いつもバド×チェックをお読み頂いてありがとうございます。近藤です。
前回より「コートを狭く見せるようなプレイがしたい!」ということで、その為に必要であろう要素を考察しています。
・ショットスキル
・身体重心の適正化
・ステップの最適化
・最大筋力
今回は、後編です。その他、必要な要素を考察していきたいと思います。
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姿勢
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適切に全身の筋力を発揮するためには、「姿勢」がとても重要です。
こんな猫背の構えとか
こんな猫背のスプリットでは、股関節の筋力を最大限に発揮できません。
このように、コート奥の奥原選手も手前の高橋選手も、背筋がしっかり伸びています。
スクワット姿勢やジャンプの着地時でも姿勢が崩れないように練習します。
片足でも変わらず姿勢をキープできるように。
繰り返しになりますが、姿勢が適切でない場合は、最大限に筋力が発揮されない、もしくは、進行方向へ適切に力を発揮できないという事態もおきます。
実際に、方向転換の素早い選手は姿勢が良いという論文も多く存在します。
姿勢の崩れは、身体の位置感知センサーである、固有受容感覚にも影響を与えるはずです。
これは、「自分の身体のどの部分が、どの辺りにあって、どういう動きをしているという感覚」です。
この感覚にズレがあっては、当然ミスが増える、思ったところにシャトルがいかない、という事態が起こると思います。
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短時間で力を発揮する能力
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絶対的な筋力が高ければ、必ずフットワークスピードが速くなるというわけではありません。
筋力が高いことは、必須ですが、競技パフォーマンスということを考慮に入れると、
「その筋力をより速いスピードで発揮しなければならない。」
ということが言えます。
実は、筋肉の特性として、「筋収縮が速くなればなるほど、発揮できる力が弱くなる」というものがあります。
つまり、筋力を高めたら、それで終わりではなく、その筋力を素早く発揮するトレーニングを別に行う必要があるだろう、ということです。
私の場合は、スクワットジャンプのような軽めの負荷をかけたトレーニングや、ウェイトリフティング、メディシンボールのようなトレーニングを行います。
例えば、こんな感じのジャンプトレーニング
階段は、低めからスタートして徐々に恐怖心を無くしながら行います。
ちょっと危険を伴うのですが、それでも階段を利用するのは、全力でジャンプさせるためと、上達度がわかりやすいからです。このようなパワートレーニングでは、【全力を出すこと】が必須条件です。
普通に床ジャンプでもいいのですが、モチベーションが保ちづらい気がします。
ただしもし行うときは、低めの階段で十分に練習を積んで、安全確保をして行ってくださいね。
また、疲労が強い状態では怪我の元なので、絶対にやりません。
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SSC
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SSC→ストレッチショートニングサイクルです。
筋肉には弾性エネルギーを蓄えることができるという、すばらしい性質があります。
一度、引き延ばされながら発揮された筋肉が、弾性エネルギーを蓄え、再び縮む際に、より強い力で筋力を発揮することができるという現象です。
これもこのような性質が含まれているトレーニングを行います。
私は、プライオメトリクスというトレーニングを行います。
例えば、このような感じ。
一度、着地する局面が入っているので、SSCが強く働くような状態を作り出しています。
他にも、色々なプライオメトリクスがあります。
このプライオメトリクスというトレーニングを行う際に2点注意があります。
一つは、効果は高いのですが、筋肉や関節に対する負荷が強いので、やり過ぎや、疲労が強いときには、怪我のリスクがあります。
もう一つは、前なら前、横なら横方向の動きを行わないと効果が薄い、ということです。
プライオメトリクストレーニングは、諸刃の剣だと思ってください。
十分に筋力を高めておくこと、頻度と強度と量をしっかり考えて、やり過ぎないように注意です。筋力が低いと判断した場合は、無理してやりません。
やるとしても、頻度的には1週間に一回程度です。疲労が強い場合は、やりません。
また、ジャンプトレーニングは前方向への種目をよくやられると思うのですが、バドミントンでは、横方向への動きがとても多いです。
機会があれば、また紹介致しますが、バドミントンにとっては、横方向へのプライオメトリクスも合わせて行う必要があると思います。
一言で「トレーニング」と言っても、そこには色々なメリットやデメリットがあります。また、繰り返しになりますが、量や強度、頻度が非常に大切になります。
「これだけやっていれば良い」というトレーニングもありませんし、「やればやるほど良い」というトレーニングも存在しません。
段階的、計画的、且つ臨機応変に対応する必要があります。
その細いさじ加減を、科学的根拠に基づいて選手やチーム、また一般の方も含めですが、その様々な対象を考慮にいれて、トレーニングを処方できるのが、プロのトレーナーです。
また、話が逸れてしまいましたが、前回と今回にお伝えした内容を踏まえトレーニングし、質の高いバドミントンの練習をして頂ければ、誰もが憧れる
「コートが狭く見える!」
という現象が起こるのではないでしょうか?
ちょいちょい、トレーナーという存在に触れているのは、「もっとトレーナーが皆さんにとって身近になってほしい」という気持ちがあるからです。
このバド×チェックを読んで、多くの方からトレーニングに関してメッセージを頂いております。
文字だけの対応となるので、十分な回答とはいきませんが、真摯にお答えさせて頂きます。
また、チームのトレーニングなどご希望であれば、ぜひご連絡くださいね!
スケジュールが合えば、ぜひ色々なチームを見て回りたいと思っております!
次回は、また新たなコンディションチェックをご紹介したいと思っています。
レディース・シニアの方でも行える内容ですので、ぜひご覧ください。
本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました。