弱点を攻めてるのに、決まらない…どうして?

ダブルスの試合で、その選手は焦っていました。右利きの相手は、左腕をダラんと下げている構えです。加えて、グリップをグルグル回しており、構えた時、若干、面が下を向いているため、ウエスタングリップが入っていると推察できました。

これは、バックハンドが弱点だなと思い、スマッシュをバックに集中しますが、何本打ってもしぶとく、返してきます。「おかしいな?スピードが足りないのかな?」と、今度は、全身全霊で打ったスマッシュが、逆サイドに切り返しのカウンターを喰らってしまいました。

喜び勇んで、意気揚々と声をあげる相手!彼は、ショックで頭が真っ白、どうしたらいいかわからなくなってしまいました。

こんな経験ないでしょうか?

 

◯さて、何が原因だったのでしょうか?

まず、彼の判断(相手がバックハンドが苦手)という判断は、妥当だったでしょうか?

まず、相手は、左腕をダラんと下げていたと言うことで、左右のバランスが悪い状態です。右腕がやや上がり気味で、左腕が下がった状態ですと、背骨の左側に沿ってある縦に長い背筋(左側の脊柱起立筋)が、縮んでしまいます。そこがバネのように縮むことで、右側の背筋(右側の脊柱起立筋)が逆に伸びて、右腕を上げることに貢献します。

脊柱起立筋

ということは、左半身が縦方向に縮んでいるので、バックハンドで打球する空間(通称「懐ろ」)が充分とれないため、バックハンドは打ちずらいと推測できます。

また、ややウエスタングリップということから、ラケット面が、手の甲に対して、垂直めということで、バック面を作るのに、招き猫の手のようになる可能性が推察できます。

猫手

以上から、バックハンドが苦手という彼の推測は、充分に妥当性があると考えます。

 

◯では、なぜ、バックハンドを狙った球が、しつこくレシーブされたのでしょうか?

全国にスクールが散らばり、基礎を体系的に学べるテニスなどと違い、バドミントンは、残念ながら、そのような充実した環境にありません。ということは、バックハンド系が苦手なプレーヤーは少なくないと推測できます。

ただ、試合経験や試合練習(ゲーム練習)など、実戦経験が豊富な場合、苦手な技術を補う代償動作(技術)を身につけている可能性が高いと考えます。

この場合の彼も、弱点を攻めたのに、しつこくレシーブしてきたり、カウンターで逆襲してきたことに、「なにか変だな?何か別のこと(代償動作)をやってきているんではないか?」とピンとくることが必要だったと考えます。

 

◯では、相手は何をやってきていたのでしょうか?

よくあることですが、この場合、相手は、全てフォアで返してきていたというところがポイントです。要は、苦手なバックハンドレシーブを割り切って、切り捨てていたのです。

では、どうやって、バック側に来た球もフォアで返球したのでしょうか?

基本的な構え方は、右肘をみぞおち(胸の中心あたり)方向に引き、ややラケット面を右に寝かしながら、胸の中心〜右半身までをカバーします。

 

フォア
その上で、立ち位置を左よりに構えるようにします。加えて、後ろ目に構えるようにして、さらに、腰を落として低めに構えるようにします。

このシフト(代償動作)で実戦経験を積めば、結構、ディフェンスでしつこくレシーブで粘ることができます。この位置から打ってくる場合は、この位置でこの足形で張っていれば、最もディフェンス力が上がるなどの、微調整もできるようになるためです。ある意味、バック側が苦手という限られた条件の中で、配球が上手くなっているとも考えられます。

相手が、できるはずがないと思ったことが出来てきたとき、「これは、何かあるな」と、そのナゾを探ることが必要と考えます。

 

◯では、どうすれば、よいのでしょうか?

基本的にナゾが解けてしまえば、センター寄りにカットを落として、フォアや前におびき出したり、ジャンプして、角度をつけてスマッシュを打ったり、前衛をそのレシーバーの前に立たせて、高めの中速スマッシュや、カットスマッシュなどで、前衛に叩かせるなどの配球は効果を期待できると考えます。

彼が相手の代償動作を見抜くには、より相手に近い位置の前衛に入ったプレーヤーが、観察することが肝要と考えます。それと、後衛も、目の使い方を工夫すると、シャトルも相手も同時に見ることができます。これについては、また別の回に改めさせて戴きます。

 

次回は、「フォアハンドロブで、バランスを外側に崩してしまう」です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

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樋口 孝雄バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)

投稿者プロフィール

バドミントン技術研究・指導者(フリーランス)
1966年2月4日生
東京都国分寺市在住
実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ

競技歴:1982~2001年
指導歴:2002年~

私のバドミントン生活は高校から始まりました。運動系全般が苦手な私でしたが、何かスポーツをやりたくてバドミントン部を選びました。
当時、技術指導者はいませんでしたので、仲間よりワンテンポ遅れてしまう自分が、どうしたら理論的に技術が身につくかを、常に考えるようになっていました。この頃の背景がベースになり、今の私の技術指導スタイルが確立されたといえます。

元来、教えることが好きなこともあり、十数年前に小学生の指導を始めました。時間が許す限り、バドミントンのみならず、他競技のDVDや書籍etc.情報を集めては分析・検証し、よりシンプルでわかりやすいスキルアップ方法とは何か、知識と経験を積み上げてきました。現在は、技術指導者のいない中学生を中心に、学齢前から成人までのサポート活動をしております。

同じ指導でも、すぐ体現できる人もいれば、時間のかかる人もいます。指導する側にも、個性を生かした工夫が求められていると、身につくまでの道のりが遠かった私自身の体験から、感じています。

これまでの蓄積と、今後のさらなる追求を少しでも共有でき、特にお悩みを抱えている方々の微力ながら、お役に立つことができれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

競技歴詳細:

東京都立小平西高→法政大学バドミントン同好会72

主催指導活動:

「癖動作矯正指導法」研究及びレッスン
→(http://minton.blog.jp/archives/306166.html)
西国分寺バドレッスン for 中高生 代表者
→ (https://minton.jp/Group/detail/158)
バドミントンNPO団体 東村山フリューゲルス代表者

外部指導活動(東京都内):

実践学園高等学校 女子バドミントン部ヘッドコーチ
平成29年度全国中学生大会神奈川代表コーチ
堀越高等学校 男子バドミントン部
練馬区立中村中学校
東久留米市立中央中学校
他中高計8校、一般3団体

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