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弱点を攻めてるのに、決まらない…どうして?
- 2015/12/21
- バド♪Remaking, 日替バド定食
ダブルスの試合で、その選手は焦っていました。右利きの相手は、左腕をダラんと下げている構えです。加えて、グリップをグルグル回しており、構えた時、若干、面が下を向いているため、ウエスタングリップが入っていると推察できました。
これは、バックハンドが弱点だなと思い、スマッシュをバックに集中しますが、何本打ってもしぶとく、返してきます。「おかしいな?スピードが足りないのかな?」と、今度は、全身全霊で打ったスマッシュが、逆サイドに切り返しのカウンターを喰らってしまいました。
喜び勇んで、意気揚々と声をあげる相手!彼は、ショックで頭が真っ白、どうしたらいいかわからなくなってしまいました。
こんな経験ないでしょうか?
◯さて、何が原因だったのでしょうか?
まず、彼の判断(相手がバックハンドが苦手)という判断は、妥当だったでしょうか?
まず、相手は、左腕をダラんと下げていたと言うことで、左右のバランスが悪い状態です。右腕がやや上がり気味で、左腕が下がった状態ですと、背骨の左側に沿ってある縦に長い背筋(左側の脊柱起立筋)が、縮んでしまいます。そこがバネのように縮むことで、右側の背筋(右側の脊柱起立筋)が逆に伸びて、右腕を上げることに貢献します。
ということは、左半身が縦方向に縮んでいるので、バックハンドで打球する空間(通称「懐ろ」)が充分とれないため、バックハンドは打ちずらいと推測できます。
また、ややウエスタングリップということから、ラケット面が、手の甲に対して、垂直めということで、バック面を作るのに、招き猫の手のようになる可能性が推察できます。
以上から、バックハンドが苦手という彼の推測は、充分に妥当性があると考えます。
◯では、なぜ、バックハンドを狙った球が、しつこくレシーブされたのでしょうか?
全国にスクールが散らばり、基礎を体系的に学べるテニスなどと違い、バドミントンは、残念ながら、そのような充実した環境にありません。ということは、バックハンド系が苦手なプレーヤーは少なくないと推測できます。
ただ、試合経験や試合練習(ゲーム練習)など、実戦経験が豊富な場合、苦手な技術を補う代償動作(技術)を身につけている可能性が高いと考えます。
この場合の彼も、弱点を攻めたのに、しつこくレシーブしてきたり、カウンターで逆襲してきたことに、「なにか変だな?何か別のこと(代償動作)をやってきているんではないか?」とピンとくることが必要だったと考えます。
◯では、相手は何をやってきていたのでしょうか?
よくあることですが、この場合、相手は、全てフォアで返してきていたというところがポイントです。要は、苦手なバックハンドレシーブを割り切って、切り捨てていたのです。
では、どうやって、バック側に来た球もフォアで返球したのでしょうか?
基本的な構え方は、右肘をみぞおち(胸の中心あたり)方向に引き、ややラケット面を右に寝かしながら、胸の中心〜右半身までをカバーします。
その上で、立ち位置を左よりに構えるようにします。加えて、後ろ目に構えるようにして、さらに、腰を落として低めに構えるようにします。
このシフト(代償動作)で実戦経験を積めば、結構、ディフェンスでしつこくレシーブで粘ることができます。この位置から打ってくる場合は、この位置でこの足形で張っていれば、最もディフェンス力が上がるなどの、微調整もできるようになるためです。ある意味、バック側が苦手という限られた条件の中で、配球が上手くなっているとも考えられます。
相手が、できるはずがないと思ったことが出来てきたとき、「これは、何かあるな」と、そのナゾを探ることが必要と考えます。
◯では、どうすれば、よいのでしょうか?
基本的にナゾが解けてしまえば、センター寄りにカットを落として、フォアや前におびき出したり、ジャンプして、角度をつけてスマッシュを打ったり、前衛をそのレシーバーの前に立たせて、高めの中速スマッシュや、カットスマッシュなどで、前衛に叩かせるなどの配球は効果を期待できると考えます。
彼が相手の代償動作を見抜くには、より相手に近い位置の前衛に入ったプレーヤーが、観察することが肝要と考えます。それと、後衛も、目の使い方を工夫すると、シャトルも相手も同時に見ることができます。これについては、また別の回に改めさせて戴きます。
次回は、「フォアハンドロブで、バランスを外側に崩してしまう」です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※指導で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。