ロビングで右斜め前方向に面が切れる〜プレーヤーやコーチを悩ませるKING OF クセ動作

こんにちは。樋口です。

以前、高校生の予選の1日目の試合を見に行くと、ジャンピングスマッシュ等をバンバン打っていて、そのパワーの凄さには驚かされます。

他方、相手からカットで沈められたりすると、簡単にネットしたり、甘い球を上げたりと安定しない様子も見られました。

そんな中で、今回は、ロビングなどアンダーハンドストロークが不安定になる、よく見られるクセ動作をクローズアップし、解剖学的視点で3ステージにて読み解いてまいります。

このクセは、タイトルで「KING」と書いた通り、本人も、指導者も中々気づけず、治せずの厄介なクセです。

今回も最後までお付き合いお願い致します。

 

(ステージ1)
【現象】ロビングを打つときに、フォームに大きな異和感はないのに、シャトルが斜め前方向に切れてしまう。シャトルの飛びが悪かったり、ネットミスも発生する

スイングそのものに大きな異和感はありません。下半身の重心の移動を行い、肩を支点にスイングを開始し、縦の円軌道で振り抜いています。ラケット面も右下から左上に移動しています。

しかし、バドミントン経験の浅いプレーヤーは、当たり損ねたり、ネットに引っ掛けたりする頻度が高くなるほか、経験のあるプレーヤーでも、シャトルの飛びがイマイチだったり、厳しいところに速いカット等で崩されると、ミスをしてしまったりします。

 

(ステージ2)
【原因1】ロビング動作は、腕や手の動作全てが、下から上に動く動作だと思い違いしている

ロビングスイング動作の全体像を俯瞰すると、見た目はフォアなら右下から左上へとスイングしているように見えます。

しかし、ここに大きな落とし穴「思い違い」があります。関わる腕や手の動作(関節運動)が全て、単一に下方向から上方向に移動すると思い込んでしまうと、正しい理解にならないため、思ったようにシャトルが飛ばないのです。

詳細内容2016/7/19コラム 「フォアロブ解体新書~8つのスイングのハイブリッド!」

 

【原因2】手首が小指側に曲がった状態(尺屈)になると、前腕回内が使いにくくなる

バドミントンは軽くリストスタンドをしなさいとよく言われます。これは、解剖学的視点でいうと、やや親指側に手首関節を曲げる動作(橈屈)ということになります。


橈屈

この「橈屈」は、前腕にある回内をする筋肉群が適度に緊張するため、収縮しやすく、前腕回内しやすくなります(筋肉は骨や関節を跨いで収縮することで腕などを可動させる)。


尺屈

ところが、「尺屈(小指側に手首関節が曲がっている状態)」では、前腕の回内筋肉群が伸びきってしまうため、収縮しずらくなってしまう分、回内動作が非常に使いづらくなってしまうのです。

手首関節を回転させる動作をすると、ラケット面が手首の右下方向に向いたとき、この「尺屈」状態になってしまいます。そのため、ラケット面を加速する前腕回内動作が使えず、シャトルに力が充分伝わらないのです。

猫手~フォアロブ

さらに、同時に手首が、「猫手」(招き猫が手招きするときの手首の形:「掌屈」)になってしまうと、さらに回内筋群は伸ばされてしまい、前腕回内がさらにできなくなります。

 

(ステージ3)
【対策】手首を親指方向にやや曲げる「橈屈」、手の甲をやや反らす(背屈)(リストスタンド)を保ち、グリップエンドが下で前を向いた所から、手首を回さず、ラケットは横スイングにする(前腕回内・回外動作)

グリップエンドを前に手首を前に移動前腕回内1前腕回内2

ラケットのグリップエンドが下に下がって、メーカーのロゴマークが前を向いたところからは、上記の様に手首を回す(手首を小指側に曲げていく(尺屈))ではなく、前腕(肘〜手首)回内動作といって、前腕を左内側に捻る動作を入れます。

実質、このフェーズでは、ラケットは手首を支点とした横スイングになっているのです。この動作の終わりにインパクトが待っているので、シャトルとラケット面とのインターフェースは、横スイングによってパワーが伝えられているのです。

因みに、前腕回内動作の前に連結している、肩支点の上下に振り下ろしてくる縦スイング動作は、肘が伸びて回内動作が始まると、自動的に停止します。これは力学法則に基づいた現象で「二重振り子の原理」と言います(回内動作が終了すると、また動きだします(フォロースイング))。

この前腕回内動作を理解できずに、手首関節も下方向から上方向に移動しよう、手首関節を支点にした円運動にしてしまうと、力が伝わらずシャトルがうまく飛びません。

腕相撲を想像すればわかりますが、手の移動で力が発揮されやすいのは、指の伸縮のための長い筋肉や腱が集まる前腕を捻る運動です。

手首関節を回してしまう(尺屈)と、前腕筋肉の捻りを使えない分、手の平や甲にある小さな筋肉しか使えないため、シャトルに力が伝わりにくいのです。

 

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は、「バドキャン×バド♪Remaking コラボ!~出張リメイキング実施しました」です。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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