バック側に振られた時のロングドライブが上手く打てない。コツはなに?

こんにちは、樋口です。

ダブルスの後衛をしているときなどに、スマッシュ等を打った後、カウンターレシーブ的にバックサイド後ろ側に振られることがあります。
その返球として、バックハンドロングドライブを打つとき、シャトルに勢いがなかったり、ネットに引っ掛けたり、あるいは、ネット前にしか返せずに、相手前衛にプッシュされたりすることは、ありませんか?

今回は、原因をスイングにスポットを当てて、習得するまでの過程を、ステップ(1)〜(6)までの6段階でまとめてみました。

 

(ステップ1)
【現象1】スイングは、4つのスイング動作のミックス

バックハンドロングドライブのスイングを分解してみると、実は、4つの異なるスイングから成り立っていることがわかります。

〈スイング1〉

指動作1   指動作2   指動作3
人差し指と親指の指先を使った、指による捻り動作

※参考リンク

 

〈スイング2〉

回外動作1   回外動作2

前腕(手首〜肘)と上腕(肘〜肩)を使った、回外動作(腕の右回転動作)

 

〈スイング3〉

伸展1   伸展2

肘を伸ばす動作(伸展)

 

〈スイング4〉

肘上げ1   肘上げ2

脇を開く(右肘を上に挙げる)動作

 

(ステップ2)
【現象2】上記4つのスイングの使う順番(〈スイング4〉→〈スイング1〉)がある

バックハンドスイングは、フォアハンドスイングに比べて、使える筋肉が少ないため、パワーを出せません。

従って、これら4つのスイング動作が、〈スイング4〉→〈スイング1〉(胴に近い部分→ラケットに近い部分)の順番で行われることが必須です。これを、運動連鎖(キネティック・チェーン)といいます。

 

(ステップ3)
【原因1】4つのスイング動作の一部が欠けていたり、使用する順番が間違っていると、上手くシャトルを当てられない

料理というものはレシピがあっても、材料が足りなかったり、レシピの作業手順を間違えると、美味しい料理が出来上がりません。

同じように、バックハンドロングドライブも、スイング動作の一部が欠けていたり、順番通りに操作しないと、シャトルは思ったようには飛んでくれません。

バックハンドは、フォアハンドと違い、肘も前の方には曲がりませんし、動員できる筋肉が少ないためです。

フォアハンドなら、スイングの運動連鎖が多少崩れても、他の大きな筋肉のパワーで何とかシャトルを飛ばせます。しかしバックハンドは、その力技ができにくい分、スイングの運動連鎖を正確に行わないと、シャトルが飛ばないのです。

【原因2】インパクト時に、右肘が曲がっていると(スイング3の時に)、前腕の回外動作(スイング2)・ 指の捻じり動作(スイング1)がやりにくい

まず、日本体育大学の研究者のかたの動画をご覧ください

この運動連鎖と、二重振り子の原理 (関節をエネルギーが通過する時に、増幅(パワーアップ)させる方法 )について、力学的な解説をされていますので、参考に御覧ください。
(懐かしい選手が出ています。)

動画の、8分00秒~13分5秒に、運動連鎖と、二重振り子の原理の解説があります。

右肘はインパクト時に伸ばすことで、スイングの回転半径が大きくなり、スイング速度が落ちます。なので、インパクト時に肘を伸ばすと、肘を止めやすくなり、先端にある前腕や指の旋回をすることができます。

 

(ステップ4)
【対策1】まず、指による捻りスイング(スイング1)を習得する

シャトルの重量(質量)が軽いため、インパクト時のパワー(力積:重量×スピード)が小さくなります。よって、指のような小さな筋肉群でもシャトルをはじき返すことができます。(野球ボールでは、指が折れますよね!)

また、指は一番ラケット面に近い関節ですので、スイングの半径が最も短いため、スイング速度が上がります。そのため、シャトルを指の捻りで飛ばすことができます。

というわけで、指(親指と人差し指)の捻り動作ができれば、バックハンドでドライブを打つことができるのです。4つのスイングのうちで、最も重要な動作です。

因みに打点(前後)は、身体を左に向けて前習え動作したときの、右腕の延長上が打ちやすいです。

支点の位置は、フレーム外側斜め下です。

回転軸3

 

〈練習方法 : (指による捻じりスイング)〉

練習方法は、手投げノックでラケット面とシャトルとの距離感(シャフトの長さに慣れる)を慣れるまで練習します(動体視力、脳の空間認識能力)。
一番の難所は、上記距離感が醸成されていない間は、脳が距離感を誤認知して、インパクト時に右手を前後左右に動かして誤った補正を行ってしまうことです。これが空振りや当たり損ねの原因になります。手首は動かさずに固定で行ってください。

高く上がった球は、オデコくらいに落ちてくるまで待ってからスイングします。

 

(ステップ5)
【対策2】 スイング1の前に、スイング4→2の順番で連結して、スイングを組み立てていく
(肘を挙げる→肘を伸ばす(伸展)→前腕の回外→ 指の捻じり の順に連結する)

上の動画のように、ゆっくりしたスイング練習(スイング4→1)で、スイング順序などフォームを固めます。

その後、スイング4→3で右肘が伸びたタイミングで、手投げノックシャトルを投げてもらいます。そこで、一気にスイング2→1とスイングして、シャトルをヒットします。

 

(ステップ6)
コートで実際の場面を再現して、ノックをしてみる

 

お試しください!

 

次回は、「跳びつきがうまくできない!その原因は? 」です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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