子どもの発育の変化を捉えるものとして 一般によく知られたスキャモンの曲線をご紹介します
もうすでに古典と言われていますが いまだにスポーツ指導指針を作る上での根拠になっているようです
スキャモンは1883年米国に生まれ 45歳の1928年にこの曲線を発表し
1930年に「The measurement of the body in childhood」という書籍として出版しました
1931年当時、シカゴ大学生物学部解剖学(人体学)教授として経歴が残っています
1、縦軸は各型に属する臓器・器官の重量合計の比較 2、20歳時点の重量を100%とし 出生時を0とする
一般型とされる赤色の曲線は いわゆる体の成長を示しています。幼児期の1次成長期、思春期の2次成長期が読み取れます
青色の神経系型では 5歳くらいまでに80%に達し、12歳頃には ほぼ100%になっています
2~5歳の神経の進化の著しい時に脳内を刺激し活性化すると脳力アップにつながるとされ
同時期に体の使い方や手先、フットワークなどの巧緻性も高めたいものの
体の成長が進んでいないことから 8歳頃の1次成長期を終えたできるだけ早い時期に
様々な運動に触れることで 運動神経の発展につなげるのが良い と言われています
5~9歳頃にバドミントンのテクニカルな部分に重点を置いた指導をすることが良いと言われる根拠でもあります
ジュニア指導の体系化が進むサッカー界においては
プレゴールデンエイジ 5歳~9歳頃 常にさまざまな刺激を求める時期
ゴールデンエイジ 9歳~12歳頃 一生に一度 だけ訪れる「即座の習得」のできる時期
ポスト・ゴールデンエイジ 13歳頃以降 それまでに身につけた技術を磨き上げる時期
として 指導方針の標準化を広めています
とは言え ジュニア期のスポーツ障害は 相変わらず防げる状況にはなっていないようですが?
また2次成長期の始まる15歳以前の筋トレは 骨格の成長を妨げるものと考えられており
高校生になってから筋トレを始める というのが一般論です
15歳以前は緑色のリンパ系が著しく発達している時期でもあり 筋トレよりも持久系のトレーニングが有効とされています
ただ スキャモンの成長曲線について疑問点がないわけではありません
1、神経系の発達時期が 物覚えが良くなる時期と一致すると言えるのか
2、0~5歳時が最重要となってしまうがどうなのか
3、神経系の発達時期に専門的な種目だけを対象にした巧緻性の向上をを目指して良いのか
4、筋トレは骨格の成長を妨げるのか、その検証はされているのか
5、成長個人差、男女差などをどう捉えているのか
6、曲線の根拠となったデータのばらつきはどの程度であったのか
7、発表後85年も経つのにこの曲線の検証が少ない
8、新たな同様の研究を見かけない
など
あとがき
スポーツ指導の指針を裏付けるものが 意外な程少ないと思うのですがいかがですか?
科学的根拠の不足が 経験と勘による指導に頼らざるを得ず、指導者の迷いにつながっていませんか?
的確な指導方法を裏付けるためのデータが 個々の指導者の経験の中にしか保存されていないのではありませんか?
???スポーツの世界を科学するには まだまだ時間が必要なようです(;>_<;)