずれも点です)。よって「打点」といいます。 点で身体、ラケット側からの力をシャトルに伝えます。いわゆる「弾く」動作(作用反作用の法則)を利用しています。

②「押し打法」

自分の打ちたい方向に、より安定的にシャトルを送り込むため、ラケット面を打ちたい方向に床と平行になるよう押し出す打法です。

③「スライス打法」

シャトルのコルクの一部分を擦ることにより、シャトルの向きを急速に反転させ、速度を余り落とさずに返球する打法です。コルクを擦る方向および場所によって、前に飛ばしたり、下に落としたりと方向を変えることができます。(参考例:→2016/5/16コラム「スマッシュ強襲に手が出ない。レシーブとりあえず何とかしたい!」

 

【ステップ2】相手が詰めてくる球を返せない理由

相手が強力に前に詰めてくるとき、相手の打力の力の方向(ベクトル)は、真っ直ぐこちらに向いていることが予想されます。打力(力積)とは、シャトルのスピード × 相手の重量(質量)になりますので、相手の体重やラケットの重さが進行方向にしっかりと載るような打ち方をしていると推察できます。

相手の打力(力積)の強い球(俗称;「重い球」「トルク」)を返すときに、上記「ステップ1」①の通常の「弾き打法」で対応した場合、打点が一点である分、返球したい方向に押し返す充分な打力(重い球;トルク)が得られません。

この力は、例えれば、ダンプカーとオートバイの違いと似ています。オートバイは一気に高速まで加速をすることができますが、もし乗用車にぶつかったとしたら、吹き飛んでしまいます。逆にダンプカーは、加速は遅いですが、乗用車にぶつかったら、乗用車を吹き飛ばしてしまうパワーを持ちます。

いくら速く振って、加速力のついた高速スイング(オートバイ的)をしても、自分やラケットの重量がシャトルに載る(ダンプカー的)ことがなければ、相手の重めの詰めてくる打球は押し返せないのです。

 

【ステップ3】対処方法

ここまで書くと、勘のよい方は文脈から察しがつくのではないでしょうか? 上記【ステップ1】②の「押す打法」で対応することが肝要です。 相手の重い球に押し込まれているので、それに負けない押し返しで、相手の球を押し返してやります。

 

【ステップ4】具体的なスイング方法

大きく3ステップの動作を連結させます。

①早目にラケット面を返球したい方向に向ける

平行に前に押し出すには、打ちたい方向に面が正確に向いている必要があります。面が向いている方向(ベクトル)と、押し出す方向(ベクトル)が一致していないと、パワーが発揮されません。 ですので、早目にラケット面を打ちたい方向に向け、準備を早目におこないます。

②左の肩甲骨を閉じる(同時に左手も握りこむ)

左の肩甲骨を閉じることは、その反動で、右肩と右肩甲骨が前に出やすくなります。また、左側の腕と手に力が入ることで、右半身(右肩、右肩甲骨、右腕、右手、右指)がリラックス(弛緩)し、前方向への押し出し(移動)や、インパクトの握りこみによる撥ね返し力(反作用)の増幅が期待できます。

③ラケット面を打ちたい方向に、床と平行移動するよう押し出す

主に右肘を打ちたい方向に伸ばす動作を使いながら、右肩甲骨もやや前に移動していくと強く押しだすことができます。

打点は、前に押す距離が必要な分、「弾き打法」よりやや手前になります。 右手の握りは、中指〜小指の3本を、ラケット面を前に出すときに握り込んでいきます。そうすると、撥ね返し力(反作用)の増幅ができます。

 

【ステップ5】その後の配球戦術

相手の押し込みに対して、上記のようにこちらも押し返すことによって低空戦が展開されます。相手もまた押し返してくると、シャトルのスピードは自然と速くなります。

目途として、相手のシャトルのスピードが速い間は、こちらも「押す打法」で対抗します。相手のシャトルスピードが遅くなったら(「スライス打法」や「弾き打法」で前に逃げてきたり、左右に流してきたら)、すかさず、「弾き打法」に切り替え、通常のプッシュやスピンネット、スマッシュなどで攻撃を仕掛け、決めにいきます。

相手がたまらず、ロブなどで上げてきたら、チャンスを逃さず、スマッシュ攻撃で決めに行ったり、相手を追い詰めます。

「おしくらまんじゅう、押されて泣くな!」と申します。バドミントンも重い球で詰められても、弱気にならずに押し返して、おしくらまんじゅう(低空戦)の中でチャンスを待つことが大切です。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「『ミスはしちゃいけないの?』 最近わかってきたこと 」です。

 

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄

樋口 孝雄バドミントン技術指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
中高生のためのバドミントン技術レッスンプロジェクト(西国分寺)代表者
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

堀越高等学校
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般2団体

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