スマッシュ強襲に手が出ない。レシーブとりあえず何とかしたい!

速いスマッシュに向かいあったとき、また、浅い球を強襲されたとき、どうされているでしょうか?
いつもより速くスイングしますか?

確かに尋常ではない速さでは中々手に負えません。しかし全く発想を変えてみたとき、いつもより速いスマッシュを、とりあえずはリターンできるようになるかもしれません。

4つのステージで対策を考えてみます。
今回も最後までお付き合いお願い致します。

 

(ステージ1)
【原因1】スマッシュが速いからと、スイングを大きく振り回すと、肘の構造上、シャトルは前に飛ばない


スイングミス1 スイングミス2

打球が速い場合、手元に来るまでの時間が非常に短くなります。そこで強く返そうと、上半身が正面を向いたままで、ラケットを振り回すと、肘の構造上、前に返球しにくくなります。

肘は、手首などと違い、1方向にしか動きません。上半身が正面を向いていると、右肘は右外方向に開くため、打球は右外方向に飛ぼうとしてしまいます。前には、進まないため、スイングを大きくすると、前に返しにくくなるのです。

 

【原因2】身体が硬直すると、レシーブスイング速度(加速度)が落ちる

打球前までは、身体には力を入れすぎないようにします。腕から手にかけては特に、エネルギーが波状に伝わっていきます。そこで、筋肉がこわばると、エネルギーが伝わりにくくなってしまいます。インパクトの瞬間のみグリップを握りこむようにします。

 

【原因3】レシーブの構えの時に、白帯の上からシャトルを見ている分、対応が遅れている

レシーブをするときの構えで、あごを引き、やや上目使いで、なるだけ白帯の下(ネット越し)から相手のラケット面を見るようにします。

白帯の上からシャトルを見ていると、シャトルが目に入るのが、相手のラケット面からではなく、白帯からになってしまう分、シャトルに対応する時間が削られてしまい、レシーブが間に合わないということになります。

また、ラケットは下に構えているので、目との間の距離が離れている分、高めの球が来たとき、目線だけシャトルを追い、ラケットは上がってきません。くわえて、角度をつけられたときも、目線が手から離れている分、手元にシャトルが来たとき、きちんと目線で追うことができないため、ミスのリスクが増えます。

 

(ステージ2)
【対策1】「流しレシーブ」(スライス動作)でスイングをコンパクトにして時間を節約、加えて、ラケットを右に振るのを防止する


流しレシーブ1 流しレシーブ2 流しレシーブ3 流しレシーブ4 流しレシーブ5 流しレシーブ6

原因1や2のように、慌ててラケットを高速かつ力強くスイングしようとすると、かえって、スイング軌道が大きくなり、タイミングが合わせずらくなります。また、肘が伸びる(伸展動作)右方向にラケット面が大きく振れないため、ミスが激減します。

スイングをコンパクトにして、かつスライスをかけることで、返球の弾道が前方にグンと伸びるようにします。流し返球(スライス動作)をすると、シャトルのコルクがラケット面に接触するインパクト(ファーストインパクト)時に、鋭く縦回転をかけるため、コルクが相手の方に素速く弾かれながら、反転します。

また、フォロースイングも小さいこともあり、ファーストインパクト後に、シャトルの羽根がラケット面に接触する「セカンドインパクト」が発生しにくい分、シャトルが鋭く前方に飛行します(オーバーヘッドやロブなどスイングが大きいストロークは、「セカンドインパクト」が発生しています。羽根がボロボロになっていくのはそのためです)。

 

(ステージ3)
スライス動作は、3つの動作に分解できる

【動作①の打ち方】手首を支点にして、ラケット面を右にスライドさせる


手首スイング1 手首スイング2

この手首支点によるスライス動作は、シャトルのコルクに回転を鋭くかける動作です。手首を支点にすることで、打点までの距離が肘や肩に比べて短くなります。ラケット面を左から右にスライドさせる動作は、手首を支点に半円を描きますので、手首支点の円運動ということになります。

力学で、回転するものは、半径が短くなるほど回転速度(加速度)が上がるという法則があります(→角運動量保存の法則)ので、ラケット面のスイング速度はとても速くなる分、シャトルのコルクに多くの縦回転(左斜め上から右斜め下にスライスかけるので)がかかり、シャトルが縦に鋭く反転し、鋭い返球になります。

【動作②の打ち方】インパクトと同時に、右肘を伸ばす動作を入れる


肘スイング1 肘スイング2

右肘を伸ばす動作は、シャトルを前に押し出す動作に相当します。スライス動作で鋭く反転したシャトルに右肘を伸ばす動作をくわえて、前に押し出すようにします。

【動作③の打ち方】右肘が半分くらい(45度位)まで動いたら、右肩を10cmくらい前方に動かす

肩スイング1 肩スイング2

これもシャトルを前方に押し出すための動作です。

スライススイングは、この3つの動作に分解できます。この3つの動作のハイブリッドといえます。
動作の順番は、①→③の順番で必ずおこないます。

 

(ステージ4)
【練習方法】手投げ → パターン練習(ステージ2の動画)でおこなう

スライスレシーブ手投げ練習

スライスレシーブパターン練習

 

強襲スマッシュに対するレシーブ方法は、ほかにもありますが、そのご紹介は別の回に改めさせていただきます。

次回は、「ヘアピンが浮いてしまう。どうしたらいい? 」です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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